サンパツ爺さんの詩の世界 №2                  .




焼きおにぎり



まだまだ寒い春の夜

ストーブの上に網を置き

夜食の焼きおにぎりをこしらえています

醤油を塗って 一面一面

焦げ目がついたら転がすのです

焦げすぎないように気をつけて

五面全部焼くのです

二度三度と醤油を塗って

 

 

醤油の焦げる匂いが部屋中に広がって

襖の隙間から逃げて行きます

その匂いを嗅ぎつけて

そっと襖を開ける指がカサコソと覗きました

にこにこと お爺さんの顔が現れました

美味しいね美味しいね

秘密だよ 婆さんには秘密だよ

と 一つあげたおにぎりを

お爺さんは 

音まで香ばしくさせて

ほうじ茶すすりながら食べました

 

 

抜き足差し足 お爺さんの足音が

廊下に遠く小さく消えて

しんと すっかり花冷えの夜となりました

僕はもうひと頑張り

パソコンに向かいます

焼きおにぎりを頬張りながら











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