切腹心中


                                         十文字 さん 


(後編)



これから切る、己の腹の中にも、この艶やに蠢くはらわたがあるのか。

そう思うと、この腹を十文字に掻き切り、はらわたを引きずり出したいと

ゆう、衝動に体が熱くなった。

「親父、見事だったぞ。見事な十文字腹だったぞ。」

私がそう言うと。

苦痛に耐えている顔から、一筋涙が流れ落ちた。

「親父、、。」私は、声に詰また。

親父との思い出が一瞬にして蘇ってきた。。

深く愛して、そして愛された、男同士の忍ぶ恋である。

私は、いっしか親父の口を吸っていた。

弱々しいが。親父も私の口を吸ってくる。

舌と舌が触れ合う。

切腹の苦痛の中でも、求め合うなんとゆう男同士の情の深さであろうか。

勃起して、はちきれんばかりに成っている私の六尺は先走りでじっとりと

濡れていた。

そこを親父は血に染まった右手でまさぐってくる。

私は親父の口を吸いながら六尺の前みつをずらし、私の男根を、親父に握

らせた。

親父はゆっくりと私の男根を扱きだした。

私はあまりの快感に身をよじった。

親父は、最後の命の火を灯して私の男根を求めているのだった。

「親父これが末期の水。受け取ってくれ」

私は立ち上がり、私の男根を咥えさせた。

親父は、待っていたかのようにしゃぶって来た。

親父の舌が強弱をつけて吸い付いてくる。

快感で膝がガクガクいって立っていられないほどだった。

「だめだ、親父、いくッ、、。」

私はそう言うと、親父の口の中に一気に射精していた。

今までに感じた事の無いような強烈な快感が波のように押し寄せてきて、

何処にこれほどの精液が有ったのだろうと思うほどの精液が、どくどくと

流れ出て来た。

親父は口の中に溢れ出た私の精液を喉を鳴らして呑んだ。

「親父、俺もすぐ、、。」

そう言って、親父の下腹に突き刺さっている。短刀を抜いた。

「うっ。」という。声を発して親父は私にもたれ掛かってきた。 

「親父、苦しいか。痛いんだろうな、俺にもその痛み、分けてくれ、親父。」

もたれ掛かる親父の耳元でそう言った。

「痛い、、、が、、、。おまえと、一緒に腹を切れる嬉しさに比べたら、

何でも無いっ、、。」

親父は苦しい息の中、そういって、微かに笑った。

「親父、、。俺も、親父と一緒に腹を切れて幸せだ。見ててくれよ。俺の

切腹を。」

私は血に塗れた短刀を口に咥えると、六尺褌の結び目を解いて行った。

さっきあれほど射精したのに、切腹を前にして、私の男根ははちきれんば

かりになっていた。

六尺褌を外すと、勢いよく、はじけ出た。

親父の前で、私の全てを見てもらいながら、腹を切りたかったのだ。

褌で短刀の血を拭って親父の前で仁王立ちになった。

「いくぞ親父、、。」

私は、足を広げ、腰を落とし、重心を低くした。

右の手でゆっくりと下腹をさする。

五十ニ才のしっとりと脂肪の付いた、男の腹がそこにあった。

少し白いものが混ざり始めた縮れ毛が臍のあたりから下腹部に向かって生

えている。

その感触が腹をさするたびに、手に伝わって来る、次に鳩尾から臍にかけ

て、えんを書くようにゆっくりとさする。

これから、この腹を十文字に掻き切るのだと思うと自分の腹ではあるが、

愛しく感じられた。

短刀を右手に持ち替える、そして、左手で臍下の肉をぐいっとひっぱり短

刀が刺さりやすいようにして、呼吸を整えて、短刀を左脇腹に静かに沿え

た。

ちらっと親父の方を見る、親父は十文字に切った腹から流れ出た、はらわ

たの中に両手を付いて、苦しそうに肩で息をしながら私の方を見ていた。

決心はついた。

自分の腹の、突き立てる場所に目をおとし、大きく息を吸い込んだ。

そして、、。

右手の短刀をぐいっと突き立てた。

一瞬痛みが走った、が、痛みはそれほどでは無かった、ただ、熱い鉄の棒

がじりじりと内臓を焦がすような感じがした。

自分の腹に目を落とすと、深腹切ろうと十センチばかりの所を、なか巻き

していたが、刃は半分ばかり刺さっただけだった。

こんどは、左手を柄に沿えて両手でぐいっと押し込んだ。拳が下腹に付い

た。

刃先が、内臓に食い込む手応えがあった。

「ふうううつっ、、。」と息を吐きながら、拳を下腹にめり込ませるよう

に右に引いた。

思ったより重い。全身の力を入れて右に引く、拳は少しずつ動き始め下腹

