縄に酔う男




                                  昼顔さん



禁断の園に・・・

(拾)




 迫り来る絶頂の頂きから逃れようと私は足掻きました。まだまだ責めら

れたい、辱められたい、嬲られたいと思っていました。気を逸らす為の一

つの方法としての、仕事の事や家庭のこと等々、表の世界の事に思いを巡

らせました。人に知られたら如何しよう、閉鎖空間内でのプレイ、取り囲

む方達は見知らぬ初対面の男達、互いに異端とも定義付けされる性癖の方

達、秘密の共有は能う筈ですが、この
SMサークルが在するマンションを出

たら各氏霧散するとは思いますが、新たな入室者が入って来たら、そして

其の方がビジネスパートナー氏であったならば・・・交友関係にある方で

あったならば・・・言い繕いも何も、私は一気に表の日常の世界に引き戻

されてしまいます。

 

 逝きたい・・・でもまだ逝きたくない・・・ 私は「・・うう・・ああ、

ああ~」と喘ぎ身悶えしながら絶頂の頂きを遠ざけるべく努めました。寸

止め、正しく寸止めでした。それも器具等を直接用いられた訳でもなく、

ましてや手指で直接怒漲を弄られ嬲られた訳でもなく、初めての経験であ

る男責め、縄化粧・・・
取り囲まれ見詰められ・・・ 自己に陶酔してい

たのかも知れません。自己の性(さが)に陶酔し、突き動かされていたの

でしょう。

 

 手首の縛めが解かれました。「一旦、縄掛けを解こう・・」「長い時間

だと跡が消え難くなるから」と二人の
S氏の誰からともない囁きが聞こえ、

すると「奥さんに問い詰められたりしたら家庭争議の元」と囁く同年齢と

思しき
M氏、ドンデンが来た様だと自らで言うM氏が囁き掛けて来ました。

 

 其のM氏は「動かない、そして自らで解かない」「縄を引いたりして擦

れたりすると跡が着き易いから」「身体の力を抜いて・・・身を任せてた

方が良いヨ」と、一歩程私から離れて囁き教えてくれました。私は小さく

頷きました。二人の若い
M氏は腰の抑えから手を離していました。先ず股

間を潜る縄が緩められ解かれ、シュルシュルと妖しい音の中で私の縄化粧

は解かれていきました。

 

 縄の化粧を解かれた私は、文字通り一糸纏わぬ全裸・・・ 自由になっ

た両手の内の右腕を横にして胸に当て、左手は掌で勃起を覆い、そして立

ち竦んでいました。
S氏二人と、ドンデンが来た様だと明言したM氏が私の

身体を、上体を見詰め回し、「大丈夫みたいだね」「今日の内は少しは、

薄くは残るだろうけど」「注意して視なければ解らない程度・・・」と先

ず二人の
S氏が微笑みながら囁き、次いでドンデンのM氏が「今夜奥さんと

は・・・??奥さんの前で裸になる予定・・?今夜は??」と、揶揄する

口調で囁きかけて来ました。「・・・いいえ、それは・・・」と私は小さ

く首を左右に振って答えました。「ならば大丈夫」「手首には緩衝材とし

てタオルが巻かれてたから、跡は着いていないから」「肌の縄目の跡も直

ぐ消えるでしょう」と、私の身体を撫で擦りながら囁きました。

 

 私はヘナヘナと、まるで腰が抜けた様に、へたり込む様に床に腰を落と

してしまいました。膝を折った下肢を重ね合わせ、左手で上体を支え、右

腕は胸に当てていました。「艶かしい姿だね・・・」「女のしどけない姿

の様だ・・・」「生粋のネコさん、ウケと云うよりはネコ・・・」「好事

家氏なら堪らないだろうねえ・・・」と三人が口々に呟きました。

 

 S氏二人は若いM氏達に「縛ってあげようか・・?」「縛られに来たんだ

ろう、責められに来たんだろう??」と質し掛けていました。二人は「い

え、僕は」「いえ、私は」と、真顔で同時に手を左右に振って後退りして

いました。
S氏二人はそんな若い二人のM氏に失笑とも苦笑ともつかない笑

みで微笑み掛けていました。私も小さく首を左右に振り、休息は要らない

とする旨を返しました。

 

 「よし!良い心掛けだ」「じゃあ、両手を後ろに組んで」と告げられた

私は、今度は紫色の麻縄で後ろ手に縛られました。「立ってごらん、立て

るかな??」と問われた私は物憂い仕草で立ち上がろうとしましたが、後

ろ手の縛めの為になのか、バランスを崩してよろけてしまいました。

 

