白日夢




                                      昼顔 さん 



第八章 日常と非日常との狭間の中で



「昼顔さん・・・起きれますか・・・」と主宰氏の声に、黒い透明なスト

ッキングをガーターで吊った姿態を床に横たえ、それまでの自身の曝け出

されの余韻に酔っていた私は目を開け、「・・・ええ・・・」
と小さな蚊

の泣く様な声で答えて土蔵内を見回しました。土蔵内には小さなキッチン

と呼べるものが設えられていたのは土蔵に足を踏み入れた時に見て知って

いたのですが、其処で御夫人達が茶菓の用意に勤しんでいたのが見えまし

た。妻も含めて四人が押し合い圧し合いと云った呈で、何故だか私は微笑

ましいものを感じました。

 

「大丈夫・・?起こして上げましょうか?」 「それとも横になってらっし

ゃいますか・・?」と、振り向いた妻が質し掛けてきました。「・・・う

ん・・・」とだけ答えた私は身体を起こして所謂体育館座りになりました。

妻と同年齢の志摩御夫人(六十歳、上田さん御婦人)が「お疲れ様、と言

っても未だ終わりではなさそうですけどネッ」
「一旦、一先ずは休憩のよ

うですよ」と、冷水で満たしたコップをお盆にのせ、私の顔を、目を見詰

めながら運んで来ました。「喉が乾いたでしょう、さぞや」と男性陣が囁

く中で、私はコップを受取りゴクッゴクッと喉を鳴らして呑み干しました。

 

「一杯だけじゃ足りないでしょう」と呟きながらの甲斐御夫人の志津さん

(五十一歳)が新たな冷水を差し出し、私はそれも一気に呑み干しました。

「昼顔さんにはサービスが良いんだね」
「そりゃそうですよ、唯一のモデ

ルさん、いや、生け贄さんと呼んだ方が正しいかな・・?」
「一休みした

らまた・・・」
「そう、我々の心躍る責めが・・・プレイが・・・昼顔さ

んはそれを一身に受けて下さるんだから・・・」
「そうそう、粗末には出

来ません」と男性達は口々に頷き合いながら囁き合っていました。「あら、

我々って、殿方達だけではございませんことよ」
「ええ、そうですよ~ワ

タクシ達女性もですわ」
「そう、ワタクシ達も心躍ってますのよ」 「性

的嗜虐心、何処かに眠ってましたのでしょうけど・・それが目を覚まし蠢

き始めたみたい・・・」と、壁際のミニ・キッチンに向って茶菓を用意し

ながらの奥様達が振り向いて異口同音に囁き、そして頷き合っていました。

 

主宰氏が座布団を並べました。車座、私を取囲む車座の配置でした。です

が私には座布団は用意されませんでした。赦されませんでした。所謂体育

館座りの私は冷たい床の感触をお尻に覚えながら目を閉じ俯きました。皆

が揃うのが気配で解りました。茶菓を揃えた銘々盆は私の分もありました。

 

土蔵内の空気は一変していました。銘々盆に気付いた振りをして目を開け、

そして皆を見回すと、先程までの私を見据える目、獲物を捕らえて嬲る目、

私の深層を炙り出す目、それ等は消え去り、市井の御夫婦の、趣味の絵画

のサークルに集う男女の目の色を私は見ました。単なるオブジェ・・・そ

うなんだ・・・私は単なるモデル、全裸を差し出すオールヌードのモデル

・・・ そう思う心もありましたが、ですが自身が今此処で置かれた半裸

の姿態は・・・ 日常と非日常とが、表の顔と裏の顔との心が混在する中

の私は、半裸の恥ずかしい姿態を、下半身だけの下着女装の吾が身を車座

の中に置かれていました。

 

日常の、そう、表の顔、心にあっては、恥ずかしい、穴があったら入りた

い、顔から火が出る思いの日常の世界の羞恥、消え入りそう・・・
そんな

羞恥が込み上げる一方、生け贄として、人身御供として、満座の中に私唯

一人が裸を晒し、下半身に下着女装を施された異端とも云える半裸を晒し、

次々と己が性の深層を暴かれ・・・然も御夫婦カップル三組の前で、妻の

前で・・・
そう、妻の前で夫たる私は皆様方に、就中奥様達に・・・女性

から、女性達からの性の蹂躙は初めての経験でした。御夫婦カップル達の

前は初めての経験でした。休憩と称して日常の、普遍的な絵画サークルの

中にあって、単なるヌードモデルとは決して云えない私・・・
裏の顔が、

心が、心理が・・・払拭されようもありませんでした。

 

