先生と栗蔵 (その2)  


                                         花栗 さん 



 生臭い男の精の匂いをぷんぷんと、渦巻くように放ちながら「ズクン

ズクン」と息づいている!

棹の胴体に巻き付いた走り根のように、浮き出た血管を怒りの形相にし

て!

 

「舐めるんだ…!」

 

あまりにも突然な栗蔵の豹変ぶりに、そして濡れてるような巨根を突き

付けられ、先生はもうパニック状態でした。頭の整理がまるで出来ませ

ん!

大人のマラを、こういうふうに目の真ん前で仰ぎ見るように見たことも、

これまでありません。

勃起してるのを近所の銭湯やサウナで見かけたことはあっても、関心が

あるわけでは無かったから、じっと見たことはありませんでした。

それを「舐めろ」と言われ、しかもその丸太のような大きさに、度肝を

抜かれるどころではありませんでした。

 

 先生は、オロオロと、体が恐怖のために震え出しました。

かつて経験したことの無い、あまりにも異様な、異常な恐怖でした。

そして気分の悪くなるような異臭です。鼻の前でそれがむんむんと突く

ように放って来ます。

脳天の芯に達する、強烈な、男の精の匂いと、尿と汗の入り混じった悪

臭です。

 

 

 先生は言葉を失い、目を白黒させてガクガクとしています。

そして、たまらずに横を向くと、顔を伏せました。ずれた眼鏡の奥の目

を硬く閉じて…。

栗蔵はそんな先生の項を見つめ、「ふふん」と、より欲望を膨らませる

のでした。

おもむろにテーブルの端を引くと、横向いた先生の真ん前に、テーブル

に腰を下ろしたのです。

倒したグラスを起こしながら、大きな尻をどっかりと、金玉の汗の跡を

引き摺りながら付けて。

縁からブランと、熱い片金を垂らしながら…。

そして先生の両肩を、震えを止めるようにがっしり抱いて、それから、

俯いてる顔を挟み持つと、グイと両手で上げさせたのでした。

 

「先生よ。よく嗅いでみな。死んだ嫁のオメコの匂いが染みついてるか

ら。」

 

「…?何を、栗蔵さん、今、どういうことを、何と言ったのですか?!」

 

先生は『この異様な男は突然に、何をおかしなことを言い出すのだ!』

と思った直後に、『…ハッ!』と思い当たったのです。

 

 それは、いつだったか、ふと夜中に目が覚めたら、隣に寝てるはずの

妻がいないことに気がついたことがあります。

小用に立ったのだろうと、うつらうつらまた目を閉じかけたときに、隣

の部屋から妻の苦しそうに喘ぐ声がしてくるのを聴き、『何事が起きた

のか!』と、初めは妻が具合が悪くなり倒れてるんじゃないかと、すぐ

に飛び起きたのです。

 ところが、少し開いたままの部屋から男の押し殺したような、何かさ

さやいてる声を耳にしたのです。それに伴った「ビチャビチャ」と繰り

返す卑猥な音を…!

先生は手にしかけたドアノブから手を離すと、そっと薄明りの部屋の中

を見回すようにして見ました。

そして、声の漏れてたその部屋の光景に、腰が抜けるほど驚いてしまっ

たのでした!

 

 それは後ろ向きで、顔はわかりませんでしたが、裸の、禿げ頭の中年

の大きな背と大きな尻が見えたのです。その尻が、繰り返し揺らぐよう

に、今まさに激しくピストンを繰り返していたのです!

突いて引く繰り返しに、「ビチャビチャ ヌチャヌチャ ずぬずぬ」と!

妻の、あられもないほどいっぱいに股を開いた中に…!!

波打つように、大きく、小さく、妻の局部をえぐるように、ビタビタと

金玉を打ち据え、円を描くように尻を窪ませて!

また、蠢くように小刻みに、そして激しく「グチュグチュグチュグチュ

」と音を立てて!

厭らしく実に厭らしく、薄明りの中に動いていたのです…!

そして、耳にした妻の苦しそうな声は、堪えようにも堪え切れずに漏ら

し続けていた、妻の喘ぎ声だったのです!

 

 

 「ぁぁ… ひぃっ!ひいっ! いっ、いっ、あっ、あっ!」

 

「おまえは悪い女房だ。亭主が寝てる間も欲しがって電話をして来るん

だからのう。もうおまえはわし無しでは居られん身体になってしもうた

んじゃのう。このわしのマラが欲しくてのう。」

 

  ぬちゅぬちゅぬちゅぬちゅ… ドヌドヌ びちゃびちゃん…

 

「ぃぃ、いい、ぅうっ、、!ぁぁん、あっ、あっ、いやっ!あっ、あっ

あ~~!」

 

「あまり声を立てるなよ。先生が目を覚ますぞ。…そんなに気持ちいい

のかや。布団の端を噛んでおけ。もっともっと突いてやるからの。」

 

  ズドロン ズゴズゴ ぐにゅぐにゅ ばぬばぬ 

 ニチャニチャ ビズビズ ズドズド ずぬるずぬ……。

 

 

 …先生は、あのときの妻と男の関係を思い出し、そして、あのときの

男こそが、今、目の前にいる栗蔵だと悟ったのでした。

先生は驚いて、開いた目を皿のようにして、ニヤリとした栗蔵を、言葉

を失って見つめました。

 

「ようやく思い出したようだな。」

 

