ひとひらの


                                         あまね さん 



(8)高校教師



現在赤松は65歳ではあるが、臨時教員として一年契約で県立通信高校の非

常勤講師をやっている。

科目は国語である。

現役の間は進学校から昼間の夜間高校までいろいろ回ったが、通信教育で

教えるのは初めてだ。

ここの高校について語れと言われれば、偉そうに聞こえて申し訳ないが、

よく言えば教育の多様化、悪く言えば教育の影の部分ということになろう

か。

 

 

ここの在校生の多くは中学校卒業と同時に入学してきて、その大部分は、

ここしか行く所がなく、働く気もなく、遊んでいても単位だけ貰えればそ

れでいいという子が多い。

中学校時代は学校へ通っていない子、集団生活に馴染めなかった子、すな

わち不登校生も多い。

ろくに学習も出来ず、さらに中学校と同じく集団生活をするのに抵抗があ

る子、だけど親が中学校の教師が何とかどこかに席を置いたほうがいいと

いうことで、とりあえず入学してくる。

その多くは勉強で今まで認めてもらったという経験がなく、もはや自分に

自信を持っている子などはいない。

残念ながらそのような生徒が続くはずもない。月に何回もない学校での授

業(スクーリング)を受ける辛抱ももはやなく、一学期も続かない生徒が

多い。

 

 

続く子、卒業までいける生徒は、それぞれ目標がきちんとしている生徒で

ある。

理由は様々である。

やっぱり高校卒という資格が欲しい。

集団生活はやはり嫌だが、なんとか次の目標を見つけるまで通信教育で頑

張りたい。

医学部に行くために、予備校へ行き、高卒の資格は通信教育で。

スポーツで何とか世界レベルに行きたいので、高卒資格は最低限の時間を

割くだけで。

などなど。

実際医学部現役合格を勝ち取った生徒もいる。

 

 

この学校に勤めてつくづく日本は変わったことを実感することがさらに多

くなった。

 

 

今日は三年生相手の授業だ。授業と言っても毎週日曜日にあるわけでもな

い。

きちんと夏休み、冬休み、春休み、試験休みなどがあるので、年間の授業

時間数はほんの極僅かである。

どの教科の先生も、ほんの形だけの授業で終わるのを生徒には申し訳ない

と思っている。

 

 

教室に授業は聞いているようだが、形だけの授業しか受けられない生徒に

対して形だけの授業をやっている自分が哀れになる。

 

 

自分の高校時代の時はどうだったろうか。

ここまでの閉塞感はなかったような気がした。

全国同じようであったそうだが、予備校化した高校で嫌な思い出が多かっ

たが、とにかく救われるものがあった。

 

 

好きな先生もいた。

例えば柔道のクラブには小柄だが日に焼けた顧問がおられ、いつも笑顔を

絶やさず優しく指導してくれる先生が好きであった。

その先生の柔道着からはだけて見える胸、引き締まった腹、腕は今でも焼

きついている。

 

 

夏の合宿の時、少し遅れて風呂場に行くとその先生が後から入ってこられ

た。

浴槽に入っている僕の前で大きなものを見せるような格好になってしまっ

た。

 

 

「どうだ、赤松、お前のものも見せてくれ、立て」

「エーっ」

「やっているのか、毎日出しているのか」

そーっと触りながら、

「先生もこの年になっても一週間に一度は朝立ちがあるぞ」

先生に撫でられて、僕のものは見る見る大きくなってしまった。

先生のものを大きくなっている。

「先生のものを握ってみろ」

「男同士こうやってお互いのものを握り合うのは何も恥ずかしいことじゃ

ないんだ、ある国では挨拶として握り合う国もあるくらいだから。こうや

ってお互い健康であることを喜ぶんだ」

優しく扱いてくれた。

「せんせいー、もうー」

「おー、これだけ大きくなって、出してみろ」

優しい先生は、大胆に僕のものを銜えて激しく扱いてくれた。

「だめー」

言った時には、口の中にぞくぞくと溢れんばかりのものを放出してしまっ

た。

先生は口をぬぐって、笑顔で

「いいぞ」

「すみません」

「何を言っているんだ、こんな元気なものを見たのは久しぶりなんだ。先

生のものを手で扱いてくれ」

先生の立派になったものを夢中で扱いた。

「もう少し優しくしていいんだぞ、あー」

先生は僕の腹に向かって大量の白い液を放出した。

「気持ちよかった」

「先生、有難うございます」

 

 

体を洗い、脱衣場へいくと先生は褌をつけているところだ。

「珍しいか、特に夏はこれがいいんだ。お前も大人になったら分かるよ」

 

 

あの先生は今でも好きである。

おおらかで開放的だった。嫌らしさが感じられなかった。

 

 

形だけの授業が終わった放課後。

どの先生もお互い話すこともない。

みんないい授業をやった後の達成感がなく、空虚な気持ちになっているの

だろうか。

生徒が誰もいない校舎にチャイムが鳴り響く。

北よりの風が木々を揺らしている。

 

 

好きな柔道の先生のように生徒に対しておおらかに接してやったことがこ

れまであったろうか。

それを思うと、やはり教師として大切なものを教えてやれなかった自分の

器の小ささを感じてしまう。



                                             






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