「如何・・?御感想は・・?」と妻が囁き問いました。「・・・・・」

・・・うん・・・恥ずかしい・・・」と、私は無理に照れ笑いを交えて答

えました。すると「満更でもなかったようでしたよ」
「ええ、御身体はキ

チンと反応させてらっしゃいましたもの」
「そう、昼顔さんの善がりの顔

・・・」
「善がりの顔のみならず喘ぎ・・・甘く切ない喘ぎの声・・・時

には低く小さく、また時には大きく・・・泣いて・・啼いて・・・」
「男

性の身体って、正直ですものねえ・・・絶頂の頂きに登り詰める時の雄の

シンボル・・・言う事を聞かないやんちゃ息子さん・・・」
「半女装って

云うのかしら?・・・艶かしいですわよ〜」
「お目覚めになられたのでは

??・・それとも前々から願ってらっしゃた??・・」等々、三組の御夫

婦六名が口々に囁き囃し掛けました。

 

無理に装った照れ笑いの、いや、事実、最初は照れの部分が大きく占めて

いましたが、皆様方の揶揄に無理に照れ笑いを装い、所謂体育館座りで揃

えて曲げた脚を両手で抱え込み、身体を丸くして皆様方から注がれる視線、

そして揶揄、或は煽りだったのかも、それ等を一身に受止めました。漲り

は萎えを見せていました。硬度は萎えを見せてはいましたが膨満感は残り、

それは所謂半勃起では無いような感覚を覚えましたが、それを半勃起と呼

ぶのかもしれません。

 

私は揃えて曲げて立てた両脚の間に片手でそっと押し込みました。亀頭や

陰茎の一部が黒いストッキングに触れ、案外、感触は見た目程滑らかでは

ないと思いました。ザラザラ感??意外なその感触に、私は亀頭が直接自

身の素肌に触れる様にと、ウェルト(履き口)から外れる様にとそっと更

に押し込みました。太腿の滑らかな感触を私は覚えました。

 

素股・・・ 褥を共にしたパートナー氏の一人が、幾ら指で解しても痛が

る私に業を煮やしてだったのか、私を仰臥させ「両脚を閉じて」と命じ、

アヌスを解し潤滑としてのローションを垂らし掛け、そして熱り立ち聳り

立ち反り上がる御一物を閉じ合わせた太腿の間に差込んで来ました。熱い

・・・本当に熱い怒漲でした。彼が私に覆い被さると、彼のお腹に敷き込

まれた、圧し潰された・・・私自身の陰茎と睾丸からも男の熱い身体を覚

えました。柔らかいお腹でした。ピストンはしないで・・・ジッとしてい

て戴きたい・・・熱い身体を感じていたい・・・そう思っていました。

 

身体を返され、俯けにされ・・・ 御赦し戴いた筈なのにと、犯される・・?

滑り込むのでは・・? と、幾許かの恐れの中で両脚をキツク閉じ合わせて

待つと、彼は私の双丘の肉尻を、そして両の太腿の内を・・・
俯せの私は

両手で褥のシーツを握り締めていました。彼のピストンが始まると、私は

両脚を僅か開いていった様でした。あれだけ懇願して御赦しを乞うた筈の

菊座を突き出す素振りだったのかもしれません。

 

彼の手が、両手が、私のお腹の下に潜り込んで来ました。片手は私の漲り

に、もう一方の手は乳首に・・・ 腰を後ろから抱え込まれる様に・・・ 

彼の怒漲の先が、亀頭が、私の陰囊を突き上げました。片手で捕らえられ

た漲りを後ろへと引き寄せられ・・・変則的??な兜合わせ・・・ 熱く

逞しい男根でした。

 

自身の太腿に挟み込んだ私は、男との交接の態様の一つ、素股を思い出し

ながら自身の肌の感触に酔っていました。茶菓を愉しむ絵画サークルの休

憩の中で・・・



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