サンパツ爺さんの詩の世界 №1                  .




懐かしい人



街で懐かしい人を見かけた

見覚えがある

だけど だれだったか

名前が思い出せない

でも 人違いかもしれない

声をかけようか どうしようか

迷う間に目の前を通り過ぎて行く

 

横顔をじっと 見つめつつ

小さくなって行く後姿を 

見覚えのある帽子を 目で追いつつ…

思案に暮れてるうちに

商店街の人の波に かき消されて 

すっかり遠く消えてしまった

 

 

家に帰っても考え続けた

コーヒーかき混ぜながら 誰だったかと

昔 何処ぞで会った人だろうかと

服を脱ぎながらも

かけ湯しながらも…

すると 揺らぐ湯に湯気に

ゆらゆら 顔が浮かんだ

ああ あの時のあの人だったと

湯面に笑顔が浮かんだ

そうだ そうだったと

ようやく思い出した

 

 

そして あのとき

勇気を出して もしもしと

肩を トントンと

声をかければよかったにと

揺らぎつづける笑顔に もどかしく

歯がゆさに悔やんだ

再び出逢うことなど 

もう おそらくないだろう

懐かしさが 揺れるばかり

優しい笑顔が 揺れるばかり

過ぎた月日が

揺れるばかりだった

 











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