「晩秋の薔薇」  .

(スーさんと山ちゃんの世界)  .



                                         N爺さん 


(4)  .



 七月は高志の誕生月である。あと数日で誕生日がくると、カレンダー見

ながらそんなことを考えていた時、高志の携帯の着信音が鳴った。

 携帯を見ても、相手の番号が表示されているだけで、名前は表示されて

いなかった。

「もしもし、山野辺さんですか、私は杉本と言いますが」

「はい山野辺ですが、どちらの杉本さんですか?」

「H町の杉本ですが、多分△△館で会ったことがあると思うのですが…」

「私はH町の杉本さんという名前は記憶にないのですが」

「間違いなく前に会った事はある筈です良かったら又お会いしたいのです

が」

 高志は一瞬考えた。土曜日の彼とも大分会っていないし、又別の人とア

バンチュールを楽しむのも悪くないかも知れない。そう思った高志は

「いいですよ、何時が良いでしょう?」

「私はまだ仕事をしていますから日曜日以外は休めないので、今度の日曜

日はどうでしょう」

 その日は高志のスケジュールには何も無かったので

「いいですよ、◇◇公園は分かりますか?」

「ちっと分からないけれど」

「K市のハッテン場なのですが、杉本さんも知っていた方が良いと思うの

で、そこで午後一時半に待っています。カーナビで○○学校を検索すると

その隣りですから分かると思います」

「分かりました、それでは日曜日に行きます、よろしく」

 と言って電話が切れた。高志は何度記憶を辿っても、そのH町の杉本と

いう名前を思い出すことが出来なかった。会えば分かるだろう…と軽い気

持ちで日曜日を待った。

 平成二十六年七月二十日の日曜日は、朝から小雨が降っていたが、公園

までは高志の家からそんなに離れていないので、雨も止んだことだなので、

自転車で出かけることにした。

 公園には十五分前に着いた。少し小雨がぱらついてきたので、傘を差し

て公園を歩いていると、東屋に六十歳前後の人が立ったいた。

 そして自分のズボンの上から、股間を摩っているので、高志はもしかし

て杉本という人かと思い近づいてみた。

「誰か待っているのですか?」

「時間が有ったので、昼間だけど来てみました」

杉本氏でない事が分かった。

「私は、ここで人と待ち合わせなのですが、少し時間が有るので、お話で

もしましょう」

 二人はベンチに座って、取りとめのない事を話したが、その人が高志の

ズボンへ手を伸ばしてきた。

 こんな明るい公園でなんと大胆な人だろうと思いながら、高志もその人

のズボンの上からやさしく撫でてみた。

 すでにその人の性器は勃起していた。高志は、人と待ち合わせをしてい

ながら、何故こんなことをしているのだろうと思いながら、腕時計に目を

やると、丁度午後一時半であった。

「失礼」

 と言って手を戻し、携帯で杉本氏へ電話をしてみた。  

「今、何処に居ますか?」

「公園に来ています」

「公園のどの辺ですか?

