あまね さんのエッセイ №21              .




2016 初 夏


(9) これってジンクス?



6月の最終日ともなり梅雨まっさかりと言え、九州で大雨の被害をもたら

している梅雨前線がもう少しで北上することになり、そうなれば暑い暑い

となるなぁと思いながら、たった一両で走っているローカル線に乗ってい

ると、元気な
70代と思われるお婆さんたちの話声が、少しも途切れること

のない話声が右前の方向からと真前の方向から聞こえて、どうしてこんな

に女性の方は休むことなしに話をすることができるのだろうかと関心さえ

してしあう。片方の話題は畑仕事をする夫とそうでないお婆さんの家庭の

話で、愚痴っている様子でなく、穏やかな顔をして笑顔を交えながら話し

ている。一つ前の真前の
3人のお婆さんは、もともと3人グループではなく、

2人が座っている席の対面に後から座ったお婆さんが話しかけて、知らな

い人が見たら、なんとも良くしゃべる中の良い
3人グループという感じで、

話の内容は健康維持の話で、やはりウォーキングがいいという話だが、こ

れから暑くなるので無理はしない方がいいということのようだ。

 

たった一両の車内には、期末テストを終えたと思われる高校生がなど比較

的若い人もいるが、
20人ちょっとの乗客の三分の二は高齢者で手に手にレ

ジ袋を抱えていて、ターミナル駅ナカのスーパーなどで買い物をして家へ

帰ると行った感じで、一番の最高齢者は
90に近いと思われるお爺さんで、

一人で静かにただ静かに、お婆さんたちの話声を聞いているのかどうか、

ただただ静かに少し疲れたように座ってらっしゃる。こういう風景を見る

と、たった一両の電車が走らせているこのローカル線は決して儲かる線で

はなくJRにとったら単なる赤字路線でしかないと思うが、いくら車社会

とは言っても、沿線に住む者にとってはなくてはならないもので有難いも

のである。

 

電車に乗っている時間帯にもよるが、三宮などに出かける時、このローカ

ル線でもいい人を見かけることがある。相変わらずお元気そうでいいなぁ

などとその時は思っているのであるが、本線でも同じ車両にいい感じの人

が載っているのを見かけると、「あれぇ、今日はついているかも」と思っ

てしまう。さらに三宮駅で降りて、たとえば喫茶店とか歩いている時にい

い人を見かけると、「やはり今日はついている」と確信してしまう。その

ような日は足がたまに行く「パチスロ屋」に向う。「こんな日は勝つ可能

性が非常に高い」と経験上思っている。だってそうでしょう、いい人を偶

然見かけるっていうことは、単純についているってことで、いわゆる偶然

性の要素が高いギャンブルをちょっぴり愛する人間にとっては、いいこと

がありそうって思われることが続くことは幸運そのものであるので、いい

人を見かけたら勝てるという予感は、ジンクスというものではなく、チャ

ンスそのもののなかにいると確信し勝負しようという気になってしまうの

である。

 

こんな経験は滅多にありません。だからギャンブルなんてめったに勝てま

せん。ついていない日にはギャンブルをしないで我慢できる人しかギャン

ブルしても勝てません。しかし殆どの人が我慢できないから、パチンコ・

パチスロ屋、競馬界、宝くじ協会は儲かるのです。

(おしまい)










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