S.T さんのエッセイ 16                  .




迷い犬



今日も暑かったですね。それでも、午後は雲が出て来て涼しく過ごせまし

た。最近暑いせいか日中にあまり犬を散歩させる人が見られません。早朝

にでも散歩させてるのでしょうかね?

土日の疲れが出て、ボーっとしながらも、いつものように入口に立ってい

ました。ふと見るとあまり見かけないワンちゃんが歩いてきます、茶色の

雑種見たいです。

アレ、飼い主は? と見るといません。リードの先に輪っかが付いていま

す。どうやら繋がれているのが嫌で逃げてきたみたいです(何かのひょう

しで綱が外れたんでしょうね)。興味を持って見ていると、近くまで来て

こちらを見ています。どうしようかなと考えている様子です。

先へ行こうか戻ろうかと考えている様子、こちらに来たら「家へお帰り」

と優しく言うつもりでした。でも、後ろをしきりに見ているので家に帰る

んだなと思っていたら、つと道を外れて草叢へ用を足してから戻って行き

ました。

無事に家に帰れたかな? と思っていたら、ぐるっと回り道をして向こう

から歩いてきます。やっぱり家へは帰らなかったんだな、そうだよな、や

っとつかんだ自由の身、楽しまなくちゃな。なんて考えませんでしたよ、

『飼い主は何をしてるんだ、逃げたのを気付かないのか!』 と思ってま

した。

 

子供のころに足をかまれてから犬は苦手なんです。あの頃は、犬は放し飼

いでしたからね。でも、飼い主がリードを持ってれば大丈夫です。

 

トコトコとこちらにやってきます。大通りに出るようなら止めなければい

けないかな、と思っていると、近くまで来るとこちらを見て「アレ、見た

ことある奴がいるな?」てな感じでこちらを見ています。しばらく見つめ

あっていたらやがて、遠巻きにしながら通り過ぎました。

「なんだよ、俺は悪い人間じゃないぞ、挨拶ぐらいして行け」なんて、し

ょうもないことを思いながら(なにせ、ヒマだから)、ボーっとしていた

ら、シャラシャラと変な音がします。なんだ? と思って見ると、さっき

のワンちゃんが挨拶もしないで側を通り過ぎてゆきます。

「この、驚かせやがって、声を掛けやがれ」なんて思いながら、腰が引け

てました。

 

しばらく立って、ワンちゃんのことも忘れたころ、さっきの犬に似た茶色

の犬が目の前を歩いてきました。

「アレ、この犬さっきの…」と思っていたら、後ろから30位の女性がリー

ドを持って歩いてきました。犬もこちらのことなど知らないよ、という感

じです。よく見かける人や、おばさんなら

「さっき、このワンちゃん離れていませんでした?」

と、声もかけられますが、見かけたことがないので声も掛けられません。

そうこうしているうちに遠ざかって行きます。

こんなとき、「さっきは失礼しました、飼い主が見つかりました」

とでも言ってくれればいいのにな。なんて無理なことを考えてました。そ

の後、迷い犬がやってこなかったので、“やっぱりさっきの犬だったのか

な”と思いました。

 

それにしても、犬は責任もって鎖などで繋いでおいて欲しいですよね。飼

い主には従順でも、他の人には攻撃的になるかも知れないし、みんなが犬

好きだと思わないで欲しいです。











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