最後の恋を求めて




                                         筑紫俊一郎 さん 



【 4.夜風の音】



 金湯館は部屋食である。晉一の火照った喉越しを冷えたビールが流れて

行く。出来たら好きな人とゆっくりと飲みたいなと思いながら・・・・。

久しぶりにのんびりと山菜中心の夕食を味わった。(このような山菜中心

の食事をしていたら余りメタボにならないのかな?でも、空気が旨いから

食欲が湧くかな?)といつも医者に言われていることを思い出した。ビー

ル1本で気持ち良くなって来て早々に床についた。別れる決心をしたが田

中誠とのことが思い出される。初めての男との恋。ワクワクしながらの初

デート。そしてキスから始まった
SEX。この一年半のことが次々と思い出

される。彼のチンボ、タマタマ、アナル。そして
SEXしている時の恍惚の

表情・・・。しかし何時会えるか解からず苦しんでいた日々。そして、「

私の方から電話しますから、電話しないで下さい。」と言われたこと。自

分は
SEXだけのお付き合いを求めていたのではなかった。兄と慕い、一緒

に旅をしたり、人生を語ったり、悩みを話し合ったり、お互いにこれから

の人生を支え合うことを求めていた。でも、彼は単なるセックスフレンド

を求めていたのではないだろうか?この世界の人達は性の対象として相手

を求めている人が多いのかな?でも、きっと人生を共有できるような人が

いるかも知れない。そう考えている内に眠りに入っていった。

 一方、正一は先ほどの晉一の肢体を思い出しながら日本酒を傾けていた。

一軒家の金湯館は、ささやくような風の音だけが窓から漏れてくる。東北

から上京して、東京の大学を卒業し、商社に入って働いたが、45年間も

過ぎてしまえば短く感じられる。今は業績を心配しない毎日に心が解放さ

れる。これからどんな生活リズムで過ごそうか?40過ぎてからは定年後

に家内も子供も相手にしてくれないから趣味を持とうと思って、俳句・俳

画・書道・ゴルフ・草花の栽培と手を広げた。暫くは退屈しないと思う。

でも、家内の生活リズムの邪魔をしないような自分の生活リズムを作らな

いと妻の負担になるからゆっくりと考えよう。

 男にもう夢中になる恋はないだろう。二人目に惚れたのは9歳上の経理

をしている方だった。彼とは1年位続いた。彼に職を紹介した後は肉体関

係が無くなった。でも、人としてのお付き合いは27年経過してもまだ続

いている。三人目は教職者であった。彼の名は遠藤進で彼とは週に一度の

俳句を通じてのお付き合いや吟行旅行と称しての二人旅と15年続いた。

進はキスも嫌いだし、人のチンボを尺八することも嫌いないわゆるマグロ

であった。でも、尺八されるのは大好きであった。正一はそれではつまら

ないので初めてアナル
SEXをしようと思った。彼のアナルを拡げて一つに

なると、こんな気持ちの良いものなのかと夢中になった。進もアナルは未

経験だったがその内に快感が増して、「3日位逢わないとアナルが疼いて

くるよ」と逢瀬を楽しみにするようになった。

しかし、定年退職を機に「もう、私のSEX寿命も限られているので、正

一と付き合う一方で、他の人ともいろいろ
SEXしてみたいがどうだろうか

?」と言われた。

「それなら私と別れていろいろ遊んでください」と別れた。何故別れを

選んだかというと、(私以外の人といろいろ遊びたい)ということは私に

飽きてきたのだと思った。私という人間にも、私のSEXにも・・・

少し重なっているので、23からこの3人のお付き合いで60前までお

付き合いしていたことになる。仕事だけではなく、この世界でも人に恵ま

れて素晴らしい人生であったと思う。出来たらもう一度、燃える恋をして

みたいと思う。でも、そんな純な気持ちはもう失せているのだろうか・・

と考えている内に眠りに入った。



                                                  続 く 







トップ アイコン目次へもどる    「投稿小説一覧」へもどる
inserted by FC2 system