旅人さんのエッセイ 2               .




癒し旅


2)霧積温泉



何時も行く喫茶店で、なじみ客とコーヒーを飲みながら温泉話を時々して

いました。

独り身の私は、近場の温泉へ日帰り入浴に出かける事が多く単独行動をし

ていました。

ある時テレビを見ていたら、映画の宣伝に何故か惹かれました。

そのナレーションは、

「母さん、僕のあの帽子、どうしたのでしょうね? 夏、碓氷から霧積へ

ゆく道で谷底へ落としたあの麦わら帽子ですよ」当時の事で自信がないで

すけど、たぶん松田優作の声だと思います。

テレビでは橋の上から麦わら帽子が飛んでいく様子が写しだされていまし

た。

後に映画(人間の証明)を見に行きました。

物語は、日本人女性と米黒人との間に出来た混血男児、犯人を追いつめて

行く刑事の物語です。

幼少期は日本で育ち、後にアメリカに戻されます。

成人になり、生まれ故郷の日本に戻って来るところから物語は始まります。

離別後十数年経過しており、生みの母親はデザイナーで地位と名誉もあり

ました。

母親を訪ねて行くタクシーの中で運転手に、「ストーハ、ストーハ」と言

っていました。

このストーハが麦わら帽子、ストローハットの事でした。

いきなりの訪問に母親は驚き戸惑い、世間に発覚することを恐れ、地位と

名誉を守るため、息子をナイフで殺害してしまう事になります。

死の間際に、息子が母親に残していった最後の言葉が、「キッスミー」で

した。

キッスミーとは、霧積温泉(金湯館)の事であり、幼少時代に母親に連れ

られて行き唯一の旅行でもあり、幼少の頃の思い出となって残っていたの

でしょう。

残酷な映画でもありましたが、そこには惹きつけられる何かが有り、森村

誠一は上手く表現していると思いました。

幼少期に麦わら帽子が橋の上から飛んでいく光景といい、ストーハとか、

キッスミーとか、単純な私は
現地に行って観たくなり、コーヒーを飲み終

えてから昼頃に出発し、軽井沢を通過し、碓氷峠を下りて
国道をひたすら

走り片道、約
350キロもある道程を車で到着したのが1900くらいでした。

何とか入浴させて頂きました。

碓氷峠は長野県と群馬県の県境にあり、群馬県側に下りて行くとJR信越

本線の横川駅が有り、駅弁で有名なおぎのやの釜めしと、旧国鉄時代に列

車は碓氷峠の急勾配をアプト式で横川・軽井沢間をクリアしました。明治

26年開通、トンネル数
26、レンガ作りの橋梁18もあり、一部現存してい

ます。

車窓から見る妙義山系も日本3大奇勝の一つとされることだけあって奇怪

な山並みは、インパクトが在り心を癒してくれます。

帰り道に、当時は佐久インターから上信越自動車道に入るのですが、晩飯

を食べるのにインター入口手前で、おぎのやの釜めしを食べて帰宅しまし

た。

家に到着したのは、翌日の200でした。

ただ温泉に入るだけに、日帰りで(当時入浴料金300円)往復約700Km

の旅でした。

 

つづく










トップ アイコン目次へもどる      「エッセイ一覧」へもどる
inserted by FC2 system