白日夢




                                      昼顔 さん 



第四章 黒いストッキング・・・ハイヒール・・・



啼き柱からはまだ解放されません。もう充分啼いて御覧に入れたのに、喘

ぎもしたし嗚咽も漏らしたのに・・・ 睾丸責めに恐怖する、恐怖に引き

攣る顔もお見せしたのに・・・恥ずかしかった・・・恥ずかしかったのに

・・・ 妻から同性愛の褥に於ける私の態様の仔細を質され、告白を迫ら

れ、それを初対面の方々に聞かれ・・・ええ、怒漲を晒し出されて見詰め

られながら・・・ 解放されたい・・・腕が、就中
肩の関節が痛くなっ

ていました。股縄も食い込みをキツクしていました。胸縄や腹部の縄も喰

い込む様でした。

 

「ああ・・・痛い・・・」 と小さく喘ぎ混じりの声で呟くと、「何処が

??」
「何処が痛いのだろう??」 「お睾丸が??」 「睾丸なの??

でももう、甲斐さんは手を離してますよ」
「ペニスかな??皮膚が伸び

切って、張り詰めて・・・それが痛いのかな??」
「凄い勃起だものね

え」
「ホント、痛そうねえ・・」 等と皆は囃し立て嬲りました。「肩が

・・肩関節が・・股縄も喰い込んで・・」
「股関節も・・胸縄も・・」

「柱に当たる肩甲骨も・・・」
「ああ・・うう~ん・・アッ、あああ~」

と私は訴え喘ぎました。

 

「お辛いのですね」 「良く堪えられましたねえ・・」 「にも拘らず・・

ちっとも萎えを見せず」
「これから先が愉しみです」 「じゃあ、一旦縛

めを解きましょう」
と甲斐さんが告げ、男性三人に依って私は啼き柱か

ら解き放たれ、そして
そのまま床に崩れ落ちました。所謂側臥位になっ

た私は身体の左側を下にし、両脚は重ねて上になった右脚を少し曲げて双

丘が形作るラインの強調を忘れませんでした。両腕は交差させて掌を胸に

当てていました。

 

肌蹴て辛うじて身体に纏わり付く鴇色の長襦袢に足先の白い足袋、そんな

側臥位の後ろ姿を晒す私に、土蔵の中は静まり返っていました。キーンと、

ジー・・と響く耳鳴りの中で私は荒い息を吐き続け、皆さんの観賞に吾が

身を供していました。

 

「何とも不思議な身体・・・」 「男の直線的な、定規で引いた様な筋肉

の線と同時に・・・円やかな女性の身体の線の混在・・・」
「マッチョ

やガテン系ではない、かと云ってナヨナヨでもない・・・」
「不思議な

身体の線・・・」
と甲斐さんの呟く声が背に聞こえました。「甲斐さん

・・・」
と先生が呼び掛けると、「ええ、そうしたくなってきました」

と甲斐さんは答えて言葉を継げました。

 

「昼顔さんの脚の線、脹脛の張り、大腿筋の張り、今は身体を弛緩させて

いますが・・・力を入れたらきっと出来る筈の尻えくぼ・・・」
「先生

御存知の私の嗜好、先生も同じ・・」
「昼顔さんにストッキングを、黒

いストッキングを、透明で肌が透ける黒のストッキング・・・従って脚の

線が、適度に付いた筋肉の線、輪郭が黒であるが故に強調され・・・」


「履かせてみたくなりました」と甲斐さんが呟くと、「ええ、僕もそう思

っています」
「体毛が薄く・・殆ど無いと謂っても過言ではない昼顔さ

んの身体、脚・・・」
「僕も履かせてみたい、いや、履かせたいと考え

ていました、履かせようと・・」
と先生は返していました。

 

「女装子さんに仕立てあげるのでしょうか・・?」 「下着女装・・?」

「それとも完全女装・・?」
「それも面白いかも・・」 「昼顔さん、お

似合いかもよ」
と皆が囃し立てる中で、「いいえ、女装、下着女装って

云う訳ではありません、今日は、今は」
「飽くまでも昼顔さんの下肢、

脚を、脚の線を強調する為の小道具です、黒の透明なストッキングは」


と先生は皆に答え、「奥さん、御主人の意外な面をお見せ出来ると思いま

すよ」
と妻に囁き掛けていました。「実は・・・主人ったら、ストッキ

ンギ・フェチなんですの・・・絹でもナイロンでも」
「実は黒でもなく

網でもなく、肉色のストッキングですけど」
と妻は返していました。す

ると先生と甲斐さんが同時に、「ま、見てて御覧為さい」と妻のみならず

皆に囁きました。

 

