山田大郎さんのエッセイ 43                   .




八十の手習 そして思いがけないラッキーが



 八十と言ってももう直ぐ八十一になります。お陰様でいったって元気なの

ですが、家内が要介護
1で週一日デイサービスのお世話になっています。で

も家事はやってもらえますので、助かっています。

 

 さて自分は「笑いヨガ」の教師として、月に一日社会福祉協議会の研修室

で無料研修会を開いてもう六年です。

 

長続きの方は少ないのですが、来場者は400人を超えました。年に三、四

回市報に開催案内を載せて貰いますので、市内の介護施設からボランティア

の要請を受ける様になりました。出向くと皆さん椅子に掛けて待っています。

約三、四十分椅子に掛けての腹式呼吸、手拍子や童謡で笑うのですが、健常

者の様には反応してくれません。

 

でも声を出す人もいますので、お役に立っていると思っています。そして施

設での一日の介助作業に興味が湧いて来たのです。六十五歳で介護施設に就

職した知人に聞いてみたのですが、それは大変な仕事の様です。一人で担当

九人の食事作り、排泄の介助(多い人は一日に五、六回も),徘徊する人の

世話など大変で、とても長続き出来そうにないとのことでした。
   

 

自分は「ヘルパー二級、実務経験無し、笑いヨガ教師」、こんな内容で仕事

探しをやってみました。

 

「年齢、経験不問」の求人介護施設宛てに履歴書を二十通近く送りまして、

七、八社の面接を受けることが出来ました。面接は四十年以上の経験者です

から、選抜の仕組みも熟知しています。面接者のうけが良くても、採用会議

ではねられるのです。問題は入所者の年齢層の方は無理と言うことでありま

しょう。ところが「犬も歩けば棒に当たる」、それよりも「捨てる神あり拾

う神あり」の例えでしょうか。「是非お会いしたい」と言う電話をうけたの

です。株式会社絶好調の介護施設で「ありがたい」と言う名称。池袋駅東口、

コンチネンタルホテル近くでした。会ったところ「そのお歳での勤労意欲に

敬服します。社長に採用をお願いしますから」と言うありがたいさんからの

有難いお話でした。

 

 そんな経緯で目出度く仕事をゲット。

 

ここのデイサービスは介護者は十二人、介護スタッフは調理係、入浴介助係

他五,六人と言う規模の施設です。

 

雇用条件時給で最低賃金と交通費。賃金を時給で貰うのははじめてのことで

す。会社勤務時の給料を時間で割ると数万円近くだったのでしょうか、使っ

て貰えるだけでも「ありがたい」さんです。週に二日、午前中のみです。九

時半出勤、暫くすると玄関のチャイムで、お客様のご到着です。「いらっし

ゃいませー」と挨拶しながら椅子に掛けさせます。これも生まれて初めての

ことですが、お茶を出します。そして体温計を渡して、次は血圧測定。連絡

簿とタブレットに記録するのです。また二人と十一時頃には八から十人の全

員が集まります。入所者の年齢は大正十
1年生まれ九十五歳二人(女)、昭

和一桁、二桁生まれ、三十年代生まれとばらばらで、男性は三人だけです。

そして安心したのは自分は排泄介助、つまりトイレの世話はしなくても良い

ことでした。新聞の一面を何時までも見ている親父に話しかけると、昭和十

一年生まれの同じ年とか、一面トップの記事を指さして、「ここに勤めてい

た」と。それは東芝でした。九十五歳のお婆ちゃんは白板にきちっとした文

字で、島津SSに定年まで勤めたと書かれました。本社京都と書き添えたの

で、自分が「大きい立派な会社で、ノーベル賞を貰われた方も出ましたね。

戦時中は勤労動員でご苦労様でした」と言いましたら、笑顔で頭を下げて下

さいました。

 

名前負けして男運が悪かったと話掛けるおばちゃん。

 

一人目は離婚したが子供二人、再婚して子供二人と言うので「昼間は仲が悪

くても夜は仲良くしたのですね」と

 

言うと、別れた亭主の悪口でした。「子供さんが四人なら安心ですね」と応

えると頷きました。十一時所長さんの挨拶で始まります。「今日は何年何月

何日ですか」と問いかけますが、返事がありません。するとテーブルの新聞

を見てと言われて、ようやく一人が答えました。

 