 「よしよし、立てる様に、立ってられる様にしてあげようね」と、長い

生成りの麻縄を三重に重ならない様に束ねた縄が私の胸に、胸筋の上側に

回され掛けられ、次いで同じ様に胸筋の下側にも。背後で夫々を引き絞ら

れると、二の腕がギュッと絞まりました。後ろ手の縄は其の胸縄に絡み付

けられた様でした。私は両脚を開いて踏ん張り、後ろ手が引き上げられた

せいなのか、幾分前屈みになりました。二の腕に跡が付くのでは・・・ふ

と思いました。次いで胸縄の背部と後ろ手の縄とが天井の櫓の滑車から伸

びる吊り縄に結わえられ引き上げられ、更に些かの前屈姿勢になりました。

 

 誰からだったか、顎を掬う様に擡げられた私は、正面に離れて立ち竦む

若い
M氏二人を見詰めました。目が合いました。私は「視たい・・・」と

小さな声で呟いたそうです、後で教えられました。若い二人は壁に立て掛

けられていた大きな姿見を私の前に移して支え持ちました。見ていた
S

が「御礼は?、有難うございますは?」と私のお尻をペチャペチャと叩き

ながら囁き、「・・・ありがとう・・・ございます・・・」と消え入る様

な声で呟く様に言いました。後ろ手に胸縄掛された私の全姿が鏡に投影さ

れていました。今度は紫に染められた麻縄と生成りの麻縄・・・

 

 背後に蠢くS氏の姿が鏡に映りました。鞭を手にしていました。バラ鞭

でした。
S氏は私の横に来て、そのバラ鞭の穂先を怒漲に掛けました。熱

い漲りに冷たく感じられる鞭の穂先・・・でもまさか・・・私は真顔で
S

氏を見詰めました。「心配??怖い??」「でも・・・此処を打ち据える

プレイもあるんだよ」「怖いかい??」等と言いながらの
S氏は、穂先の

一本一本を私の怒漲に絡め付けました。「厭っ・・・」「其処は・・・後

生です、其処は・・・」と、私は腰を引き身悶えしながら訴えました。

 

 「解ってるって」と、もう一人のS氏が囁くと同時に私の怒漲にそっと

触れました。熱り立つ其れは漲り感が失せていたのを感じました。「折角

だもの、ギンギンにおっ勃てた処を視てもらわなきゃネ」と、その
S氏は

壁際の器具棚から半透明のボトルを手に取り、雁首状に折れた嘴管を私に

翳し見せました。怒漲に絡め付けられたバラ鞭の穂先が取り払われ、嘴管

の先からローションが滴り落ちて私の怒漲に塗り込められました。塗り込

めては扱き、扱いては塗り込め、それは陰嚢にも及びました。

 

 「ほ〜ら、凄い!」「凄い事になったねえ」と囁かれた私が鏡を見ると、

血液を目一杯送り込まれ艶々と輝く怒漲がピクッピクッと妖しく蠢いてい

ました。亀頭は赤紫色にテラテラと光り輝いていました。美しい・・・正

直、私はそう思って己が雄のシンボルを見詰めました。私は男根崇拝者で

した。(若い頃からの、少年期からの男根崇拝者です、私は)

 

 もう逝きそうでした。「逝かせて・・・下さい・・・もう・・・我慢が

・・・」と私は喘ぎました。
S氏が私の破裂しそうに漲り輝く亀頭を手に

し、「・・・バックリ、鈴口がバックリと開いてる」「涙で、男の妖しい

涙でグチョグチョ」と鞭を手にした
S氏に告げ、次いで若い二人のM氏に

「ほら、解るだろう・・・」と囁き掛けました。二人は固唾を呑んでいた

様で、そして身を乗り出して雄の主張猛々しい私の怒漲を見詰めました。

 

 バサッと云う音と共に、私のお尻にバラ鞭が打ち据えられました。パ

〜ンとかパシッとかの乾いた音ではなく、湿った様なバサッと云う音でし

た。痛さはありませんでしたが、それは第一撃目の手慣らしでした。二撃

目からは徐々に力が込められていきました。それに連れてバシーッと云う

鈍い音に変わっていきました。

 

 私は歯を食いしばり、「ムグッ、ムグウウ」と低く唸る声をあげながら、

臀部への鞭打ちに堪えていました。五撃目だったでしょうか、バシ〜ッ!

