縄に酔う男




                                  昼顔さん



禁断の園に・・・

(六)




 私は無我の境地に彷徨い始めていました。彷徨いつつありました。心は

無我、でも身体は次の責めを欲していました。そして、また・・・自身に

施された縄化粧を確かめたい、鏡に映し出して確かめたいと、また鏡に相

対しました。

 

 責めの主人公たる彼、そしてギャラリーとして見詰める四人の男達の姿

が鏡の中に映し出されていました。衆人環視の中で、取り囲まれる中で・

・・私は顔を捻って鏡を見ました。側部(右側でした)が、鏡に捕らえら

れて映し出されていました。私は直ぐに身体の向きを変え、再び鏡に相対

しました。

 

 永年恋い焦がれた自身の緊縛姿態、信じられない思いでした。ですが虚

像ではあっても、鏡に映し出される虚像ではあっても、其の鏡の中に立ち

竦む緊縛姿態の男とは正しく自身。紛う事無き己が緊縛姿態でした。

 

 「白く・・・なり始めている様だから・・」と呟く彼の呟きが聞こえま

した。私は怒張と陰嚢の縛めを解かれました。それまでの痺れ感はありま

せんでしたが、裏筋が千切れはすまいかとの膨張感・緊張・緊縛感のみで

したが、縛めを解かれた陰茎に血が通う感覚を覚えました。鈴口からは止

めども無くカウパー氏腺液が滲み流れ落ちていました。

 

 私はプレイ室の中央に移され、後ろ手の縛めを解かれました。手首を揉

みながら次は何を・・??
何を“される”のだろうか・・??、取り囲

み見詰める四人とプレイの主人公たる彼とを、俯き加減で伏し目がちに見

回しました。救いを求める目、面持ちであった様ですが、でもそれは性的

被虐に酔う中年男を意識して演じたものではなく、いえ、演じと真意とが

入り交じったものでした。縛めを解かれ血流の抑制から解放された怒張の

漲り(みなぎり)には、些かの萎える感覚を覚えていました。

 

 Mの印である赤い締め込みの内の二人の、若い二人と目が合いました。

呆気に取られる目と共に、手は自身の股間を覆い隠す様に、でも明かに大

きく勃起を呈し前褌を突き上げ膨らました其れを、自らで輪郭をなぞり弄

っていました。感情移入、私へ感情移入しているのは明らか・・・と思い

乍らの私は、彼等の視線から逃れる様に俯いて目を伏せました。

 

 後ろ手の縛めから解放された両手両腕は如何したら良いのか・・??如

何にして次を待てば良いのか・・??自由になる両脚は・・??そんな思

いの中で私は立ち竦んでいました。五人の視線に“晒され”ながら・・・



                                         つづく 








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