これから、私は腹を切ります


                                         十文字 さん 



「これから、私は腹を切ります。」

先生はそう言って、わたし達の顔を見渡した。

御歳は、もう六十半ばは過ぎているというのに、いつもの様に凛とした声

でそう言い放ちました。

今日この酒の席に集まったのは、三人。

皆、先生の教え子たちです。

先生は私達の、剣術の先生で、私たち三人はずっと先生の道場で修業をし

てきた仲間でした。

日本が戦争に敗れたいま、先生は私達に、最後の教えをするために私達を

自宅に呼んだのでした。

その時から、私達は、先生は腹を切るつもだと感じていました。

「先生、わかっておりました。私達も、腹を切る覚悟はできております。」

そう真崎が言うと。

それを聞いて先生は嬉しそうにうなずき、

「皆さんの立派な心構え、聞いて安心しました。それでは、この年寄り、

心置きなく皺腹掻き切ってみせましょう。そして、腹を切る時の、手本に

していただきたい。」

「とは言っても、なにぶん、腹を切るのは、初めて。上手く切れるか、ち

ょと心配ではありますが、深腹掻き切り、我、熱腸おば取り出し、酒の肴

に進上いたしましょう。」

そういって先生は、「ははは、、。」と笑って、酒をぐいっと飲み干しま

した。

それを合図に宴は始まりました。

 

「私達は、果報物でありますなあ。まことの腹切りなど、めったに見られ

るものでは有りません。又と無い機会、充分に見せて頂きたいと思ってお

ります。」

そう、私が言うと、一同、そうだ、と言うように頷きあった。

「そうですか。」

先生はそう静かに言って、私たちを見まわした。

「まことに楽しい酒でした。我腹の中のはらわにも酒が染み渡りました。」

「これより、腹を切りたいと思います。」

酒の席は片付けられ、日の丸の旗がかけてある、床の間の前に白布が敷か

れました。

先生はその上にすっくと立ち。

「諸君に腹の切る様、ようく解るように下帯一つで、腹を切ります。」

「ようく見て、切腹の極意をつかんで下さい。」

そう言って先生は着ていた服を脱ぎだしました。

そして越中褌一つになってしまいました。

そして、先生は用意の腹きり刀を前に置き、日の丸を背に正座しました。

髪は白く、額には深い皺が刻まれ、すでに体の肉は落ちて、所々にしみが

浮き出してはいましたが、その全てが先生の人生を物語り、凛々しい男の

色気を漂わせていました。

 