「ここから二人の見える所に居ます」

「分かりました、今すぐそちらへ行きます」 

 高志は、ベンチの人に挨拶もそこそこに、車の止めてあるところへ駈け

て行った。

 白い車の中から、見覚えの無い顔が見えて、左のドアを開いた。

高志は、助手席に乗り込み

「始めまして」

 と挨拶をした。

「これからモーテルへ行きますか?」

「いいですよ、杉本さんにお任せします」

 車は静かに動き出し、公園を離れて広い道路に出た。

 車の中で、今の顛末を高志は正直に話した。

「貴方が来なかったら、私はあの人と何処かへ行っていたかも知れません」

「その人も一緒でも構わなかったのに…」

「三人も面白いかも知れませんね」

そんな他愛も無いことを話しながら、車を運転しながら、杉本氏は高志の

腿へ手を伸ばしてきた。

 杉本氏の顔をまじまじと眺めた高志は、自分の好みのタイプなので、口

には出さなかったが嬉しかった。

 こんな人とベットを共に出来るのだと思うと胸が弾んだ。

「杉本さんは私のことを覚えているのですか? 私は初対面のような気が

するのですが」

「私もはっきりした記憶はありませんが、私の携帯に貴方の番号が残って

いるので、確かに前に映画館で会っている筈です」

「不思議ですね」

 そんな会話をしている内に、モーテルへ着いた。

 日曜日とあって、ほとんど部屋が塞がっていたが、幸い空いている部屋

を見つけたので、杉本氏は車を乗り入れた。

 部屋へ入ると、杉本氏は風呂場へ行って湯舟にお湯を出して、高志の元

へ来て高志を抱き寄せた。

「こんな私でもいいのですか?」

「良いからモーテルまで来たのでしょう」

 抱き合ったまま、二人はベットに倒れた。風呂に入るのも待っていられ

ず、服を脱ぎ捨て全裸になって抱き合った。

杉本氏は高志より少し小柄だが、小太りの精悍な体つきをしていた。

 高志の指はどちらかと言えば、細くて長いが、杉本氏の指はごつい感じ

がする指であった。

 太い腕で高志は強く抱きしめられ、何故か四歳年下の杉本氏が、高志よ

りずっと年上に思えた。

「これから、貴方を山野辺さんだから山ちゃんと呼ぶよ」

「それじゃ私は、杉本さんをスーさんと呼ぶよ」

「山ちゃん」

「スーさん」

「山ちゃん」

「スーさん」

 何度繰り返しただろう。互いに性器を弄りながら、言葉にならない言葉

を発していた。

 高志はスーさんの上になり、胸から次第に性器へと口を這わせていた。

スーさんは

「あああ」

 と声を出した。その声が高志には堪らなかった。

 高志もすっかり興奮して、スーさんのペニスを口に頬ばった。

 するとスーさんはまた

「ああああ」

 と声をあげた。

「風呂にお湯が溜まった頃だから、お風呂に入りましょう。後は風呂へ入

ってからのお楽しみ」

 このまま情欲に身を任せていたのでは、互いに射精まで行ってしまうと

思った高志は、スーさんを風呂へ誘った。

 湯舟には、既に満杯のお湯が溜まっていた。スーさんが垢すりにボディ

シャンプーをつけて

「山ちゃんそこへ立って」

 と言って高志の体を洗い始めた。シャンプーの泡がたちまち高志の体全

体に広がり、その泡の上からスーさんは体を寄せてきた。

 男と男の肌の感触の良さは、この世界の人間にしか分からないだろう…

と、そんなことを思いながら高志はスーさんの為すがままになっていた。

 シャワーで泡をすっかり流してから、高志はスーさんのペニスを咥えた。

 六十九歳のスーさんは、まだまだ元気が漲っていた。スーさんさんのペ

ニスは太く、高志の口に合う程良い長さで、亀頭は広く傘を張っていた。

 高志のペニスより一回り大きいと思った。

「ベットへ行こう」

 とスーさんが高志の尺八を制止して、抱き合ったまま体を摺り寄せてベ

ットへ向かった。

 部屋は煌々と明かりが点いていて、気恥ずかしい気もしたが、その明か

りの下でベットの上に一緒に寝た。

 高志は、スーさんの悦ぶ顔が見たくて、必死にスーさんのペニスにむし

ゃぶり付いて離さなかった。

 尺八をしながら、高志はスーさんのお尻へそっと手を伸ばした。

「山ちゃんになら、入れられてもいいよ」

「経験あるの」

「全く無いよ」

「それなら、多分無理だよ」

 高志は、指に唾液をつけて、スーさんの秘腔へ静かに入れてみた。

 最初はジッとしていたスーさんだったが

「あ、痛い」

 と、言って身をくねらせた。

矢張り、無理だと解かった高志は、静かに指を抜いた。

 スーさんの身体の中に、自分の一物を挿入して、スーさんと一体になれ

たらどんなに良いだろうと思ったが、高志自身、年々減退する自分の勃起

力を自覚しているので、全く初めての秘腔へ挿入する自信がなかった。

 恐らく、十年前だったら、勃起力も旺盛だったので、有無を言わさず、

スーさんの身体を貫いていただろうが、

 今の高志の勃起力では、スーさんの秘腔へ挿入する自信が無い。

 歳は取りたくないと思っても、これだけは仕方がないと解かっているが、

少し寂しい気もする。

 高志は二ヶ月に一度、前立腺肥大の定期健診をしているので、次の検診

の時、恥をしのんで先生にバイアグラを出して貰おうかと考えていた。

 それから、延々と一時間くらい互いに上になったり下になったり、時に

はシックスナインで愛し合った。高志はこんなに激しく、長い時間をかけ

て愛し合ったのは久し振りのことであった。

 そうだ、新潟の忠さんともこんな時間を持ったことがあったと、ふとそ

の時のことが頭をよぎった。

 忠さんとは歳も違うし、体つきも違っているが、何といっても、何気な

い気遣いが、忠さんに似ていると高志は思った。

 それに、口の悪いところまで似いてると思った。

 その口の悪さは、心底悪気があってのことではなく、それは優しさの裏

返しであることを高志は知っている。スーさんに抱きついて

「スーさん好きだよ」

 と口走った高志は自分の顔が赤らむを覚えた。

 スーさんは目を閉じて黙って頷いた。   

 その時、この人にのめり込むのではないかと高志は直感した。

 流石に一時間もプレーをしていると、疲れ始めたので、高志はスーさん

さんを射精へ導くように、必死で口に咥えて深く浅く、時には亀頭を嘗め

回してスーさんの絶頂を待った。

 ほどなくして、スーさんは高志の口に思い切り射精をした。

 少し休んで、今度はスーさんが高志の乳首を愛撫し、ペニスを扱いて高

志をイカせた。

「もう一度風呂に入って、そろそろ出ようか」

「そうしましょう」

 何時までも一緒に居たかった高志だったが、お互いに家庭の有る身なの

で、一緒に風呂に入り帰ることにした。

風呂場で、いきなりスーさんが

「こっちを向いて」

 と言うのでスーさんの方を向くと、スーさんは高志の体におしっこを掛

けてきた。

 スーさんにはこんな趣味もあるんだと思って、高志はスーさんのおしっ

こが終わるまでじっとしていた。

 不思議なもので、好きな人のおしっこなら、むしろ嬉しい気持ちになる

ものだ。おしっこが終わると、スーさんはシャワーで高志の体を洗い流し

た。

 

“今日はご苦労さまでした、少し前に着きました。途中、凄い雨と風でし

た ”

 

 というメールが高志の携帯に届いたのは午後七時三十分ころだった。そ

の日は、各地で大雨が降って、床下、床上の浸水被害も出た所があったの

で、
無事に着いた知らせを受けて、高志は安心した。車で二時間の帰路が

強い雨や風では大変だったろうと、申し訳ない気がした。でも月に一度は

逢おうと言ってくれた言葉を信じて、次の逢瀬を楽しみに待つ高志だった。



                                             続 く 










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