私は側臥位から仰臥位に体位を変え、左脚は真っ直ぐ伸ばして右脚を曲げ

て立てました。両手は胸に置き、乳首を覆い隠しました。「あら、貴方、

その気になったの・・?」
と囁く妻に、私はそっと目を閉じました。会

陰部に力を入れて怒漲をピクンピクンと脈打たせました。仰臥する私を三

組の御夫婦と妻との七人が取り囲み、女性四人は膝を折って膝立ちになり

私の顔をジッと見詰めました。男性三人と先生は腕組みして立ち尽してい

ました。私は目をそっと閉じました。

 

「先生・・・」 と甲斐さんが呟くと、「ええ、ございますよ、準備は怠

りなく」と先生は答えて壁際のチェストへ向いました。目を薄く開けて姿

を追うと、取り出したのはストッキングのパッケージでした。「あら・・

・パンストではないと思いますが・・・ガーターベルトは??為さらない

のですか??」
と妻が質しました。「ええ、ストッキングだけをと考え

ていますが・・」
「お望みならばガーターベルトもありますが・・・」

と先生が返すと、「何でも揃えてらっしゃるのですね」と妻は呟きました。

「ええ、女装して・・此処で女装為さる方もいれば既に女装していらっし

ゃる方も・・・」
「ええ、勿論、女装の身体を縛られ責められるを目的

に此処へ・・・そんな男(ひと)もいらっしゃいますから」
「少数派と

は云えない程・・・」
「特にウケでMの男性には多く見受けられます、ネ

コ的なウケさんには特にネ」
と先生は答えました。

 

「ま、主人たら、目覚めちゃったらどうしましょ」 と妻が仰臥する私を

一瞥して呟くと、「宜しいではございませんか」
「目覚めさせてあげた

ら如何??」
「倒錯の性、倒錯の夜の営み」 「回春になるかも・・」

奥様達が囃しました。「既に・・・目覚めてらっしゃると思いますよ、御

主人は」
と、先生が私を一瞥して呟きました。

 

「この身体に女性のコスチューム・・・お似合いかも・・」 「ええ、私

もそう思う・・・」
「ストッキングだけじゃなくて・・もっと他にも・

・・」
と奥様達が呟き囁き、「うん、僕もそう思う」 「私は・・・滑ら

かな素材、艶々した素材に包まれた男を抱くのが好きなんだ」
「昼顔さ

んの身体は抱き易い身体、抱きたくなる身体・・・倒錯の性か・・良いね

え」
と男性陣も口々に呟きながら私の身体を見詰め回していた様です。

目を閉じてはいても注がれる視線は感じ取ることが出来ました。私は曲げ

て立てた右脚の太腿の下に手を差入れ、怒漲の幹を握って引っ張り下げ、

両の太腿の間に納めて右手で押さえました。「あら、女の三角地帯・・・」

「ヘアーも密集してなくて・・・」 「お手入れ為さってらっしゃるのね

え・・」
と奥様達が囃しました。

 

「さ、履いてみなさい」 「さ、身体を起こして」と二人の男性から抱え

られて私は上体を起こし、そして長襦袢を剥ぎ取られました。足袋は自ら

で脱ぎ捨てました。股間に押し込んだ怒漲が手から離れてピンと跳ね上が

り主張し、上体を起こされた私は横座りになり、怒漲は太腿に挟みました。

「奥様、奥様が御主人に・・・倒錯の性・・・倒錯の御夫婦かな・・?」


と私と同い年の綾香さんが妻に囁き掛けました。

 

「さあ、ストッキングを履きなさい」 「皆が視ている前で、視られなが

ら」
「昼顔さんはもうお人形さん、着せ替え人形」 と、甲斐さんが些か

強い口調で私に命じ、パッケージに包んだままのストッキングを私に手渡

しました。「履き方、お解りなのでしょうねえ」
と奥様何方かの呟きに、

「ええ、足の爪、御覧戴くとお解りと存じますわ」
「ホントはね、何度

も履いてますの、履いた経験がありますの、主人は」
と妻は答えていま

した。「あら、ホント、奇麗に爪ヤスリを掛けてらっしゃるのねえ・・伝

染しない様に・・」と奥様三人が私の爪先を見遣りました。「男性ヌード、

緊縛裸体のデッサンの予定がとんだ方向に発展しましたねえ、昼顔さん」

と、先生と甲斐さんが微笑みながら私に囁きました。「ええ・・」
と私

は一瞬照れ笑いを浮かべ、そして俯いて小さな声で返しました。

 

「さあ、立って」 と短く告げた先生から目で指された壁際の小さな椅子

に向おうとする私の股間に男の腕が潜り、聳り立つ怒漲をムンズと掴まれ

後ろに引っ張られました。大きな手、男の手、ネットリした感触でしたが

付け根が折れそうな痛みに、でもそれは私に取っては心地良い痛さでした。

椅子に腰をおろし、ウェルト(穿き口)の切り替え部分(色が濃くなった

部分)から両の手指を差し入れ足先へと丸め、そして、はしたなく股を開

かない様に気を付けて足先を差入れました。

 