「では、」そう言って先生は両手で褌を男根が見えるまで、押し下げまし

た。

白い縮れ毛が見えます、先生はその下腹を右手で揉むようにさすり始めま

した。

二度三度自分の腹を愛しむ様に摩っていますと、先生の男根が越中褌を突

き上げます。

そして、先走りの露が褌を濡らしたました。

先生はにやっと笑って。

「これは困った、皆の前で腹切ることの出来る嬉しさに、わしの息子も元

気になってしまたようです。」

そう言うと。先生は、越中褌を解き外しました、

「これから、わしは、最後のセンズリをする、日本男児のセンズリ、よく

見ておきなさい。」

白くなった茂みの中から赤紫をした男柱が雄雄しくそそり立ち、熱い血潮

が流れこむたび脈打ち揺れ動いていました。

先生は、鈴口から流れ出る蜜を掌に受け静かに扱きはじめました。

それはしだいに荒荒しくなり、絶頂に向かって行きました。

そして、とうとう耐え切れぬ程の快感が噴き上げて、先生の鈴口からおび

ただしい白露がドクドクと勢い良く噴出したのです。

それは、切腹の座の白布の上に点々と飛び散りました。

六十をとうに超えているとは、とても思えぬ量です。

先生は、越中を締め直そうとすると。

「先生、先生の褌、形見に私に下さい。」真崎が声をだした。

「わしは、腹を切って死んで行く身、かまわないが、、。」

「私に、裸で腹を切れと言うんですか?」

「はい。」

「先生の、雄雄しい切腹姿、一糸まとわぬ姿で見せて頂きたいのです。」

先生は少し考えていましたが。

「人は、裸で生まれて来るもの。裸で死んで行くのも良いかもしれません

ね。」

そう言って、褌をはずした。

「先生。」こんどは、田中が声を出した。

「私にも、先生の形見下さい。」田中は涙声でそういった。

「困りましたね、、、。」先生は微かに笑っていました。

「田中君には、この腹、十文字に掻き切ることが出来たら、私の腹切り刀

を形見に差し上げましょう。」

「小島君は?」

そう言って、先生は私の方をみた。

私はうつむいたまま、先生の方を見る事が出来ませんでした。

しかし、これが先生と最後なのだと思うと言わねばならないと決心しまし

た。

「先生、わたくしは、先生が好きでした。先生を、男として好いておりま

した。」

先生は、ほう、とゆう顔をして、私を見て、そして、にやっと笑いました。

「それで。」

「わたしの欲しいのは、、。」そう言って先生の股間に目をやりました、

が言葉にする事は
出来ませんでした。

「これですか。」先生は自分の男根を握ってそう言いました。

「男同士、衆道の世界は武士としてのたしなみでした。小島君、私にはあ

なたの気持ちがよく解りますよ。」

「気がつかなくて、すみませんでしたね。」

「形見、解りました。」先生はそう言って頷きました。

「では。諸君、こころ落着けて、日本男児の腹の切り様、よっく見ておき

なさい。」

先生は正面を見て、目を閉じてしばらく精神を集中していましたが、やが

て目を開き。

短刀を手に取り両手で押しいただき、静かに鞘を払いました。

そして用意の白布を切っ先を三寸ばかり残して静かに巻いて行きました。

それが終わると、刀を右手に持ち替え、左手で二度下腹の切る所を摩り、

そして

掌で下腹をぐっと左に引き寄せました。

肉の落ちた先生の皺腹が一瞬張り切りました。

そして、静に腰を浮かし、張り切った下腹の腰骨あたりに、切っ先をあて

がいました。

先生はしばしそのままの姿勢で動きを止め、その時、時の流れが止まった

様に見えました。

一同は、腹を切る先生の一連の動きを、一瞬たりとも見逃すまいと、異常

に緊張し、身を堅くして、見守っていました。

先生はそのままの姿勢で、大きく息を吸こみ、そして次の瞬間。

「うっ。」という声と共に、力いっぱい刀を突き立てました。

片手では半分ほどしか刺さりません。

先生は柄口に左手を添え、両手に力を込めて、ぐいっと腹に刀を引きつけ

ました。

「ううむっ。」呻き声がもれました。

刃先はすっかり腹の中に入り、はらわたまで刃先は達したようでした。

「見てますか、こ、これで、はらわたまで届きました。」

「思うほど、痛いものでは無いです。」

一同は、目を見張り、声も無く、ただ頷く事しか出来ませんでした。

先生は、視線を自分の腹に戻すと、腹に力を込め腹を堅くしました。

そして、両腕に力を込め。

「むむーう。」

と、拳を右に動かして行きます。

紅い血の糸が。一筋。もう一筋と流れ出し、白い茂みを紅く染め、先生の

男根を伝わり、しずくの様に、白布を紅く染めて行きました。

臍の近くまで切り回したころ、弾力の有るはらわたが、刃先を押し戻そう

とする様で、それ以上引き回せなくなってしまったのでした。

先生は、一気に掻き切れぬもどかしさに、何度も何度も身を捩り、歯をく

いしばり、

「むううー―ぅ。うぐーーうううくうーーーっ。」

と苦しげな、呻き声を出していました。

そうすると、先生の体は汗でしっとりと濡れて、胸からは汗がぷっぷっと

浮き出し、それが一筋二筋と流れ出て、臍に、腹に汗の滴が流れ落ちてい

きました。

先生は今度、何度も引くように、こじるように刀を動かしました。すると、

大腸がぶっと切れたような音がして刀がまたじりじりと動きだしたのでし

た。

一気に切れるものだと思っていた私たちは、その凄惨な先生の苦しむ姿を

固唾呑んで見守るだけでした。

「うぅ、むぐうーっ。」

先生はカッと目を見開き、口を堅く結び、苦痛に耐えながら唸り声をあげ

てグイグイと切り進みます。

そして、勢い余って右腰骨まで、がっ、と当たるまでに真一文字に掻き切

ってしまいました。

先生の皺腹は、有に一尺近くも切れ目長く掻き切られ、その切り口から、

血に塗れた白っぽい脂肪が見え、そして、その奥には,艶やかなはらわた

が蠢いていました。

傷口は、先生の荒い息づかいと共に、左脇腹から、次第に開き初めて、淡

黄をした腹膜と柔らかく艶やかに濡れ輝く蘇芳色した大腸がにょろりと押

し出され、先生の股間に流れ出てきました。