 どこの施設でも日付、名前と生年月日を言わせることから始まるそうです。

流石に名前は言いますが生年月日をさっと答える人は約半数ですよ。十一時

半頃になって私の出番です。白板に名前を書いて「昭和十一年生まれです」

と自己紹介から始めます。すると十一年生まれの方が手を挙げて喜ぶのです。

腹式呼吸からやりますがそろいません。「朝ベッドの上で下腹に両手を置い

て、鼻から息を吸って、口をすぼめて長―く息を吐きましょう。これを十回

位やって下さい。便秘の悩みが消えていきますよ」とやってみせます。次に

ヨガの手拍子。両手の指を伸ばして手の平を叩き合います。
1.二、 1、二、

三と拍子をとりながら、「ホ、ホ、ハ、ハ、ハ」の掛け声を掛けます。「相

手の目と目を合わせて、にっこりしながら・・」と、自分が動き廻って一人

一人と目を合わせますと、皆さんが喜んでいるのを感じます。次は童謡の一

節毎に笑いを入れて歌います。「もしもし亀よ亀さんよ・ワッハッハー・・

・」。

 

こんな調子で四、五曲です。最後は「あいうえお笑い」です。「あのつくも

のは、朝で笑いましょう」と、

 

「朝から晩までワッハッハー」、「朝ですお早うワッハッハー」、「ありが

たい、ありがたい、お世話になりますワッ

 

ッハッハー」。「ありがたい」はここの施設の名称ですから、施設へのごま

すりです。こんな調子で「あいうえお」で笑っていきます。「お」は「おら

は天下のワッハッハー、おならも一緒にワッハツハー」と締めます。

 

 この三十分足らずで皆さんが打ち解けてくれました。

 

 週二回二時間半のお勤めです。

 

○思いがけないラッキーが

 

 一昨年リップルと言う仮想通貨を買いました。金額はハワイ旅行を満喫出

来る程度の額でした。当時先発コインのビットコインは千倍位に高騰してい

て、一ビットが八万円でしたから、「二匹目のどじょうを」とリップルコイ

ンを一ビット

 

五円也で購入したのでした。

 

忘れていた書類を見つけて問い合わせますと、四倍になっているとの回答で

驚きました。事務所に伺って売却の手続きを。すると口座がウイルスに犯さ

れていないか、本人の再確認問い合わせに四、五日かかるとのこと。

 

四日後に本人確認の葉書が来たので事務所に伺ったのです。少し不安な気持

ちで解約の手続き画面を覗くと、何と思いがけない金額が表示されました。

九、五倍に高騰していたのです。家内と世界一周の船旅に行ける金額です。

 

 そこで今度は仮想通貨の独走者、ビットコインに買い替えました。一ビッ

ト二十二万円で全部を投入しました。

 

現金化すべしとの話もありましたが、どうせハワイで遊んで使った金と思っ

ています。それにこんなに値上がりする物は他に見当たりません。数日後に

は一ビットが三十一万円に値上がりしました。毎朝パソコンの画面で相場を

見るのが楽しみです。今日は三十二万円強です。

 

 「仮想通貨に騙される高齢者」、先日NHKで放映されました。仮想通貨

は儲かると、今二千とかの仮想通貨の話が飛び交っているそうです。今年の

四月我国も円以外の通貨が使える法律が制定されました。そしてビットコイ

ンで買物が出来る店が五千店を超えました。

 

直ぐに四万店になるだろうと言われています。

 

外国人観光客がビットコインを使うのです。円に両替する必要もない、手数

料もかからない、スマートフォンでタッチするだけで支払いが出来るのです。

仮想通貨について不信をお持ちの方にお伝えします。仮想通貨の売買が出来

る会社がいくつか認可されています。そこの株主は大手銀行や保険会社です

よ。我国の金融業界もこの得体のしれないインターネットマネーに、遅まき

ながら取り組んでいるのです。

 

 問題は未公表のコインです。

 

「一年後の公開時にはうん千倍になります」等と言う詐欺が横行しているそ

うです。

 

法律そして認定取引業者も整備されました。

 

要はコインの銘柄です。自分はビットコインの群れをインターネットで泳が

せていますが、毎朝パソコンで成長振りが覗けます。

 

今のところ暴落の危険性は見当たりません。中国政府も干渉するのを止めま

した。インターネットには壁は造れません。

 

一番の魅力は匿名ですから資産隠しが可能です。売買に税金が掛かりません

から、資産家、特にアメリカ人、中国人が購入しているそうです。

 

アメリカではハンバーガーを買うのもコインだと、三年前にNHKが放送し

ています。

 

我国は本年が「仮想通貨元年」と言われています。

 

でも未公開コインは危険ですよ。

 

これから三年間、オリンピックまでが好景気で、自分達

 

高齢者にとりましては、資産造りの最後のチャンスかと思います。でも十倍

高騰の味を知ったら他の運用は考えられません。万が一夢が破れても元金は

ハワイで使った筈のものですから。              終わり









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