「つらつら考えるに・・・Sっ気とMっ気が混在する様に、男には男の心

と女の心とが混在するんだろうねえ、女性も同じと思うが・・」「何方が

優位性を保つのかは別にして・・・混在する両の性が内紛(?)しながら

も或るとき突然なのでしょうねえ」「殊更に性同一性障害と定義付けせず

とも、其処にまでは至らずとも」
「そうでしょうねえ、男性に多い様で

すよ、逆の性に彷徨う・・時折は、束の間であったとしても」
「ストレ

スが多い職種の男(ひと)に良く見受けられると聞きます・・・」等と会

話する声を聞きながらの私はストッキングを履き終えました。最後に脚を

真っ直ぐ前に伸ばし、たるみが無いかを確認しました。バックシームでは

なく、シームレスのストッキングでした。

 

「男が男として男に抱かれるゲイの態様、男が女として男に抱かれる態様

・・・」
「男が男として男から受ける所謂SMプレイ、男が女として男か

ら受ける性のお遊戯・・・」
「単に一言で男同士のプレイと云っても様

々ですねえ・・・」
と男性陣の囁き合いに、「昼顔さんって・・・後者

なのかしら・・?」
と奥様の一人が呟きました。「さあ・・? でもその

よう?? そうかも・・・」と妻が呟き返しました。

 

「履き終えたらこれを・・・」 と甲斐さんが黒いハイヒールを手に翳し

ました。鋭く尖った高いピンヒールでした。そして「先生、矢張り・・・

ガーターを着けて戴きましょうよ」
「そうしたくなりました」 と甲斐さ

んが呟き、先生はチェストからガーターベルトを取り出して振り返ると、

「誰に??
昼顔さん御自身で?? それとも・・・」 と皆に質し掛けまし

た。

 

皆さん方は顔を見合わせ、すると 「ワタクシが」 と妻が名乗りを上げて

先生から黒いガーターベルトを受け取りました。「良いですねえ、奥方殿

が御主人を女に仕立てるって訳だ・・・」
「ホント、倒錯の御夫婦・・

・」
「良いですねえ、御主人、良い奥様ですねえ」 「ペニスバンドがあ

ったら奥様は装着されかねない御様子」
と皆が口々に囃し立てました。

「あら、そうしちゃおうかしら」
「深々と、根元まで深々と刺し立てら

れていないと言ってましたもの、ならばワタクシが・・・殿方より先にワ

タクシが・・面白そうですわあ」
と答える妻でした。

 

私は皆に背を向けました。妻の手を双丘に覚えました。「恥ずかしいわね

え、恥ずかしいでしょう・・」
と囁いた妻がガーターを私の腰に回し、

そしてボストン(左右夫々二本のストッキングを吊る為のストラップ)を

ウェルト(穿き口)に掛けました。ボストンが咥えたウェルトが引っ張ら

れ、切り替えで濃くなった色が艶かしく思えました。同色のレースで飾ら

れた黒いガーターベルトでした。ガーターを着け終わると甲斐さんが私の

背に移り来て、ピンヒールの黒いハイヒールを妻に差し出し手渡しました。

 

足を通すと、「あら、ピッタリ」 「主人の足のサイズ、まるで御存知で

あった様に・・」
と妻が呟くと、「先程申し上げたでしょう、女装して

縛られ責められ・・・随喜の涙を流す男(ひと)も此処にいらっしゃると」

と甲斐さんが妻に囁くと、先生が「甲斐さんの御趣味、御嗜好なのです

よ」
「此処にある女装用具の殆どは甲斐さんが持ち込み揃えられたもの

なのです」
と先生が微笑みながら囁きました。「甲斐さん、そんな御趣

味なのですねえ」「すると・・・奥様は若しや・・・?」と問う声がしま

した。「いいえ、ワタクシは本物、天然もの、養殖ものではございません

ことよ」と甲斐さんの志津奥様が返し、皆の間で爆笑の渦が沸き起こりま

した。養殖物か、上手い事を言う、爆笑の渦の中で私だけは思わず苦笑し

てしまいました。

 

女装して抱かれたい、男に転がされ組み敷かれ・・・ 女装の身体を縄で

飾られ飾り立てられ・・・ にも関わらず男の性は身体の中心でまざまざ

とヌケヌケと主張し聳り立ち・・・ 抗う事の出来ない自身の哀しい性

(さが)・・・ 満座の中で暴かれる自身の性(さが)・・・ 私は気が

遠のく思いがしていました。



                                                     続 く 







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