切腹小説 想い


                                         十文字 さん 


その二



武将の周りには、十数名の敵兵が囲んでいる。

老武将の最後の抵抗と、その気迫に押され、敵の兵隊は遠巻きにして、様

子をみていた。

武将は刀をかまえ、血の出るような鋭い眼差しで敵兵を見ていた。多勢に

無勢、勝ち目はないのは判っていた。

このまま、力の限り戦い、切り死にするか、それとも、、。

武将は、はっきりと今こそが死ぬべき時、そしてこここが死ぬべき場所で

あると悟った。そう思うと、武将の心は晴れ晴れとした心持になっていっ

た。

武将の周りを囲んでいるのはほとんどが、農民あがりの足軽たちだった。

彼らは、手柄をたてて、侍になろうと必死のものたちである

このものたちに、本当の侍の死に様を見せてやろう。そう思った。

 

武将は不意に刀を下ろして仁王立ちになった。

周りの者たちは、不意の事にどうしていいか判らない様子で、お互いの顔

を観あっている。

「皆の者、おぬしたちに、真の侍の死に様、見せてやろう」

「よいか、これからわしは腹を切るゆえ、よーく見ておれ」

そう言って、甲冑を脱ぎ捨てた。更に、武将は着ているものも全て脱ぎ、

褌ひとつになってしまった。

戦国の世とはいえ、本当の切腹など、めったに見られるものでは無かった。

話には聞いてはいたが、そこにいるだれもが、切腹など見たことが無かっ

た。

それに、男ぶりのいい堂々とした侍が、自分たちの前で褌ひとつで腹を切

るのだ。

見逃す手はなかった、兵隊たちは期待に胸を膨らまし、武将の動きに注目

した。

武将はその想いを察知したかのようにゆっくりと褌の結び目を解くと、一

気に褌を引き抜いた。

すると、その反動で、反り返った雄柱が、弾けた。

老武士のそれは、七寸あまりのふと竿で、血管を浮き立たせてびくんびく

んと小刻みにゆれ、亀頭は赤銅色に照り輝いていて、鈴口からは透明な液

体が流れ出していた。

周りの兵隊から、思わず「おおっ。」とゆうため息が漏れた。

 

武将の体には、戦いで数箇所刀の傷が刻まれ、その傷口から一筋二筋血の

糸が流れ出ていた。

そしてその体は、長年武術で鍛えぬかれたためか浅黒く、張りがあった。

昔は鋼のような肉体であったであろうが、下腹にしっとりと肉が付き、そ

れが年代とともにしだいに弛んではきていたが、その下には今だ、張りの

ある筋肉の鎧を隠しているようであった。

男根の茂みのあたりはすでに白くなり、その部分が武将の年齢を感じさせ

てはいた。

がしかし、その姿は老武士の凛とした風貌に加えて、年を重ねてこそ出る

男の色気をかもし出していた。

 