「わしとおまえの女房と初めて関係を持ったのは、わしがまだ40過ぎ

た頃だった。智子
(先生の妻)が3つ4つ上だったはず。まだまだ女盛り

の歳だ。亭主がもう歳でかまってくれないと、常々わしに愚痴をこぼし

ていたんじゃよ。先生がまだ50過ぎたばかりの頃のはずだ。」

 

「女の40は、し盛り。50でゴザかき。いやいや、60過ぎても智子

はしたくてしたくてたまらなかったおなごだ。抱いて欲しくて欲しくて

たまらなかったのだろう。60を過ぎても、週に1度は欲しがっていた

ぞ。3日4日と続けて電話して来て、こっちも仕事の都合をつけるのが

大変だった。おまえが留守の日は、浮き浮きと、わしに至り尽くせりの、

まるで新婚の妻の気分だったろう。

感じやすい女で、60過ぎてもオメコ汁を溢れさせていたぞ。ふふふん。

ハメる前に、わしのマラをいつもしゃぶってくれたもんじゃ。飲んでく

れたことも数えきれない。たっぷりのミルクをよ。ガハハハハ」

 

「そんな女房を放って、おまえも浮気でもしていたんだろが。ええ、R

大学の先生様よ!」

 

「い、いや、浮気なんてとんでもない…!」

 

「それじゃ、50過ぎたばかりの体をどこで始末していたというんだ。」

 

「そ、それは…。」

 

「それは、どうした。言ってみな。さあ、どうしたんだ。」

 

 

 先生は、再び俯くと、いつの間にか正座した膝に両拳を握りしめてい

た。

その腕を震わせながら、か細い声を震わせて、もう息子が役に立たなく

なって来ていたことを告げた。

そして、それでそんなことよりも研究に没頭していたかったことを告白

した。

あの夜に見たことは知らん顔して語らず、割り切って、自分の気持ちを

ごまかしつつ…。

抱いてやれないということで、妻に申し訳ないという気持ちはありなが

ら…。

その後も、ふと目覚めて妻がいないことがあったけど、もう確かめに起

きることはなかった。

妻も、その他の家のことはちゃんとやってくれるから、割り切って、忘

れようとして眠りに着き、忘れて行った…。

そのこと以外は、何変わることのない生活が続いて、『あれは夢だった

のではなかろうか…』と。

 それが、栗蔵の一言が、遠い日の光景を鮮烈に甦らせたのだ。

そして耳を塞いでいたすべてを、栗蔵の言葉から聴いて、もう取り返し

のつかない時の流れと、あまりにも妻と、栗蔵との深く長く続いていた

関係に、自分はまるですっかり他人であったかのような、妻と栗蔵が実

の夫婦であったかのような、そんな錯覚に囚われるのだった。

 

 

 

 

 …先生という自覚もプライドも、もう何もかも捨てていた。

というよりも、まるで腑抜けになったように栗蔵に従う先生の姿がそこ

にあった。

頭を押さえられ、顔を股座に押し付けられてももう何の抵抗をする気も

湧いてこなかった。

 栗蔵の、そそり立ち充血しきってるマラの鈴口からは、先走りがもう

床に繋がって垂れていた。

その溢れる粘い液で、鼻から目元から頬と、顔じゅうに押し付けられ、

顔は眼鏡はもうベトベトの有様であった。脂ぎった雄の獣の股座に居る

ような錯覚を覚えた。

青臭く生臭く尿臭いそれを、先生は口いっぱいに、顎が外れるくらいに

開けて、カリを含もうとしている。

 

「飲め。舐めて飲み干すんだ。智子がしたように。」

 

先生は、妻の名を出されると、従順にならざるを得なかった。そしてそ

の気持ちは『今、妻と居る。妻が舐めたマラなんだ…』という変な安ら

ぎが湧いて来るのであった。

そしてそこに妻の顔が浮かんで来て、栗蔵のマラが不思議と愛しい気持

ちに思えてゆくのであった。

得体の知れないこの栗蔵の、もう全て思うままであった。

先生の頭を押さえつけて、畳を擦るテーブルの足の音をさせてまで、腰

をグイグイと使った。

 

「げほっ!うげぇっ!!」

 

両手で持ってるマラを、思わず「づどろん」と吐き出すのであった。

それでも、また栗蔵は、ニヤニヤと、無理やり口に押し込むと、腰をズ

ンズン使って、畳を軋ませるのであった。

先生の髪はもうぐちゃぐちゃだ。哀れなくらいに…。

 

「ああ、いい。喉ちんこに当たっていい気持ちじゃ。喉が締まる!おお

ぅ!」

 

先生の目には涙が溢れていた。ずれた眼鏡はようやく鼻先に掛かってい

た。

ようしゃなく、首根っこを押さえて腰を使う。まるで初なお爺さんを虐

めて弄ぶ鬼のようだ!

だが、そうして弄ぶようにしていただけか、口では終えないつもりらし

く、一段落つけて少し落ち着いたというような顔になった。

両手で掴んでる先生の顔を見たその目は、元の柔和な顔をしていた。掴

んでた手の離し方まで。

 

「よし、風呂に入るか。」

 

「ズズヌリ」と抜き出された唾液まみれのマラの先と、唇に糸を繋がら

せたまま、先生はポカンと口を開けて栗蔵を見上げた。

そして、糸が細くなって切れると、「はっ」と気づいて、栗蔵の後を、

無意識のままよろけながら追った。



                                                     つづく 





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