風神さんのエッセイ №12               .




神のいたずら



先日何時もの様に映画館に出掛けて適当な親父さんを見つけて隣に座って

早速手を出したのです…

薄暗い館内でははっきりした顔立ちの判別も出来ないのですが、チンボの

味や感動の良さで、あれ?この親父さん前に一度遊んだ人と気が付きまし

た、この時に初めて会話をしました、

前にも一度遊びましたよね?と言うとこの世界を知ったのは六年前でここ

で遊ぶのは二度目だと言いました偶然でした、親父さんは二回連続で私を

相手にした訳です、感度のいい親父さんでどこを撫でても感じてくれます、

私のおしゃぶりにも腰をビクビクしながら感じてくれて、あと少しで逝く

と言う段階に成ると口から外そうとしました、出さなくていいの?と聞く

と、映画が終わって明るく成ってしまうからと言うのですその時初めて顔

を見上げました、その笑顔が十年前に亡くなった埼玉の爺ちゃんにそっく

りだったのです、地元の名士で何故だか私と気が合って暇さえあればあち

こち出掛けていました、おい、市場に行くぞ、メシ食いに行くぞと電話が

来て爺ちゃんが自分では滅多に運転しないセルシオを車庫から出して運転

するのが私の役目でした、地元の人から会長と呼ばれ知り合いも多く、そ

の人たちが私を見てこの人は?と聞かれると外に出来た息子だよと笑い飛

ばす爺ちゃんでした…

爺ちゃんは勿論ノンケでした、二人で温泉一泊した時湯船につかる私の前

をチンボをブラブラさせて歩くものだから困りましたが、関係が崩れる事

を恐れて手は出せませんでした、大好きな爺ちゃんが糖尿病が悪化して入

館する寸前に私は埼玉から引っ越してしまいましたが、入院先の病院にも

何度も見舞いました、病院を抜け出してドジョウを買いに行くと言い出し、

そんな事をしたら叱られるよ?と幾らなだめても聞かないので、病院の外

を散歩する振りをして私の車に乗せて病院を抜け出しましたが、病院中が

大騒ぎに成って、爺ちゃんの実感から私の携帯にすぐさま電話があって直

ぐに戻って下さいと言われてしまいました、その時の淋しそうな顔をいま

でも忘れられません…爺ちゃん退院したらどこでも連れて行くから頑張っ

て早く退院しようね?と慰めたものの自宅から近い病院に転院したけれど

退院は叶いませんでした、転院した病院にも見舞いに行きましたが、病状

は悪化するばかり…肩で息をしながら私を見て死にたく無いよ…と弱音を

吐きました、爺ちゃん代わって上げたいよ

…と言いましたが代われる訳はありません爺ちゃんが亡くなったと聞いて

身体中の力が抜ける思いをしました、映画館の親父さんの笑顔が爺ちゃん

にそっくりだったのです…

外で会いたいねと言う言葉を真っ白な頭で聞いていました、必ず戻って来

るからここに居て?と親父さんは席を立ちました、二分ぐらい席に座って

いましたが、一服するかと館内を出てトイレや喫煙室を探しても姿はあり

ませんでした、十年振りに爺ちゃんの笑顔を見たようでその懐かしさを抱

えたまま帰りたいと思ったのです…明るい場所で正面から見たら恐らく全

く似ていないでしょう…爺ちゃんの面影をその人に求めてはいけないので

す…もし今度会ったら違う人として接したいと思います、私は昔、荒川で

死体を見つけた事があってうつ伏せの死体は半分砂に埋まっていて警察に

電話をして回収されるまで見届けました、その死体の顔をずっと覚えてい

ましたそれから数ヶ月、夜勤明けで家に帰るまだ明け切らぬ国道に自転車

が車道に倒れ一面に新聞が散乱する先に倒れている人を発見しました、縁

石にぶつかって車道に倒れたのだろうか?と近寄り声を掛けました、大丈

夫?返答はありません、ふと脚を見ると鍵状に破れたズボンの下にやはり

鍵状に裂けた脚が見えました…

出血していないのです、心臓が動いていれば出血するはずです…そう既に

亡くなっていたのです、車道の端を走っていて車に跳ねられて即死だった

のでしょう…その親父さんと河原の死体が顔が同じだったのです…まるで

同一人物の様でしたこれって私の目の錯覚?

今回映画館で見た親父さんが十年前に亡くなった爺ちゃんにそっくりな笑

顔だったのも私の錯覚?墓参りに来いよと爺ちゃんが呼んでいるのでしょ

うか…この世にはまだまだ不思議な事が一杯あります…もしかしたら神様

のいたずらかも知れませんね?
    風神でした










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