あまね さんのエッセイ




春・・・・ (7)放り出された若者



気がつけば花粉症で目が痒くてくしゃみが出る時期になってしまっている。

『今年は花粉とPM2.5か』

年の経つのが早いことも分からなくなって来ている。

 

 

卒業証書を紛失してしまったというニュースを「そんなアホな」と笑いな

がら聞いていて、そう言えば今は卒業式の季節だということに気づく。

『毎年毎年確実に儀式は行われる』

卒業式なんかとっくに終わった高校生、というより高校から放り出された

若者にとって、3年間というより実質2年半はあっという間。

去年1年先輩が就職出来てよかったと喜んでいたのを見ていたのが、気が

つくと秋には就職決まっていたと言うのが殆ど。

進学組も今の時代推薦入試などいろんな入試形態があるので秋には決まっ

ている生徒も多い。いわゆる国公私立の一般入試を受ける生徒がいない高

校では、就職組も進学組もほぼ全員前年の12月中には決まっている場合が

多い。

作文と面接試験練習頑張りましたと言って卒業を喜ぶのを見ると嬉しいと

も思うが、少し可哀想に思うこともある。

小学生の頃から褒められたことが少ない子供たちが集まる高校に来ること

に慣らされ、やがて気持ちを入れなおして頑張る生徒は応援のしがいがあ

る。そうでない生徒も多く、振り分けられた高校でも目立たずただただ放

り出される生徒も多い。

学校の教師の仕事とはとにかく毎年毎年生徒を受け入れ、大人しく飼いな

らし全員を放り出すことなのかも知れない。

 

 

電車の中でベビーカーに乗せられた小さな子が小さな手で本を持ち、小さ

な指でページをめくってじぃーっと本を見つめている。その子を見ている

と「こうやって落ち着いて静かに本を読みなさい」と言われているような

気持ちにさせられた。電車内の広告も珍しいのかじぃーっと見て何でも目

の中に吸収してしまわんばかりだ。さらには目の前にいる放り出されたば

かりの若者も、放り出した大人達もその全てを見透かしているようであっ

た。



                        




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