越刎さんのエッセイ №3                .




発酵食品の魔法の力



小学校の廃校跡にNPO法人が地産地消を目的に地元の農産物・海産物

の販売を始めて10年を記念して、発酵学者の小泉武夫東京農業大学名

誉教授を迎えて講演会がありました。

 その前の土曜日と2日間第5回うまいもん市も開かれました。この時

は主に発酵食品を前面に出して販売していました。

 食堂では2日間、1日50食限定の「焼き鯖定食」(800円)を出

していました。この焼き鯖は能登のイシル(魚醤油)で漬けた鯖の切り

身を干したものを焼いたのです。私はこれを頂きました。今まで食べた

焼き鯖よりづーと美味かったです。

 小泉先生は「発酵食品の魔法の力」と題して発酵食品がいかに旨いか

を分かり易い話しぶりで約1時間半話されました。以下はその要点を記

します。

 

 身の回りには何兆と言う微生物(菌)がいます。大きく分けて悪玉の

黴も含めたと腐敗菌と病原菌、善玉の酵母菌そして、影響のない雑菌で

す。

 先にいた菌の上に他の菌は入り込みにくいのです。従って発酵食品は

腐り難い。

 最近の潔癖性は雑菌を取り除くため病原菌や悪い菌が着き易いのです。

アレルギーや花粉症も増えてきた一因もこの為です。正に潔癖症です。

 ところで発酵食品は身近なところでは、納豆、ヨーグルト、漬物、酢、

味噌、醤油、更にビールやワインに酒など数多くあります。これらをつ

かさどる納豆菌、乳酸菌、酵母菌、などは高温から低温まで死にません。

パンを焼く前、小麦粉にイースト菌を入れて熟成すると炭酸ガスで膨れ

ます。そして旨味がでます。

 発酵食品は遠く縄文時代からありました。酒が太古から飲まれていま

す。

 石川県は北前船で北海道から沖縄まで交易していましたので、色々の

発酵食品がありますが、特に有名なのは能登のイシル(魚の醤油)、金

沢の蕪寿司、美川の河豚の粕漬けがあります。

 最近ブームになった塩麹は魚や肉にぬって焼くと旨味がますと言われ

ています。


 ここで発酵食品の三大特徴を上げます。


1.発酵食品は腐りにくい。

大豆を煮てそのままだた1晩で腐りますが、納豆菌を着けますと腐りま

せん。また
110℃に熱しても納豆菌は死にません。ヨーグルトは腐らな

い。モスクで発見された
170年前のチーズが出てきたが腐っていなかっ

た。日本でも40年前の鯉のナレ寿司も腐っていなかった。古代人が発

酵を見付けたのは食物が取れない時に備えるためだと思われます(保存

食品)。腐敗菌は酸っぱいものと塩の着いたものには着きません。


2.発酵食品は栄養価が高い

 納豆は発酵するとアミノ酸が8倍に増える。ヨーグルトは牛乳よりビ

タミンが増え、カルシュームの人体への吸収は大幅に増えます。米麹の

甘酒1杯で1日の必要なビタミンが取れるので、江戸時代は夏に冷えた

甘酒が流行った。(俳句では甘酒は夏の季語)

 昔から関東は毎日納豆を食べ、関西は豆腐の入った味噌汁を飲んでい

ました。豆腐の油揚げなど大豆の有している蛋白質は牛肉の蛋白質と余

り変わりません。大豆は俗に畑の肉と呼んでいます。


3.発酵食品は特殊な匂いと味が着く。

 牛乳は匂いがしないが、チーズは匂いがします。匂いのする食品は殆

んど発酵食品です。

「くさや」が日本一臭い食品とされていますが、匂いセンサーで測った

数値では焼く前が
147Auに対し焼くと8倍の1267Auになります。「くさ

や」は伊豆諸島で捕れた魚類を「くさや汁」という発酵汁につけて干し

たものです。

 因みの世界一臭い食品とされるシュールストレシング(スエーデンの

ニシンの缶詰)ですが、これはニシンの塩漬けしたものを缶詰にして発

酵させたものです。缶を開けた時の匂いで
8070Auあります。くさやの6

倍以上です。2位は韓国のホンオ・フェ(エイ料理)で
6230Auです。

 日本の臭い物に鮒鮨488Au、納豆452Au、沢庵の古漬け438Auとありま

した。臭いけれど旨いとよく食べられています。

 私ごとになりますが、若い頃より匂いの強い食品が苦手で、沢庵は家

族で私だけが避けていました。高級な奈良漬を貰った時人に上げました。

金沢の蕪寿司は殆んど買いませんでした。しかし発酵食品が美味しいと

言われ今では少しは食しています。








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