そして先生の股間には、この凄まじい苦痛の中、男根がでそそり立ていま

した。

男根は血に濡れて、天狗の鼻の様に赤黒く、その先からは、透明な男汁が

流れ出ています。

そして、はらわたは、ぬるぬると蛇の様に蠢き、先生の天狗の鼻の様な男

根に、絡み付くように垂れ下がりました。

先生は刀を下腹に突き立てたまま、両手を膝について荒い息を弾ませてい

ます。

苦痛に歪む顔からはすでに血の気がうせていて、疲労のためでしょうか、

口元は半開きに開かれ、透明な唾液が、糸を引くように流れ出ていました。

「先生。」

「御見事でございます。」私は、思わず声にだしていました。

それを聞いた先生は、いやいやをするように首を横にふり、「ま、まだっ。

まだっ。」と、
唸るように言い。

そして、「うー―む」と呻き声と共に、右脇腹の短刀をぐっと引き抜きま

した。

そして震える手で切っ先を下に向け、鳩尾へ。

「むむーーうっ。」

先生は、体を刀に預けるようにして、短刀を鳩尾に深深と突き立てました。

一瞬肉がへこみ、次の瞬間肉は跳ね返り、刃先は鳩尾深く、呑みこまれま

した。

先生は刀に体をあずける様に、そして、左掌で柄頭を押す様にして、腹を

切り下げて行きます。

刃は、臍を真っ二に断ち割り、ぱっくりと広がる横の切り口の上側に切り

込みました。

すると交差した切り口が三角に開き、薄桃色に輝く小腸が見え始めました。

刃先はなお、溢れ出たはらわたを引きずり、下腹部を縮れ毛諸共ぞりぞり

と掻き切り、血染めの男柱の際まで切りこんで止まりました。

見事に、先生の腹は十文字に掻き切られたのでした。

「見ましたか。ここれが、っ、十文字、、。十文字腹です。」

「そして、これがっ、、。」

そう言うと、先生はずぶずぶと右手を腹の中につっこんで、しばらく弄る

ようにしていましたが。

「ぅうー―ぐうぅーー。」

と長く痛ましい呻き声が洩れ、鮮血が飛び散り、ずるずると臓腑の塊を引

き出してしまいました。

手には、薄桃色をした艶やかに光る小腸とくびれのある蘇芳色をした大腸

が握られ、疵口から長く垂れ下がりました。

それらは絡み合い、今まさに命の火が消えようとしてしている、先生の腹

の中から出てきた物とは思えぬ程、まるで生まれたばかりの赤子の様に生

き生きとしていました。

そして、それらは、もりもりと膝の前に重なり合い、艶かしい色を放ち蠢

いていました。

先生は、どっと両手をはらわたの中に付き、こうべを垂れ、呻き声を洩ら

しながら、痛みに耐えていました。

汗に光る首筋、裸の背中、荒い息で小刻みに動く胸、無残に掻き切られた

腹、流れ出た色とりどりのはらわた、その全てが怪しいほどに色気を放ち

ます。

それは、残酷であればあるほど、美しさを増す様でした。

先生の気力は凄まじく、低い呻き声をたてながらゆらりと体を起こしまし

た。

そして、はらわたをかき分ける様にしながら、ご自身の男根を握り、右手

の刀をぐさッと、先生は陰茎の根元に刀を突き立てたのでした。鮮血が、

そして、同時に白い精液が飛び散りました。

命の消え際、刃先の痛みが灼熱の快感になり、最後の射精を促したのでし

た。

先生は少しずつ切っ先を動かしていきます。そして動かすほどに精液が飛

び散り、はらわたに白い滴がかかっていきました。

ぶっと音がして遂に、陰茎は断ち切られ、ごろりとそれは先生の掌の中に

ころがりました。

先生は弱々しく今にも消え入りそうな声で私を呼びました。

私が先生の横にもつれる様にして行くと。

「小島、、君。これが、、私の、、形見。」

そう言って、血に濡れたそれを差し出しました。

私は両手の掌で包みこむようにして受け取りました。それは未だ、微かに

温かく、先生の体温を感じさせていました。

涙が出て止まりませんでした。

「小島君、、。か、介錯っ」

「たのみます、、。私の菊座に、、突き刺して、とどめを、、。」

「え。」と、思わず私は声に出してしまいました。

先生は、肛門に軍刀を突きいれ、串刺しにして介錯してくれと言っている

のでした。

「男同士、、、。契り、、は、果せませんでした。うぐうっ。せめて、、

君の手で、、。」

先生は、私の、男色の想いを、介錯で遂げさせようとしているのでした。

「はい、有り難く、、。」それ以上、涙でつまって声に出せませんでした。

私は、自分の軍刀を静かに抜き、先生の後ろに回りました。

先生は、最後の力で微かに腰を上げるのが精一杯の様子でした。

私は、左手で尻の割れ目をこじる様にして肛門を探っつていくと、人差し

指が肛門の襞を探り当てました。

私がぐいと尻の肉を開くと、目の前に先生の菊壁が見えました。

私が恋焦がれていた場所が今私の目の前にあるのでした。

それを、自分の手でとどめをささなければならないのです。

私はそのまま、刀の刃先を先生の肛門にあてがいました。

「先生、介錯いたします。」

「、、。た、たのむ、、。」そう聞こえました。

「ごめん。」

私はそう言い、右手に力を込め、一気に肛門に刃先を突き入れたのでした。

ずぶっと鈍い音がし、鮮血が飛び散りました。

「うぐあうーーううっうう」

と、凄まじい、呻き声。

刃先は容赦無くぶつぶつと先生の内臓を切り裂いていきます。腸管の断ち

切れて行く感覚が突き刺す私の掌に伝わってくるのです。

刀はまさしく、大小腸を切り裂きながら進み、肛門の中に没して行きまし

た。

グイグイと。

私はなおも力の限りに突き立ていきます、と、先生はビクンと体を仰け反

らせ、一瞬凍りついたように身をこわばらせました。

そして次の瞬間崩れるように前かがみに倒れて行きました。

刀の切っ先が心臓に達したのでした。

軍刀はしっかりと先生の尻に食いこみ、そこから生えている様に見えまし

た。

そして、凄まじい切腹をしたにもかかわらず先生の死に顔は安らかで、微

笑んでいるようにさえ見えました。








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