愛しの寅さん


                                         ともしび さん 


その6


翌日、寅さんからこんなメールが届いた。

「昨夜は私にとって記念日になりました。ヒロさんにリードされ今まで

経験したことがない事ばかりでした。身体のマッサージもして頂き、私と

してもなにもかも願ったことが叶えたような気分でした。その上健康グッ

ズもいただき感謝にたえません。そしてこれからのお付き合いの約束もし

てくださり、嬉しさ限りです」

比呂司の方も昨日の事は気になっていたので寅さんがこころから自分の

セックスを堪能し、マッサージで身体が楽になったと書いて来た事が何よ

りも嬉しかった。

寅さんにどうしてそんな名前を付けたのか聞くのを忘れていたので、電

話を掛けたら直ぐに応答があった。

それによると、フーテンの寅さんが大好きで若い時から映画は欠かさず

見ていたし、ビデオも全部ではないけど持っているので、フーテンの寅さ

んから名前を拝借したのだと言っていた。

寅さんは何処にでも転がって居そうな平凡な爺ちゃんにしか見えないの

にどうしてなのかと思っていたが、やつとその理由が解った。

確かにフーテンの寅さんに憧れる人は多いが、それは自分には無い物を

求める人間の心理なのかも知れないと比呂司は思った。

昨日は疲れたのではないかと思ったが、その事を聞くよりも寅さんが自

分とのセックスを堪能してくれた事を確認出来たので、何れ何か言って来

るまで静かに待つ事にした。

若い時は身体が疼いて困るという事もしばしばあったが、今は身体の疼

きよりもこころの渇きの方が辛くなった。

それは、男と遊びたくなったら何処へでも行って遊んでくれば良い事な

ので暇と金があれば何も問題はない。

然し、本当の友達、こころから愛せる男とは一度も会った事がないから

だ。幾ら自分が好きだと思っても相手の方に好きな男がいたら相手にはし

てもらえないし、向こうが幾ら惚れてくれても自分のこころが動かない限

り、寝る気にはなれない。

そんな繰り返しだったので、比呂司にとって寅さんとの出会いは歓迎す

べきものだった。その為、少しでも寅さんを元気にしてやりたい、少しで

も悦んでもらえたらと思っていたので、このメールを読んだ時は此で良か

ったんだ、とほっと胸をなで下ろしたのだった。

その後は寅さんも忙しくなったようでメールも来なかったが、元気でや

っているならそれで良いと何時ものように今度はどんな男と会えるかなと

ネットサーフィンをしているのだった。

時折り、過去に寝た男からもお誘いのメールが届く事もあるが、中々お

互いの都合がつかないので未だに実現しない。

比呂司は元々セックスには淡泊の方なので、例え何ヶ月も男と寝なくて

も何とも思わないが、寂しがり屋なので、例え会えなくてもメールで話が

出来る相手を求めていた。

そんな訳で、今でも10人くらいのメル友がいるので、今日は誰がメー

ルをくれるかなと、毎晩メールを開くのが一番の愉しみだった。

今夜も誰がメールをくれるかなと思って開いてみると、待ちに待った寅

さんからメールが届いていた。

 「今晩は、今日は仕事が少し忙しかったり母親の除籍手続き、他の用事、

そして娘と孫が来ているのでゆっくりパソコンを見ていられません。ヒロ

さんからのメールを拝見するたびにあの夜の事が思い出され、自然に手が

ちんぼ、アナルにいってしまいます。本当に今までに無い体験が出来、こ

れからのお付き合いが進展していくことに、期待してます。またヒロさん

の気持ちは充分判っていますが、言葉が浮かびません短文になりますが、

宜しくお願いします。」

メールの内容は相変わらずだが、それ以上に自分とのセックスの余韻に

浸っている様子が手に取るように判るので、これは近いうちに何とかしな

くてはならないかなと思うのだった。

比呂司が初釜の体験をしたのは20年近くも前になるが、当時はアナル

セックスに感じは全くの無知だったが、相手に拝み倒されて仕方なくチン

