縄に酔う男




                                  昼顔さん



禁断の園に・・・

(五)




 目隠し・?・ 彼がそんな素振りを見せた様に思いました。取り払った

赤い布を折り畳む彼が鏡に映っていました。 或は口枷・?・
それとも

猿轡・?・

 

 厭・・・目隠しは厭・・・そんな思いに囚われていました。私を取り囲

み見詰める四人を、そして彼との五人の存在をこの目で確かめたいと、羞

恥に喘ぎ酔う私を見詰める五人の“目”を確かめたい・・・
時には目を

会わせたい・・・
確かに視られている、見詰められている、菱縄縛りで

後ろ手の姿態を、そして最後の一枚を無碍にも取り払われて一糸纏わぬ私

を見詰める方々の其の存在を、就中、その“見詰める目”を確かめ乍ら晒

されたい・・・責めを受けたい・・・と、思っていました。

 

 一方で、目隠しされて視野を奪われ・・・ 誰のものとも解らぬ手が四

方八方から私の身体中至る処に伸び・・・
誰がと確かめる視野を奪われ

る中で・・・弄られもしよう、抓られ捻られもしよう・・・
赤い布での

目隠しならば、私が好む赤なのであれば・・・
赤い目隠しならば・・・

そんな思いにも囚われていました。

 

 ですが私は顔を左右に小さく振っていました。嫌忌し、目隠し其のもの

を嫌い条件反射的に拒否(?)
いえ、それは違います。ならば無意識の

内に(?)
それもありませんでした。咄嗟の事です、上手く説明出来ま

せんが、私は顔を左右に小さく振っていました。

 

 「うんうん、解った」とでも言う様な面持ちと共に、微笑む彼の顔が鏡

に映っていました。彼は赤い布を床に投げ捨てました。

 

 彼の姿が鏡から消え、私が顔を捻って実像の姿を追うと、壁の縄束が掛

けられた架台の端の、縄暖簾の様にして掛けられた沢山の細い紐の中から、

赤い江戸紐を引き出し手に取っていました。和装小物の巾着袋の、其の口

を引き絞る紐よりも細い江戸紐でした。

 

 其の赤い江戸紐を手にした彼が私の身体の前に膝立ちしました。私の怒

張を手にし、試すがえすに見詰められながらの私は、若しや口淫・・?或

は・・・談話室の壁に掛けられた男絵の様な・・・何れにせよ、私は逃れ

ようと腰を引くでもなく、逆に腰を突き出してしまっていました。御ねだ

り(?)、催促(?) 何れでも構わないと、身体がそうさせていた様で

す。

 

 後者でした。怒張の陰茎を数回扱いた彼は、赤い江戸紐の長さの中央部

を探り出して怒張に先ず掛け、そして怒張を分岐点に左右に分けられた江

戸紐の夫々を、怒張の付け根に幾重にも手慣れた手捌きで巻き付け、キュ

ッと引き絞りました。(昨今から考えると、コックリングの様な効用です)

談話室の壁に掛けられた男責め絵、其の中の陰茎縛りでした。

 

 「ウッ・・・」と思わず呻き声をあげてしまいました。両の太腿の内を

そっと払われました。私は開脚度を大きくしました。そして・・・両膝を

僅か曲げて爪先立った様に思います、言われる前に・・・

 

 赤い江戸紐の残りは充分に余り残る程の長さでしたが、其れが陰嚢の付

け根にこれも幾重にも巻き付けられ、そしてギューッと引き絞られて縛り

上げられました。怒張の陰茎と睾丸を包み納める陰嚢の夫々を、一本の赤

い江戸紐で付け根をキツク縛り上げられました。

 

 爪先立ちで膝を曲げ、両脚の開度を大きくしていた私は、屈み込む様に

前屈し、己が怒張に施された赤い縛めを覗き込み見詰めました。血流を抑

制された怒張は漲りを増し、赤く熱り立っていました。男責め絵の其れは

ゴツゴツと松の根っこの様に血管を浮き立たせていましたが、私の其れは

巡らされた血管は窺えはするものの責め絵の其れの様には至らず、恰も天

狗の鼻が如き呈でした。亀頭はピンク色にテラテラと光り輝き、はち切れ

んばかりで、針で刺したら破裂するのではと思わせる程に、そして丁寧に

磨いた様にテラテラと光り輝いていました。陰嚢も然り、睾丸の輪郭も露

わに、これまた破裂しそうなまでに引き絞られ縛められていました。男の

一番の急所、副睾丸は上手く避けられていました。

 

 痛感はありませんでした。膨満感と緊縛感のみで、敢えて痛感をとすれ

ば、破裂せんがばかりに熱り立つ男の痛感を覚えていました。自慰の際に、

昂り嵩じて絶頂の極みを目指す際に、手指で根元を強く押さえ付けての、

恥丘に手指を埋め込まんばかりに四肢を突っ張らせて力む其の時の感覚で

した。ですが緊縛された其の時は四肢を突っ張らせずとも、力まずとも、

陰茎は独立体としてでもあるかの様に、自己を主張していました。裏筋、

陰茎小帯が切れるのではと思わせる様な勇み勃ちでした。(今になって考

えると、正しくコックリングの効用でした)

 

 同室の四人の方々は覗き込む様に凝視し、彼は自己の作品を観るかの様

に完成度を確かめるかの様に、私の勇み立ち熱り立つ怒張漲る其れを手に

取り見詰めていました。江戸紐の尚も余の両端は、床に達して這っていま

した。

 

 後ろ手に縛られた私は自らで身体の向きを変えました。真横から・・・

己が緊縛姿態を真横から、鏡に映る其れを観たいと思っての事でした。観

たい・・・正しく観る、観賞、自らで自らを・・・鏡に映し出して、そう

思った私は自らで身体の向きを変えました。

 

 菱縄縛りの上体、更に其れに続く股間縛り、踏ん張るが如き下肢、腕は

後ろ手縛り、そして・・・赤い江戸紐で施された陰茎陰嚢の縛り・・・私

は鏡に映る自身の真横を顔を捻って見詰めました。男責め絵の様な陰茎へ

の刀の柄巻が如き縛りは為されませんでしたが、血流を抑制された怒張は

雄々しく自己を主張していました。


                                         つづく 








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