最後の恋を求めて




                                         筑紫俊一郎 さん 



【 1.それぞれの旅 ①】



 東京の桜が終わり、今は北海道の大地を北上している。佐藤正一68歳。

東京に居を構え、妻と愛犬と穏やかに暮らしている。東京といっても比較

的閑静な都下である。身長167、体重
75㎏、歳と共に運動不足からかお

腹が出てきてポチャポチャのお腹が車を運転していても邪魔になる。正一

は3月で45年勤めた商社を退職し、自分へのご褒美としての群馬県の人

間の証明で有名になった秘湯の霧積温泉へ、そして
JRのフルムーンのポス

ターで上原謙と高峰秀子の入浴シーンで有名になった法師温泉でのんびり

としたいと出かけた。高崎まで新幹線。高崎から横川まで信越線。そして

送迎バスで旅館に・・・信越線に乗り換えてから車窓を見ていると、走馬

灯のように自分の企業人生が思い出される。入社してから、先輩・得意先

・仕入れ先といろいろな人に恵まれた。サラリーマン世界は厳しいという

が、正一は45年ずっと仕事を楽しんできた。ゴルフも酒も麻雀も仕事の

延長上のものとして覚えた。酒はもちろん、ゴルフ・麻雀ではいろいろな

人と出会うことが出来て仕事を助けられた。

 男の世界知ったのは20歳大学生の頃。池袋の3本立て100円の人生

座で映画を見ていて50代の紳士に誘われた。男を好きという感覚はなか

ったが、
SEXの快感を求めて彼に応じた。正一が男と初めてお付き合いし

たのは23歳。当時時々行っていたゲイスナックで飲んでいると、マスタ

ーが「あちらのおじさんがお兄ちゃんと飲みたいと言っているのですが、

如何ですか?」と言ってきた。見ると
170cm位の身長の小太りで丸顔の紳

士がこげ茶の背広を着てニコニコしながらこちらを見ている。「素敵な紳

士だな」と思いながらマスターと一緒に紳士のところに移動した。

紳士の名前は松山明ということで、口数の少ない人でマスターが取り持

って3人の会話が進んだ。正一は素敵な紳士の笑顔に包まれて楽しく飲ん

だ。その夜は紳士のマンションに泊まることになった。松山明は奥様と離

婚して一人暮らしであった。結局彼との
SEXは20年以上続き、明が死ぬ

まで30年以上人生を共有するが、それは次回に述べることにする。

 昼前に家を出たが霧積温泉・金湯館には4時頃に到着。連休前なので余

り宿泊客もいないようである。早速全国で10本の指に入る泉質と言われ

る温泉に入る。正一は越中褌を常用している。家内には「太っているから

蒸れるので越中にする」と言って、ゴルフや出張の時以外は40代半ばか

ら普段は越中である。誰も入浴している人はなく、のんびりと湯に浸かっ

ていた。外には鳥のさえずりが聞こえ、緑が美しい。ゆったりと湯に浸か

りながら、心を休めていた。

正一は50代にこの温泉に来た事がある。当時15年付き合っていた人

と車で来た。まだ3月で雪が残っていて、旅館の手前で立ち往生して仕方

なく二人でチェーンを着けたことを思い出す。あの時もお客は二人だけで、

湯に浸かりながら、キスをしたり、尺八したりした。

当時、彼は「正ちゃんと逢ってから、3日位経つと欲しくてアナルが疼

いてくるのですよ。」と言っていた。勿論夜は彼の腰の下に枕を入れてゆ

っくりとアナルを愛撫した。愛撫をしていると立派なチンボから我慢汁を

滴らせて、「正ちゃん!良いよ。もっと!もっと!」と要求してくる。ゆ

っくりと亀頭を入れていくと、「正ちゃん!入って来た!気持ち良い!ゆ

っくりと突いて!もっと!もっと!」と短い単語の羅列が続く。最後は殆

ど同時に発射する。楽しい過去を顧みながらのんびりと湯に浸かっていた。



                                                  続 く 









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