それらを見せびらかすように一呼吸おくと、切っ先を三寸ほど出して、今

自分が身に付けていた褌を刀に巻きつけていった。周りの兵隊は、皆、異

様な興奮に包まれ、一瞬でも見過ごすまいと皆、固唾をのんでその姿を見

守ていた。

武将は中巻きした刀を左手に持ち、節くれだった右手で、下腹をゆっくり

と撫でさすった。

その動きにつれ武将の男根も左右に揺れ動き、鈴口から一筋の男汁が、糸

を引きながら流れ落ちた。

武将はさすっていた手を止め、刀に右手を添えて左下腹に刀の切っ先をあ

てた。

武将の繁みがかすかに風に揺れた。

武将は息を大きく二度つき、三度目の息を止めた。

「あうっ。」

声と同時に、武将は刀を力いっぱい己の腹に突き刺した。

周りからいっせいに「おおっ。」と声が漏れた。

三寸ほど出された切っ先は、下腹深く飲み込まれ、その傷口から一筋、血

のすじが流れ出て、そして、それは老武士の繁みの中に消えていった。

武将は両手に力をこめて、右に引き回した。

切っ先は意外なほどの抵抗で、両腕に渾身の力をいれてもわずかしか動か

なかった。

しかし、それでも切っ先はじりじりと動きはじめ、流れ出る血潮を拳でぬ

ぐうようにして臍の下ほどまでじりじりと切り進んだ。

「うぐううっぅうう。」声が低く長く響いた。その声は、苦痛の声にも聞

こえたが、快感のあまりに漏れ出る声のようにも聞こえた。

武将は刃先を臍の形がひしゃげるほどに引き回すが、滑らかなはらわたが、

ともすれば刀を押し上げようとするようで、武将はそれを押し込み押し込

み引き回そうとする。が、刃先はようとして進まず、喘ぎ声がただ響くだ

けであった。

武将はたまらず、腰をふり、身をよじって満身の力をこめ刀を引いた。

「ブツッ。」と腸管が断ち切れる音がして、同時に、ひしゃげていた臍の

形がぶるんと元に戻り、刃先はぶりっ、ぶりっ、とせつない音を残しなが

ら下腹を再び、切り裂きはじめたのだった。

そして、ついに武将の下腹は右下腹いっぱい、腰骨に当たるほどに、一文

字に掻き切られたのであった。

切り口は九寸近くは有ったであろう。

その切り口はすでに、左から口をあけはじめていて、ざくろのようにはじ

けた切り口からすおう色のはらわたが見え、それがむくむくと、それ自身

に意思があるように、蠢き出てきた。

周りのものは、あまりに圧倒される血の儀式に声も無かった。しかし、そ

の男たちの一物は褌の中で、確実に硬くなっていった。

あるものは、褌の中に手を入れ、己がまらを扱いていた。

武将はそのままの姿でしばらく喘いでいたが、「うーむっ。」とゆう声と

共に、右脇腹に留めていた刀をえぐるようにして、引き抜いた。

すると、一文字に掻き切られた下腹の肉が、その反動で緩んで大きく口を

開いた。

艶やかなはらわたが、裂け目から一気にもりもりとはみ出て来て、股間に

垂れ下がった。

そんな苦痛の中、武将の男根は一時も萎えることなく雄雄しくそそり立ち、

鈴口から透明な男汁を流しつづけていた。

武将は震える手で刃先を下に向け、その刃先を鳩尾近くに運んだ。

武将の息は荒く、立っているのもやっとのように見えたが、それでもなほ

眼光は鋭く、敵兵をぐいっと睨んで、「これがーっ、十文字腹っ………」

そう叫ぶと、武将は一気に刀を鳩尾に突き立てた。

武将は、両腕を絞るようにしてぐいぐいと切り下げて行く。

刃先はすでに臍を真っ二つに断ち割っていた。

なおも刀は、容赦なく一文字に口を開く切り口を断ち切って行く。

めくり上がった切り口の上側は刀に押され一瞬伸びきると、「ぶっ」と音

をたてて断ち切られた。

その時、切り口が三角に口を開き、刃先に押し出されはらわたがぬるぬる

とはみ出て来た。

刀はそのはらわたを引きずるようにして下腹に切り込んでいき、武将の血

に染まったそそり立つ雄柱の根元近くまで切り込んで行き、止まったのだ

った。

武将を囲む敵兵の幾人かはその時、その凄惨であるがゆえに美しい、武将

の姿に興奮して、褌の中に思い切り精を漏らしてしまっていた。

そんな中、武将は、敵兵を見渡すと、血にぬれた右手を切り裂いたばかり

の我が腹にずぶずぶと突き入れた。

己のはらわたの熱いぬめりを手に感じながら腹の中を、しばらくその感触

を楽しむかのようにまさぐっていたが、うーむと右手に力を込めると、血

潮を弾かせながら、ずるりと腸塊を引きずり出した。

水に濡れているようにつややかで、艶かしいはらわたの塊が、ずるりと、

引き出されたのだった。

武将は満足げに、敵兵を見回すと苦しい息で「み、見たか、皆の者、これ

が真の………いくさびとの、腹切りであるぞ。」

そう言って満足そうに微笑んだ。




                                        続 く 








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