最後の恋を求めて




                                         筑紫俊一郎 さん 



【 14.花冷え



 4月になって晉一と付き合って1年を迎えようとしていた。正一は「晉

一!二人だけの1周年記念をしたいね」と電話をした。「私には晉一と出

会ったことに感謝しているよ。性格も考え方も
SEXもピッタリだからね。」

「ありがとうございます。私も兄ちゃんと出会ったことに感謝しているよ。

愛されているのが嬉しいよ」

しかし、仕事の関係で1周年の記念日には会えなかった。その2週間後に

逢うことになった。

「兄ちゃん!これが私からの兄ちゃんへの誕生日プレゼントです。」

「嬉しいね。何なの?」

「兄ちゃん!開けてみて!」

「ワ~、半袖と靴下?ありがとうございます。デザインも色も良いね。ご

めんね。散財させてしまったね。」デザインも色も正一の好きなシャツと

靴下である。靴下も高級なゴルフ用のものであった。

正一はゴルフに行く時には、毎回晉一に貰ったシャツを着て晉一に貰った

靴下を履いてプレイした。靴下は洗濯機で洗うと汚れが綺麗に落ちないの

で、いつも帰ったらすぐに手洗した。他の人と廻るときでもいつも晉一が

一緒のようで幸せであった。

こんなお付き合いを続けて一年半が経過した。正一はこの恋を最後の恋に

しようと晉一を大切にしていた。毎日が日曜日の正一は、デートもゴルフ

も高崎まで出かけた。“晉一は忙しいだろうから、暇な私が出かけたら会

う時間も長くなる”と思った。でも、晉一の仕事が忙しいからか、毎日の

メールはあるがデートの誘いは2週間に一度か3週間に一度位になった。

正一は退職して毎日暇なのでいつも晉一の誘いを待っていた。毎日の草花

の手入れも今までと違って、「この花を育てて晉一に持って行こう」と手

入れに熱が入った。晉一にあげて喜ぶ顔を想像すると手入れも楽しくなる。

正一は育てている草花の苗を晉一に会う度に渡し、“晉一の家で私の育て

た花が咲いて私を思い出してくれたら二人の絆が太くなる”と思った。こ

の一年で何種類の草花を届けたろうか?年末には西洋桜草、春には紫蘭、

日本桜草、梅花うつぎ、松葉ボタン、薔薇、芙蓉、ナスタチウム、夏には

花虎の尾、スカシ百合、風船かずら、秋には紫式部と十数種類の鉢を届け

た。種を蒔いて、毎日晉一にあげることを楽しみにして育てた。今までよ

りも草花の手入れが楽しくなった。

一方、晉一は毎朝正一から貰った草花に水遣りするのが日課になった。朝

起きて先ずは草花を眺めて水遣りをしながら正一を思い出していた。「兄

ちゃんありがとう!綺麗にさいているよ。兄ちゃんに逢いたいな!」と思

いながらも、中小企業を切り盛りしていかないといけないので中々時間が

作れない。サラリーマンが羨ましいと思う。もし65歳位で仕事を辞めた

ら、二人だけの時間を作れるのに・・・。不可能とは思いながらも、“一

緒に住むことが出来たらどんなに楽しいだろうか?兄ちゃんに毎日でも逢

いたい」”と思っていた。しかし、最近は人手不足の影響もあり、なかな

か時間が取れない。それに家庭のこと、近所付き合いのこと、田舎ゆえの

親戚のお付き合いとデートの時間を取れないことでイライラしている。そ

の分、電話やメールをして、何とか気持ちを伝えようとした。しかし、結

果的には中々ゴルフもデートの誘いも出来ずにいた。



                                                  続 く 







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