と大きな音と共に強烈な痛みに襲われ、私は顔を仰け反らせ「うあああ

〜」と大きな声をあげて身を反らせました。臀部は焼ける様な熱い痛感と

共に痺れ感がありました。吊り縄がギギッ・ギシッと妖しく啼いていまし

た。

 

 鞭打ちは一旦止み、「はあ・・はあ・・」と荒い息遣いの中で、「誰か、

何方かで擦ってあげなさいヨ」「可哀相に鞭打たれて萎んじゃうといけな

いから」「二人一緒にでも良いよ」と、
S氏が若いM氏二人を促す声が聞こ

えました。「鏡は僕が支えてるから」とドンデンの
M氏も促しました。鏡

を託した若い二人の
M氏は私と鏡の間に立ちはだかる様に移り、怒漲と私

の顔を、被虐に喘ぐ私の顔とを交互に見詰め、一人が恐る恐ると云った態

でそっと手を伸ばしました。

 

 手淫でした、手淫の始まりでした。掌で亀頭を包み込んで擦り回し、指

で輪を作り陰茎を擦りあげ、時には陰嚢越しに睾丸を弄り・・・私は声を

震わせて「逝く・・・逝っちゃう・・・ああ・・・あああ〜」と身悶えし

て腰をくねらせました。「顔を見てあげなさい」「善がる男の顔を、目も」

「ほら、哀しい性(さが)だねえ、辱められるのが好きな男」「顔を、目

を、見詰めてあげなさいよ」と
S氏の声に、二人は俯く私の顎に手を掛け

持ち上げました。

 

 私は羞恥の中に目を開けました。爛爛と輝く二人の目でした。舌舐めず

りしている様にも思えました。被虐の
Mの目ではなく、嗜虐のSの目・・私

にはそう思えました。見詰め合った私は、激しい羞恥感の中にも性的羞恥

が更に込上げを増し、“視られてる・・・”“間近で・・・”“顔を目を

・・・”羞恥に打ち拉がれると同時に、私の性(さが)なるが故の性的羞

恥に気が遠のく思いでした。それまで何等の関心も好奇も抱かなかった、

同性愛者の対象として何等の関心も抱かなかった若年者、然も同類の
M

・・被虐心が更に一層昂っていました。不本意ながらの意外性だったのか

もしれません。いや、これこそが被虐者の性(さが)、シナリオ等は無く、

突然訪れる場面なのでしょう。

 

 「もう・・・もう本当に・・もう・・もう・・」「・・・逝きそう・・

・」「逝かせて・・・逝かせてえー」と私は喘ぎ悶えていました。内の一

人が私の背部に回った様でした。「真っ赤になってる・・・」と呟く声が

聞こえ、私のお尻の前に跪くのが気配で解りました。「ああ・・・もう・

・・ホントにもう・・・」と身悶えして喘ぐ私の双丘に掌の感触を覚え、

撫で擦られ始めました。

 

 前と後ろから挟まれての、怒漲と双丘への手淫、愛撫でした。「もう・

・・御願いです・・逝きます、後生です・・・逝かせて下さい・・」と、

私はそれまで同性愛の対象としては関心すら抱かなかった若い二人に懇願

していました。「もう少し歳が離れてたら・・・父親を、いや、それだと

現実感がない、義父かな、虐め犯している気分が・・・」とドンデンの
M

氏が煽る声が聞こえました。「・・・でも・・・会社の上司・・・良く似

てらっしゃいます」「年格好背格好、面立ちも・・・」と、私の眼前で顔

を見詰め目を会わせる若い
M氏が遠慮がちに小さな声で返すと、「だそう

だ・・」「恥ずかしいねえ、部下みたいな彼等の前で・・・」「全裸に剥

かれて縄を掛けられ・・何もかもを晒されて」「おっ勃てて・・・」「逝

くうー、逝かせてえ〜って・・・懇願して・・・」「恥ずかしいねえ」と

ドンデン
M氏が私を煽り立てました。

 

 痺れ感の双丘にヌメッとした感触を覚えました。背後のM氏が舌を這わ

せ始めていました。ばかりか、開脚して踏ん張る両脚の間に手を潜らせ、

陰嚢越しに睾丸を弄り始められました。「もう・・・もう・・・ホントに

ダメ・・・逝く・・・逝かせて・・・逝かせてえ〜」と私は四肢を硬直さ

せ始めました。怒漲の扱きが激しくなりました。陰嚢が、怒漲に寄り添う

様に張り付く様にあがった睾丸が、その探り当てられた睾丸が後ろに引っ

張られました。漲りの表皮が更に張り詰められました。

 

 頭の中が真っ白になった気がし、目の中は真っ赤になりました。歯を食

いしばり、両足を踏ん張り、後ろ手の縛めの両手を固く握り締め、前のめ

りに吊られた身体を硬直させ、「逝く、逝きます」「ううう〜」と身体全

体に力を入れた私は、吊り縄を軋ませ「ウッ」と短く呻いて双丘と両の太

腿に力を込め、そして熱い迸りを、男の熱い精を放ちました。(放つ前に、

意識朦朧とする中に、“視てえ〜”“逝きます、視てえ〜”“視ていて

〜”と叫んでいたそうです。後で教えられました)



                                         つづく 









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