すばるさんのエッセイ №2               .




新しい生活  .



長い単身赴任から解放され、やれやれこれからは家でゆっくり出来るか

と思っていたら、帰った家には居場所はなくて、去年いわゆる熟年離婚

に踏み切った。今は1
LDKのアパート暮らしで、誰に気兼ねなく生きてい

るが、何かしっくりこない。原因を探ってみるとどうもこのアパート生

活が「終の住処」ということに納得出来ないのが原因のようだと理解し

た。なけなしの貯金をはたいて家を買うことにしたが、年金の少なさも

あって、人里離れた山奥にでも引っ込むしかなさそうな現実。なんと狸、

狐、鹿の他に熊も出るらしい。しかし人間どこだって住めるし、都会の

喧噪は大嫌いなので答えは簡単だった。これからは霞を食って仙人のよ

うな生活になりそうだ。

独身生活は楽しい。単身赴任生活が長かったせいか、炊事・洗濯・掃除

はほとんど苦にならない。炊事は“うまい”と言ってくれる大好きな人

がいないのがさみしいが、冷蔵庫にあるものを使ってびっくりするくら

いの出来映えにであった時は、料理の天才ではないかと思ったりするこ

とがある。食材を余らせずに使い切った時の快感は格別だ。一流の主婦

になった気がする。次に洗濯。元妻に任せきりの洗濯はシャツのたたみ

方も不満だったが、今では自分の好きなように出来る。特にバスタオル

は毎回お日様のにおいのするものを使いたい。人が使った濡れたバスタ

オルはたとえ家族でも嫌だ。元妻は平気だった。掃除は若干苦手だがト

イレ掃除は実に楽しい。あの狭い空間はとてもやりがいがあるし、ピカ

ピカ、ツルツルに仕上げたらもの凄い達成感がある。僕はちなみに血液

型はO型。この血液型は世間では単純で短絡的とか大雑把とか言われて

いるが、結婚して変わった。変えさせられたと言った方がいいかもしれ

ない。

熟年離婚して以来、周りは大変だろうと慰めてくれるが、僕は今の生活

がとても気に入っている。誰も「早くお風呂に入って!」とか「お酒は

もういい加減にしたら?」なんていう人はいない。好きな音楽をかけて

瞑想に耽るのも自由だしパソコンに「老いのときめき」を開いたまま寝

てしまっても心配はない。

さてさて、風呂に入って読みかけの文庫本でもよむことにしょう。









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