憧れの人


                                         丸刈り親父 さん 



(1)出会い


 私の記憶が定かではありませんが、その人を見たのは6年前の11月

でした。

 友人(お仲間)のお母さんが亡くなられ、お通夜の後の瘴気払い(通

夜ぶるまい)の席でした。

 

遠方でのことで知人はいなく、話し相手もいないまま一人隅の方に座

って食事をし、お腹も満たされると、男好きの私は好み人はいないかと

あたりを見渡します。すると、はるか離れたテーブルにふくよかな体を

した丸顔で坊主頭の60代半ばくらいに見える人がいました。素敵な人

だなーと遠くから眺めていました。

 

 それから一年ぐらい経ったある日、友人からカラオケをするので参加

しませんかとの連絡があり、参加することにしました。

 遠方のため少し早い時間に友人の家に行きました。「昼ご飯はまだで

しょ」とご飯の支度を始め、しばらくすると友人が「気分が悪い」と言

いました。

 額から冷や汗を流し苦しそうです。「少し休めば良くなると思うので

大丈夫だ」と言うので少し様子を見ていましたが一向に良くならず、私

は心配になり、友人に「救急車を呼ぶよ」と言い119へ電話をしまし

た。

救急車が到着すると近所の人が何事かと十数人集まって、「どうした

のですか」「あなたは猿亦さんとどのような関係ですか」など私に質問

の嵐です。

「一人暮らしだから大変ねー」「友達がいて良かったじゃないの」など

適当なことを言っています。

救急隊の方が私に同乗して病院に一緒に行ってもらえませんかと言わ

れたのですが、私は土地勘もなく困っているところに、お通夜で見た方

が来られました。事情を説明すると、「それでは私が一緒に行くので後

から病院まで迎えに来て下さい」「今日、私は車ではないのですが」

「そうですか、それでは私の車で病院まで来てください、はい車の鍵」

「カーナビは付いていますか?」「ああ付いているよ」「解りました、

それでは迎えに行きます」「携帯の番号を教えます、090−○○で、

名前は雉原です」「私の番号は090−△△です。名前は桃川です」

 日曜日のため救急病院は隣町の病院です。ひょんなことから憧れの人

の苗字と携帯の電話番号を知ることが出来ました。

 救急車が出発して、私が病院へ向かおうとした時、一人の人が来て

「猿亦さんは留守かい、もう行ったのかな」と言いながら不思議な顔を

していました。

「今日、猿亦さんとカラオケの約束をされたのですか」「ああ、そうだ

が何かあったのかい」「救急車で運ばれました、これから病院へ行くと

こです」「何て言う病院だね」「隣町の○○総合病院です」「そうかい、

知っている俺も一緒に行こうか」「私は道が分からないのでお願いしま

す」私はその人の車に乗り病院へ向かいました。病院へ向かう途中、今

日の出来事をその人に話ました。「そうかい、大変だったね、何ともな

ければいいが」

 私たちが病院へ着くと雉原さんが玄関で待っていました。「あれ、犬

井さんも一緒かね」「ちょうど着いたら、この人が病院へ行くとこでね、

一緒に来た」「私は土地勘がなく助かりました」「容態はどうかね」

「入院しなくても良さそうです、狭心症だそうです、近所の人が連絡し

たのでしょう、親戚の人がきましたから私たちは帰りましょう」すると

後から来た人が「そうか、安心したら腹がへったな、飯でも食おうか」

と近くのファミレスに入り食事をしました。「あなたとは初めてですか

ら改めて自己紹介しましょう、私は雉原、○○に住んでいます」「俺は

犬井です、○○に住んでいる、これも何かの縁ですな、宜しく」「私は

桃川。○○に住んでいます。宜しくお願いします」

「桃川さんこれからどうしますか」「今日は帰ります」すると犬井さん

が「まだ2時前だ、せっかく遠くから来たのだからこれから3人でカラ

オケへ行こうや」とカラオケに誘ってくれました。「そうですな、まだ

早いからカラオケに行きましょう」と雉原さん。カラオケを2時間ばか

り楽しみ、車で駅まで送ってもらい、電車を待っていると携帯電話が、

「ハイ、桃川です」「今、猿亦さんの家に来ているのだが、迎えに行く

から桃川さんも来ないですか、一緒にお茶でもどうですか」とさそわれ

ましたが、4時を過ぎていましたので「猿亦さんの容態はどうですか」

「ああ、嘘のように元気だ」「良かった、今日はこのまま帰ります。今

度またカラオケがあったら誘って下さい、猿亦さんに宜しく」と断りま

した。

 これが憧れの人との出会いです。



                                                続 く 






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