ポを入れてやった事がある。

処が、その相手はすっかり火が点いてしまい、翌日から次はいつ入れて

くれると言って困らせたので、仕方なく翌週も抱いてやった事がある。

それまでは互いにせんずりを扱いたり、チンポをしゃぶり合うくらいで、

尻の穴にチンポを入れたいとは思ってもいなかった。

然し、ふとした事から知り合って爺ちゃんにどうしても入れて欲しいと

頼まれて嫌嫌ながら入れたのが運の尽きだった。

それから半年あまりに渡って爺ちゃんと付き合ったが、元々アナルセッ

クスが好きではなかったので比呂司の方から間隔を開けるようになり、次

第に遠のいて行った。

それ以来、余程の事がない限りアナルセックス避けて来たが、ちまちま

知り合った男がウケだったので、いつしかタチをやるようになっていた。

然し、どんなウケであっても比呂司が本気になれる相手ではなく、身体

の繋がりはあってもこころを満たしてくれる相手には巡り会った事がなか

った。

そんな時、自分のこころをときめかす相手からメールを貰ったのですっ

かり舞い上がってしまったのだった。

そんなある日、寅さんからメールが届いた。

「夜になると助平心が点灯してしまいます比呂司さんにして頂いたマッ

サージ、アナル処女での感触を忘れる事が出来ません。あんなにアナルが

疼くようになるとは思いませんでしたので、自分にウケの素質があるとは

思ってもみなかったので、自分ながらびっくりしています。まだまだこれ

からのお付き合いで、ヒロさんにいろんな事のアドバイスを心待ちにして

います。わがままの態度大目にみてください。」

このメールを読んだ時、やはり自分の思っている事が現実になったなと

思う比呂司だった。

メールの文章を読む限りそれほどでは内容に思えるが、実際はチンポの

味が忘れられなくて毎晩ウズウズしているのが手に取るように解った。

然し、幾ら相手が悶えようと何を思うと互いの休みが噛み合わないので

抱いてやる事も出来ない。

 このままでは寅さんが精神的におかしくなってしまうので、一日も早く

抱いてやらなければと思い始めたが、互いの休みが噛み合わないので、当

分は我慢してもらうしかないと思う比呂司だった。

 そして、互いに都合のつく日が解ったので、今度はホテルでゆっくり愉

しませてやろうと思って電話を掛けたのだった。

 すると電話ではなくメールが送られて来た。

 「今晩は、先ほどは電話に出られなくてすみませんでした。先程パソコ

ンへメールを
送りましたが、送信エラーが出てヒロさんには届かなかった

みたいです。明日は久しぶりに抱いて頂けるというお話ですので楽しみに

しています。迎えに来て頂ける時間が解れば大変有り難いです。今度は電

話に出られますので待ってます。」

 このメールを読んだ時、やはり寅さんは身体の疼きに耐えきれなくなっ

ていたのだと改めて感じた。

 電話で話をしている時、今日が寅さんの誕生日だと言ったので、もっと

早く解っていれば何かプレゼントを用意してやる事が出来たが、明日では

ともて間に合わないと思った。

 それでも折角会うのだから何かプレゼントを渡したいなと思っている内

に、褌なら喜んでくれるかも知れないと思った。

 然し、寅さんの事だから新品をやっても喜ばないだろうから、自分の持

っている物の中で一番新しい褌を締めて行って、それを目の前で外して渡

してやったらきっと喜んでくれるのではないかと思った。

 本当は自分の締めている褌を他人にやるのは好きではないが、以前付き

合っていた爺さんがどうしてもお前のパンツが欲しい!と言って、ホテル

で寝た時に穿いていたパンツを持って行ってしまった事があったので、も

しかしたら寅さんも同じような気持ちではないかと思ったからだ。

 何れにしても、明日はホテルへ行って寅さんが心ゆくまで愉しませてや

れば、当分は身体も疼く事がないだろうと思う比呂司だった。



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