に温かい血が流れ出した。息が荒くなってきた。

腸が邪魔をして刃先を押し戻そうとするのだ、右に切るほど短刀が重くな

ってくる。

臍の近くまで10センチぐらい切った所で短刀をぐいっと引いた。すると

腸がぶつぶつと切れる感触が手に伝わって来た。すると、今まで重く感じ

ていた短刀が少し軽くなった。私はそれに勇気を得て、ぐいっと一文字に

右脇腹まで引き回した。

腹は20センチ近く掻き切られた。

切り口は既に開き始めており、私の呼吸と共に、艶々した腸が見え隠れし

ていた。

一文字に切り終えると、立派に腹切る自信が沸いて来た。

刀をぐいと引き抜き。左手でねじる様にして、刃先が下を向くようにする。

鳩尾の上で止め、柄の左手を乗せた。

息を吸いこみ、止める。

「うぐううっ、、。」

一気に短刀を突き立てた。

全身に稲妻の様な痛みが走った。さっきとは比べ物にならないほどの痛み

だった。

刃先はしっかりと臓腑を貫いている。

グイとえぐる様にして下に切り下げる。

ぶりぶりと切り裂かれるはらわたの感触が激痛を伴って感じられる。

その激痛に耐え身を捩る様にして切り下げて行く。鮮血が飛ぶ。

急に短刀が重くなった。

一文字に切り裂かれた傷口から出たはらわたが切るのを邪魔しているのだ。

気力を振り絞り、両手に力をこめる、

ぶりっと音がして、一気に下腹深く切込んだ。

ざりざりと縮れ毛を切り裂き、男根のすぐ近く、臍下10センチ近くも勢

い余って切り裂いてしまっていた。

「やった、、。親父と同じ十文字腹だぞ。」そう心の中で叫んだ。

嬉しかった。

しかし体力は限界に近かった。

膝が震え立っているのも辛くなってきた。

もう少し、もう少し気力を残しておいてくれと願った。

十文字に切り裂かれた腹からは大小腸がはみ出て来て、それが蛇の様に、

そそり立つ肉棒に絡み付く。

それはなんと言う快感で有ろうか、激痛を超えた得体の知れない快感が全

身を貫いた。

私の肉棒はひくひくと動き、その先から、糸を引いて白いものが流れ出て

いた。

あと少し、、。

私は、自分の腹の奥に有るはらわたを朝日の前にさらけ出すため、傷口深

く右手を腹の中に入れた。

手に感じるはらわたは、温かく軟らかだった。

その感覚を確かめる様にまさぐった。

そして、ぐっ、とそれを掴むと一気に引きずり出した。

ぷつぷつと何かが切れる感覚と共に、艶やかで生き生きとしたはらわたが

現れた。

それは艶やかに朝日の下で桃色に輝いていた。

こんな鮮やかさで、美しい物が私の腹の中に有ったのだ。感動だった。

それは、ずるずると引き出されて、長く1メーターほど切り口から垂れ下

がった。

私の男根は、まだ白い子種を流していた、

男の性であろうか。

しかし、最後に我と我男根を切り取り、男に止めを刺して死んで行かねば

ならぬと思っていた。

私は、臓腑をかき分ける様にして、左手で睾丸と男根を握った。

その私の分身は、手の中で熱く脈打っていた。

私は、下腹に突き刺さる短刀をぐいっと引き抜いた。

そして、脈打つそれに突き立てて、ぐぐっと右に引いた。

「うぐううっ」

私の睾丸と男根は切り取られ、左手に肉塊が残った。

終わった。

気が遠くなる。

私はよろよろと親父の方に歩き、親父の前にどっかと座りこんだ。

「親父見ててくれたか、俺、、、俺の切腹。」

親父は、小さく頷いた。

「親父、一緒に行こうな。」

私は、親父の方ににじり寄り、肩を抱いた。

「親父、俺たちは、何時までも一緒だ。あの世でも、、、。」

そう言って、最後の接吻をした。

そして、短刀を親父の左胸にあてた。

親父は、じっと私を見詰めていたが、「やってくれ」と言うよう目を瞑っ

た。

それを合図に私は、ぐいと刀を胸に突き刺した。

ビクンと体が反り、そして、体が前屈みになり、そして親父は静かに倒れ

こんだ。

横たわるその顔は安らかで、微かに微笑んでいるかのようだった。

私は、短刀を両手で持ち、首の後ろに回した。

「親父、、。」そう言いながら刀を前に引いた。

血が噴出し、親父の上に重なるように倒れこんだ。




                                        完 








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