圭堂さんのエッセイ №5                     .




【妄想作家の独り言】


インモラル・スパイラル



                                         2016年8月

「長かった。やっと終わった」

これは先日まで掲載されていた「インモラル・スパイラル」の主人公であ

る福山武が最終話で発した言葉です。

この言葉は主人公の言葉であると同時に、読者のみなさまのお気持ちかも

しれません。

長期間、私の拙い小説をお読みいただき、ありがとうごさいました。

そして更にもうひとつ、主人公のこの言葉は作品を書き終えた私の心境で

もあります。

何故なら「インモラル・スパイラル」を書き始めたのは2013年の秋頃

であり、完結するまでに約3年も要したからです。

とは言っても3年前からずっと書き続けていたのではなく、最初の頃は小

説のタイトルと大まかな構想しか決まっていませんでした。

最初に決定したのは「インモラル・スパイラル」というタイトルです。

この韻を踏んだようで、淫靡な語調を持つ言葉がとても気に入り、タイト

ルがまず決まりました。アンモラルでもアモラルでもなく、インモラルと

いう響きが気に入ったのです。

次に考えたのは作品のテーマです。これはすぐに決まりました。タイトル

のとおり「不道徳」です。現実の世界では絶対に実践できないことをテー

マに小説を書いてみたいと以前から思っていたからです。

本格的に書き始めたのは去年の春頃からです。

正直だけが取り柄の私にこのテーマで作品が書けるかな、と思っていまし

たが、実際に書き始めると、次から次へと出てくる出てくる悪事のアイデ

アの数々が……。

あらあら、あらら、自分では善人だと思っていましたが、真の私は性悪だ

ったのですね。

今回の小説は「圭堂」の作品ではなく「夢現圭堂」の作品ですので、もっ

とスリルとサスペンスに溢れた作品にするつもりだったのですが、途中か

らどんどんスケベな内容になってしまって……。

あれあれ、あれれ。私は性悪のうえに、更にスケベでもあったのですね。

全くトホホです。

 

今回の作品の第1話を投稿したのは2015年10月です。途中何度か中

断しましたが、完結するまでに約9ヵ月、私にしては珍しく全150話と

いう長編になってしまいました。

私の小説は内容が「お下品」なので嫌悪感を抱かれている方もおられると

思いますが、それでも極々稀に私の小説を好きだと言ってくださる方がい

らっしゃいます。連載が開始されてからしばらくすると、そんな方々から

こんなお便りを頂戴しました。

「最後は幸せになってほしい」「ハッピーエンドを希望します」

そこで私は少し悩んでしまいました。

『ええぇ~。「インモラル・スパイラル」というタイトルの作品に、ハッ

ピーエンドは相応しくないのですが…』

そうです。当初の構想ではハッピーエンドの結末など用意していなかった

のです。

『あ~ん、このままでは、僅かなファンの方にも嫌われてしまう…』

そう思った私は、途中から大部分を書き直したのです。

というのは冗談ですが、後半部分をかなり手直ししたのは事実です。

実は第1話を投稿した時点で既に約80話ほどが完成しており、あとは最

終章を書くだけの状態でした。

当初の構想では、真犯人は大物政治家の郷原大輔でした。その郷原は自分

の息子をシャブ漬けにされ更に自らも失脚に追い込まれた吉田代議士によ

って殺害され、その過程で飛田のお爺も凶弾に倒れて死亡し、最後は主人

公の福さんがひとりぼっちになってしまうというような結末を予定してい

ました。

ただ、自分自身でも大物政治家が真犯人ではありきたりだなと思っていま

したので、みなさんのご要望を参考に後半部分を大幅に修正したのです。

闇の総理も織田のご隠居も当初の構想にはなかった人達です。新しい人物

の登場に伴い展開を変更しているうちに、どんどんと長編になってしまっ

たのです。まぁ、これが投稿小説の面白いところだと感じております。

 

賢明な読者の方々の中にはいらっしゃらないと思いますが、作品に書かれ

ている悪事については決して真似をしないでくださいね。実践するとほと

んどの場合、犯罪になりますから。

悪行方法の半分は本当で、半分は私の創作です。

専門知識をお持ちの御仁からは、

「ない、ない。それはない」「そこは間違っている」

という声が聞こえてきそうですが、そこは素人作家が書いたものですから

大目に見てやってください。

しかし悪知恵とはよく言ったものです。悪いことをするにも知恵が必要な

のですね。作品を書くために、色々なことを浅く広く勉強しました。

今回の作品で一番苦労したと言うか、楽しかったのはこの部分かもしれま

せん。犯罪事例、金融知識、薬学、医学、心理学、コンピュータやサイバ

ー知識等々、今まで知らなかったことをかなり勉強しました。

スケベな内容ならいくらでも書けるのですが、その他のことにはとんと疎

いものですから。でもどうせならできる限り真実味のある内容にしたいと

思って自分なりに頑張りました。

『偉い。老体に鞭打って頑張ったね』

誰も褒めてくれそうにないので自分で褒めておきます。ホホホ。

 

さて、私は長編を書き終えて「ホッ」としていますが、みなさんはお楽し

みいただけたでしょうか。ハッピーエンドを意識した結末はいかがだった

でしょうか?

「ハッピーエンドは良いけれど、何だかスッキリしない終わり方だな」

そう感じた方もおられるのではないでしょうか。

ふふふ、意識的にそんな結末を選択しました。

意識を取り戻した飛田のお爺と福さんは、これからどうなっていくのでし

ょうか?

闇の総理こと村田厳斎と郷原大輔は本当に死んだのでしょうか?

それより何より、郷原大輔から託されたUSBには一体どんな極秘情報が

保存されていたのでしょうか?

極秘情報を入手した福さんは、それをどうするのでしょうか?

思わせ振りですねぇ。意地悪ですねぇ。何だか今すぐにでも続編が始まる

ような結末ですねぇ。

「えっ? 性懲りもなくまだ続くのか」

そう思ったそこのあなた、残念ながら不正解です。小説のネタがなくなっ

たら続編を書くかもしれませんが、今の私には書きたい作品がまだまだ沢

山あるのです。

次の作品は、コメディタッチで最後にちょっとだけホロリとする作品。そ

の次の作品は、時空を操る能力を持った人物が活躍するSFもの。そのま

た次の作品は、更にそのまた次は………。

などと思っていますが、元来怠け者の私ですから、次回作がいつ完成する

のかは自分でもよく分かりません。

「圭堂のことだから、次回作もどうせまたエロ小説だろう」

そう思ったそこのあなた、大正解です。

だって私は性悪で、更にスケベな妄想大好き爺さんなのですから。

 

では、また。











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