あまね さんのエッセイ №17              .




2016初夏


(5) 巣鴨まで歩いてみれば



「駒ケン」がなんとも客に親切だと感じる一つに「一時外出」が許されて

いる点であるのはみんな納得いっていることでしょう。

 

朝食にちょっと外出、浅草・上野などちょっと東京見物にちょっと夕方ま

で、昼飯ですぐそこまで、安い映画を見に行きに・・などなど、特に地方

から東京まで行った僕らにとっては何とも贅沢な有難いシステムなんです。

 

なかには夜でも飲み客友達がさらに気分が乗ってきたのだろう、グループ

でどこかのバーに出かけ、夜中に帰ってくるというのも見かけることがあ

る。このようなグループはもちろん常連客で館内でも大きな声を張り上げ、

お互いに口汚くおねえ言葉でののしり合うなんてことはいつものことであ

り、夜中に帰ってきても従業員の方に大きい声で横柄な言葉を投げかける

人もいらっしゃるが、そこは少しでも「駒ケン」の会長の親切心に感謝し

て欲しいとも思うのであるが、酔っ払いに言ってもある意味仕方がないか。

 

泊まった翌日など、さらにセックス漬けをする体力 も気力など持ち合わ

せている年齢でもないし、少し昼飯などを食べて気分転換などと「駒ケン」

から巣鴨辺りまでぶらっと歩くことが多い。

 

まずいつも前を通るたびに感心するのが大邸宅「松平」家。何でも高松の

殿様・松平家の子孫で、現在隣のゴルフ練習場経営やボーイスカウト活動

や近くの私立中高一貫校「本郷学園」理事長をやっていらっしゃるという

(もちろん詳しくは知らないが・・)偉い方が住んでらっしゃるらしい。

このあたりはマンションが多く、また山手線を挟んでの一帯は一戸建てが

並び、何でも鳩山邦男氏の邸宅もあるという。静かな住宅街と言ったとこ

ろか。

 

次に「松平」家よりも感心するのがスポーツセンター「三菱養和思斉館」。

名前も立派で居合抜きや合気道などを行う武道館もあるらしいが、なんと

言っても広いサッカーグランドが目につく。いつも通るたびに、時間帯に

より幼児クラスから小・中・高生クラス、一般・青年クラス別に、朝から

夜まで誰かが大勢サッカーかフットサルの練習や試合を行っている。東京

には、いや全国にはこれ以上の設備や規模のサッカー関連施設があると思

うが、巣鴨駅から歩いてわずか
3分もかからない都会のど真ん中で幼児か

ら青年まで練習に励んでいるのをみると、スポーツ王国ニッポンを感じて

しまい、少し前までは考えられなかった日本人サッカー選手がヨーロッパ

で活躍するということが当たり前のように思えてくる。

 

他の競技でも、たとえば体操競技でリオ・オリンピックで団体で金メダル

に近いとか、水泳、柔道、レスリングなどでも金メダル候補者が複数出て

いるし、野球にしてもアメリカ・メジャーリーグで活躍する選手の名前が

誰でも頭に浮かんでくる現在の日本。それは各競技の裾野が広がり、幼児

から訓練しているからのことであることの成果であることは間違いない。

中国では各競技で優秀な世界一を育て上げるのが国家プロジェクトの一つ

であることも皆さん周知の通りであるが、日本では、優秀な子どもを国が

援助するというシステムになってなく、個人レベルで小さい時からスポー

ツ教室へ子供を通わせ、高校への進学段階で特待生などでちょっぴり優遇

されて。少しづつ上へ行くという流れだと思うが、基本はあくまでも親な

どの個人負担による選手育成と言えるだろう。一流選手になれば、海外遠

征も珍しくなく、はや中学生の段階で何とかの世界大会優勝実績を持つと

いうので高校野球などで紹介される選手もいるが、その遠征費用とかは大

変なものであろう。そんなごくごく一部の一流選手の場合でなくても、多

くの家庭で幼児の段階からスポーツ教室に通わせる時代なんですね、今の

日本は。

 

ここを通る度、このサッカーグランドでのサッカー教室に通えるのは恵ま

れた家庭環境の子供たちでなんだろうなと考えてしまうが、ごくごくたま

に年配者のサッカー同好会の試合を見ていると、ちょっぴり豊かな気分に

なってくる。走るのも大変そうな体型の人からまだまだキック力もしっか

りしている人などが混じって、お揃いのユニフォームで夢中になっている

ことも面白いが、ボールを追っかけている人の中から、どうしてもいい人

いないかなという目でしか見なくなってしまい、一人そんな人がいるとが

ぜん楽しくなってしまう。

 

さらに足を伸ばし食事にと巣鴨駅横の牛丼屋でおなじみの「松屋」にはた

まに行く。もちろん安いから行くが、ここの白飯だけ他ファーストフード

店よりはおいしと思う。他のちょっとした駅前と同じで、「駒ケン」の周

りにもよくお世話になる「松屋」「すき家」などの牛丼屋、そばの「富士

そば」、中華料理の「日高屋」。ハンバーガーの「マクドナルド」、コー

ヒーの「ドトール」など値が安い店は一杯あり、食べるのには困らないが、

特に「松屋」によく行くせいか、ここの店員の入れ替わりの早さ、なかな

か店員が長続きしないのに気がついてしまう。混雑時にはまさしくてんて

こまいで、立ちずくめの作業は若い人でもかなり辛いように見えが、巣鴨

の「松屋」の店員さんは、たぶんベトナムからの留学生であろうか、笑顔

がないどころか、なんかふくれっ面なんです。一人ではなく、みんな何か

つらいようで、「すぐに辞めてやる」という表情なんです。しかし、間違

ってもそんな店員さんに文句など言う気持ちは起こりません。そりゃそう

でしょう、いつもアルバイト募集のはり紙をやっている店で労働にみあえ

るお金をもらっているはずがなかろうし、長時間立ちずくめで、客と言え

ば、アメリカで「
Sekoi」という日本語で紹介される都知事がいる東京で

生活している貧しいしけた顔をした男の客ばっかりで「やってられるか」

なんて思っていてもおかしくないと思い、客である自分がちょっぴり恥ず

かしくなり、「自分を鏡でも見て反省しなさい」って言われている気まで

するんです。

 

それはそうと、「駒ケン」の周りが静かな住宅街で気分転換にはちょうど

いいというのも、他のサウナとは違う贅沢な一面ですよね。










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