「晩秋の薔薇」  .

(スーさんと山ちゃんの世界)  .



                                         N爺さん 


(9)  .



〝こんばんは! 

 十三日はスーパー台風が来ているので、日時を変更しましょう。直撃し

そうなので、お互い注意しよう〟

 携帯電話をズボンのポケットに入れたままだったので、このメールに気

がついたのは次の朝だった。

 先週の台風十八号に引き続き、大型の台風十九号が日本に接近しつつあ

るとの報道は、高志も知っていて、とても気になり随時、台風情報をパソ

コンなどで確認していた。

 七月に初めてスーさんに逢った時も、大雨注意報が出されていたが、ス

ーさんは

〝雨が降っても必ず行きます〟

 とメールで言ってきていたので、今回も無理をしてでも逢いに来てくれ

るかも知れない…と十三日の逢瀬に期待をかけていた高志だった。

 日時の変更ということは、言い訳でもう逢う事に見切りをつけたのだろ

うか、と高志は不安になってきた。

〝お早うございます。メールに気付かずにいました。ごめんなさい。

 私も台風が気になって、毎日台風情報を確認しています 台風の速度が

遅くなったので、十三日は雨は降るようですが、大丈夫かと思っていまし

た。

でも、台風の中を無理に逢う事も躊躇われます。十三日を指折り数えて待

っていましたが、今回も延期したほうが良いかも知れませんね。

 何時がよいでしょうか?ご都合をお知らせ下さい。

 薬は一週間飲み終わりました〟

高志は返信をしながら、どんな返事が返ってくるか、とても心配だった。

 次の日、十一時ごろ返事が届いた。

〝紅葉にはチョッと早いですネ。今日は結婚式で裏磐梯にいます。明日の

ゴルフ、キャンセルになったので、明日空いているのなら明日でも良いで

すよ。これから式です。〟

 ホテル前の紅葉を写真に撮って、わざわざ添付しての返信だった。

〝明日なら、私も好都合です。明日是非逢いたいと思います。いつもの所

で待っています。十三時に…スーさん好き~〟 

 スーさんに逢うのが無期延期になるのではないかと心配していただけに、

一日でも早く逢おうと言ってきたスーさんの気持ちが、高志はとても嬉し

かった。

〝裏磐梯での結婚式、二次会まで出て今戻って来ました。疲れた~  明

日いつもの所で十二時でも良いですか?

 夕方用事があるので…如何でしょうか〟

〝こんばんは!メール今見ました。

 明日十二時とのことですが、少し遅れて行く事になると思います。午前

中、町内会の会議があるので…出来るだけ早く行く事にしますから待って

いて下さい〟 

 町内会の会議など途中で抜け出しても構わないと思った高志は、次の朝

スーさんが出掛ける前にメールを送った。

〝おはようございます。

 今日の逢瀬を楽しみにしています。

十二時とのことでしたが、もう少し早くても構いません。夕方用事がある

のだったら、早いほうが良いかも知れませんね。会議を早々に切り上げま

すから十一時四十分には行けると思います

 少し早めにお出掛け下さい〟

〝はい、解かりました。十一時三十分に到着するようにします〟

 高志は、会議を中座してスーさんの待っているいつもの所へ十一時二十

五分に行った。既にスーさんは到着していて高志を待っていた。

「こんにちは!しばらく振りです。」

 にっこり笑ってスーさんが迎えてくれた。二ヶ月近く逢っていなかった

が、そんなブランクも一瞬のうちに埋まってしまった。スーさんの車に乗

ると、スーさんは、車を走らせモーテルへ直行した。

「今日はセックス抜きにしましよう。」

 と高志が切り出すと

「うそ! それでどうするの?」

「モーテルへは勿論行きますよ。でも、又スーさんが病気になるのが怖い

から…」

「薬は飲んだのでしょう」

「一週間飲みました」

「だったら大丈夫。もし又罹ったら薬を飲めば良いのだから」

「後はスーさんに任せます」

走行している内にモーテルへ着いた。

 今日も、日曜日とあってどこも空いている部屋がなく、車は何度もモー

テルの敷地を廻り、どうにか一つ空いている部屋を見つけることが出来た。

 部屋へ入ると、スーさんは高志を抱き寄せて、唇を寄せてきた。高志は

両腕をスーさんの背中にまわして、強く抱きしめ、唇を重ね合わせた。

「何を食べたの?甘い味がするよ」

「何も食べていませんよ。この前、逢う前、二時間は煙草を吸わないで、

と言ったでしょう。三時間前から煙草は吸っていないし、口臭消しのスプ

レーを口に掛けたからきっとその味でしょう。」

 そう言ってから、高志はスーさんが別の意味で言ったのではないかと思

った。

高志との接吻が、甘い味だと言いたかったのかも知れない。



                                             続 く 










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