男の影を慕いて



                                     秋山槙太郎さん 



(48)親父との別離



親父とオヤジさんは、俺の行動を全て理解したのだ。俺が、オヤジさんに

侘びを入れる理由を、全て分かったのだ。

オヤジさんは、

「槙太郎、バカ、そんなことをするな、手を上げろ、そんな土下座なんか

するな」

オヤジさんはというなり、オヤジさんは俺の体を持ち上げるように、土下

座をやめさせようとしたのだ。

しかし俺は、土下座をやめなかった。土下座をしないと、俺の気持ちがす

まないのだ。

俺は、オヤジさんと親父に、とんでもないことをしたことをしたことを、

詫びないと気が済まなかった。

「オヤジさん、すみませんでした、、、」

そして俺は、親父の方に向かって、

「親父さん、、、俺は、とんでもないことをオヤジさんにしてしまいまし

た、、。俺は、オヤジさんと高雄さんの仲を割ってしまってしまいました。

俺、本当に申し訳ないと思っています、、、。オヤジさん、そして高雄さ

んに本当に申し訳ないと思っています。

俺、高雄さんと別れます、、、。そうしないと、オヤジさんに迷惑をかけ

てしまいます、、、」

俺は、二人に深々と頭を下げた。

 

親父は、

「槙太郎、バカ、止めろ、そんなことを言うな。お前が何をしたと言うん

だ。お前に咎(とが)はない。もうそんなことを言うのは止めろ。分かっ

たか槙太郎、、」

 

オヤジさんは、じっときいていた。

「槙太郎、心配するな、、。高雄がお前を抱いたからといっても、わしと

高雄の関係は、そんなに簡単に壊れたりはしない。

高雄はお前に惚れている。だから槙太郎、お前は高雄と別れるなどと言う

な。高雄を愛してやれ、、、。

お前も高雄を愛しているんだろう。だったら、別れるなどと言うな。高雄

の気持ちもわかってやれ」

オヤジさんは、穏やかな口調で俺に言った。

俺は嬉しかった。

オヤジさんの言葉に、グーッと来たのだ。思わず涙が溢れて来たのだ。

親父がすぐに俺のそばに来て、俺を抱きしめてくれた。

 

「槙太郎、、、お前、儂と別れるなどと言うてくれるな、、頼む、槙太郎

、、」

俺を抱いてくれている親父の体は暖かかった。

親父の目には、涙が滲んでいた。

 

オヤジさんは、

「まだ夜が明けておらん。もう少し寝るか。槙太郎、お前は、高雄に抱い

てもらえ。高雄、槙太郎をしっかりと抱いてやれ。

お前が惚れた男だ。大切にしろよ、分かったか」

親父は頷いた。

 

親父も目に涙を浮かべていたのだ。

「槙太郎、朝まではまだ早い、もう少し寝るか。儂の布団の中に入れ。儂

はお前を抱いてやる。もう泣くのは止めろ、いいか、槙太郎」

俺は、親父の布団の中に入った。親父は俺を優しく抱きしめてくれたのだ。

親父は、寝ているオヤジさんに向かって、

「オヤジ、もう少し寝るか?」

「うん、今日はお前は店が休みだろ。お前もゆっくり寝ろ」

「うん、わかった」

三人は、再び眠りについたのだった。



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