風神さんのエッセイ №23               .




真夜中の不思議な出来事



夜中の二時半…何故だか目を冷まし、パッチリ開いたお目々は再び眠りに

落ちようとはしません、エアコンの温度設定が低く過ぎて、肌寒いぐらい

です、暑さに弱い私は昔から寒いぐらいにして肌掛けを一枚掛けて眠るの

が常でした…

 

ふと随分昔の不思議な出来事を思い出しました、季節は秋から冬に移り変

わる頃の事です…

淋しさが心を支配して寝付けずに私は有名な発展公園へと車を走らせまし

た、外は冷たい雨がシトシトと振り続いてました…

公園に着いて傘を差して公園の遊歩道をゆっくりと歩きました、もしかし

たら私と同様に人恋しくて眠れない人が居るのではないか…その淡い期待

は見事に裏切られ、薄暗い遊歩道に人の姿はありませんでした…猫の子一

匹居ませんでした

そりゃそうですよね…濡れる事を嫌う猫が冷たい雨がシトシトと振り続く

こんな真夜中に出歩く訳が無い…

 

無理にでも目を閉じて寝てた方が良かった…と後悔しました…頭上の木々

は小雨を集めて大粒にして私の傘に音を立てて落ちて来ます…失敗したな‥

と思う私の足元に長靴が放り投げた様に散らばって落ちて居ました…

 

何だろう?と思うその先にずぶ濡れの上着…更にその先にズボン…更にそ

の先に下着らしき薄汚れたものが点々と続いて居ました…身に付けていた

ものを脱いで行ったとしか思えないその有り様に頭を傾げて先に進むとこ

んもりと盛り上がった黒い物体が目に入りました…遊歩道の垣根のそばに

枯れ葉が集めてあって黒い塊に見えたのです…

 

その端から人間の白い足が見えたのです…殺人事件?私は以前死体を二度

目撃しているので声を上げて驚く事はありません…被った枯れ葉をどける

と血の気を失った体が現れました、かすかに温もりが残って居ます…あれ

これ推測する前に救急車を呼ばなくては…私は携帯でセンターに電話して

救急車を要請しました…

 

場所が特定出来ないので道路に立っていて貰えますか?との事…待つこと

十分で赤色灯を回しサイレンを鳴らさず救急車が到着し、

枯れ葉に埋もれた丸裸の人物を毛布でくるんで車に乗せて走り去りました…

 

後には薄暗い遊歩道に長靴と点々と脱ぎ散らかした衣類が残りました…も

し私が人恋しくてこの雨の公園に来なければ確実に彼は枯れ葉に埋もれて

息絶えたでしょう…

彼はそれを望んであの行動に出たのかも知れません…恐らくは公園で暮ら

す浮浪者…酒屋の裏にある瓶の残り酒でも集めて飲んで、我が身を振り返

りこれから始まる厳しい冬を思うと絶望的に成り深酒も後押しをして冷た

い雨に身を晒し、歩きながら一枚づつ脱いだのでしょうか…

 

すぐに意識を失うと思ったのは彼の誤算で肌を刺す冷たい雨に耐えられな

く成ったけれど脱ぎ捨てた衣類はずぶ濡れで身にまとえない…彼はガタガ

タと震えながら枯れ葉を集めて雨の攻撃を逃れようとしたのだと思う…

 

私は人助けをしたのだろうか?意識も失いかけて苦しみは無かったはずで

もしかしたら余計なお世話?彼が望んだ様に死なせてやるべきじゃなかっ

たかと今でもふと思うのです…

 

不思議な事に私は彼の顔を見ていないのです…あれから彼がどう成ったの

かも知る由もありませんが、生き残ってしまった事で助けを呼んだ私を恨

んでいるかも知れませんね…

 

でもこの世に偶然は無いと言います、死にたがった彼と人恋しくて雨の真

夜中の公園に行った私は必然的に出会ったのだと思います、彼が死ぬ運命

にあったなら私が偶然にその場を通らず十メートル手前で引き返していた

はずです、人は幸せに成る為に生まれて来てはいない…

だから神はこれでもか…と試練を与えるのです、

私はこれでおしまい?と天を仰ぐのです()  風神でした










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