冥王星の夜


                                         佐良双樹 さん 


(6)沈香の蜜


「シャワーで汗を流しませんか」

 私は男を離れ、ベッドの横に立って声をかけます。

「…」

 男は答えませんでした。私は男の体にタオルをかけバスルームに行きま

す。体の至るところに汗がこびりつき、股間にはゼリー状のものが一部固

まっていました。男の蜜壷から流れた甘いゼリーの名残りでした。それほ

ど男の蜜壷は溢れ出るものがあったのです。女のバギナと同じように男の

バギナもまた滑らかな分泌物を溢れさせ、私の激しい抽挿を助けたのです。

そしてそれは、女のバギナに増して私の陰茎を締め付け、奥へ奥へと引き

込み、快楽の淵に立たせ続けたのです。経験したことのない恍惚が私を占

領していました。その名残りが私の陰毛に絡んでいたのです。

 

 シャワーから戻っても男は同じ姿勢のままでした。私は冷蔵庫のビール

を取り、ゆっくりと流し込みました。ビールが喉から食道を冷やして胃袋

に流れ落ちるのが分かります。熱く乾いた内臓は水分を得て活性するよう

でした。肉体が再び勢いを取り戻すのが分かります。その私のすべての勢

いを受けてくれる甘味と苦味を含んだ禁断の果実がタオルの下で静かに息

づいていました。もう一口飲んでから男のタオルを剥ぎ、仰向けに変えて

みてその股間の跡に二つの染みがが残されているのに気づきました。上の

方の大きな染みは一度拭き取られたようでしたが、その後に流れ出たカウ

パー液が光っています。その下の染みは壷を滴り落ちた男の快楽の蜜で、

一部がまだゼリー状の塊のままでした。私はそれを拭き取り、新しいタオ

ルを男の腰の下にまで敷き広げながら口に含んだビールを男の口に流して

やります。男はその冷たさに驚いて目を開きますが喉を鳴らして飲み込み、

すぐに私の首に手を回してきます。私が男の首を抱えて舌を押し込んで応

えると、痛い程強く吸い込んで男もまた私に応じたのでした。

 

        

 

 そして二人は互いの舌を絡ませ歯茎を舐め合うのです。男は足を私の腰

に絡ませ身を寄せてきます。私は脇腹から背中、そして尻へと手を這わせ

ます。そうすると男はますます身を捩って私に押し付けて来るのです。脇

腹も背中もそして尻も男の体は敏感になっていましたし、壷口にはまだ潤

いがありました。私がその周囲を優しく撫でると、男は小さく叫んで腰を

震わせていました。

 

 私の陰茎は男の滑らかな下腹に触れて固くなりつつあります。男の肉茎

に手をやると男のそれも固くなり始めていました。私は男を仰向けにし、

胸から脇腹へと舌を這わせます。男は手を伸ばし私の動きを抑えようとし

ていましたが、それの構わず、私は下へ下へと唇を這わせていきました。

 男の白い滑らかな腹部は激しく波打ち始め、その波の間に一本のマスト

が上下しています。マストは少し固くなって私の目の前にありました。肌

の白い男のそれは普段は淡いピンクでしたが、完全に剥けてはいませんで

した。固くなって頭を出したその肉の芽の鮮やかなピンクを袋に沿って撫

で上げますと、そのたびに腹部は波立ち小さな呻きが漏れます。その芽を

口に含んで舌を這わせると腹部はさらに大きくうねり、呻きは喘ぎに変わ

ります。亀頭の裏側から筋に沿って舐め下ろしそして舐め上げたり、袋を

口に含んだり、唇で根元を揉んだりしていると、塩気と先走りの芳ばしい

香りが私を痺れさせるようでした。そうなるともう私は夢中で、悩ましい

香りを放つ男の沈香(注
6)を荒々しく吸い、舐め、更に喉の奥まで吸い

込んで痺れのままに振舞ったのです。肉芽の先端に滲むエンドルフィン(

7)が効いてきたようです。

 男の沈香は中太の筍の形でしたので口に含みやすく、子供の頃のチュー

ブのアイスキャンディのように私は無心にしゃぶっていたのです。

 

 人の身体はモルヒネ(注8)を抽出することはできませんが、モルヒネ

と同じ作用のエンドルフィンを創り出すことはできます。精神を安定させ

多幸感を覚えさせるそれは、性交時には興奮を高揚させる働きがある一種

の脳内麻薬です。男の沈香から流れ出るエンドルフィンを私は子供のよう

に啜っていたのです。

 男の宙を舞っていた手が私の頭を抑え、そして自分の固くなった筍に蓋

をします。それ以上舐め続けられると達してしまうのでしょう。

「後ろで行かせて」と小さく言います。

 私はピンクの筍を貪るのを諦め、杭を男の顔の前に差し出しました。少

し柔らかになり始めていたのです。蒟蒻では杭になりません。男は美味し

そうに蒟蒻を含み、固い杭にして口から出したのです。



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注6)沈香(じんこう):正しくは沈水香木(じんすいこうぼく)。代表

的な香木のひとつ。東南アジアに生息するジンチョウゲ科の植物が風雨や

害虫、病気などの防御として分泌させた樹脂が蓄積したもの。特に上質の

ものを区別して伽羅(きゃら)と呼ぶ。東大寺正倉院御物の蘭奢待
(らん

じゃたい
)はその最高品。日本では昔から珍重され、何であれ良質なもの

をさして、伽羅油、伽羅下駄などと呼んだ。

注7)エンドルフィン:脳内で機能する神経伝達物質のひとつ。モルヒネ

同様に内在性鎮痛系にかかわり、多幸感をもたらすと考えられている。そ

のため脳内麻薬と呼ばれることもある。性行為時にはβ
-エンドルフィン

が分泌される。

注8)モルヒネ:モルヒネは鎮静薬として種々の原因による疼痛の軽減に

有効であるが、依存性が強いため、各国で法律等により厳しく使用が制限

されている。主にアヘンから取り出される麻薬である。



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