露満さんの下着談義 №5               .




水褌を探して



私が幼少の頃に、“本をとっている” という言い方で、書店や取次店

から毎月定期的に書物を自宅に届けてくれるシステムがありました。

その、とっていた書物ので、〔写真で見る日本〕という、47都道府県

を網羅する永い期間のシリーズ物が特に面白かったのですが、本の中の

写真は未だ白黒で、ハイライトの部分だけカラーを使っていたようです。

私が早速届いたばかりの、西日本にある県の載っている今月号を捲って

いると、かなりエロチックな大判の写真を目に飛び込んできました。そ

れは地域の祭りの写真で、私より少し年上の“兄ちゃん”というような

感じの人が、主役としてソロで伝統行事の舞を踊っている物でした。上

半身には豪華な羽飾りを付け、頭髪は短く凛々しい。だが下半身は殆ど

裸で、股間だけには小さな三角形の布地を吊っている。その布地がはち

きれんばかりで、片方の太腿を上げて踊る姿は前袋を一層窮屈にさせて

いた。私は毎日毎日、学校から戻ると、そのお兄ちゃんのへそ下と顔を

見ながら、一人顔を赤らめ興奮していたのでした。この黒い三角巾が水

褌と呼ばれる物だと知ったのは、ずっと後の事ですが、現在、通信販売

されている黒猫褌のように洒落っ気はなく、本当に小さな布切れでした。

更に驚いた事に、臀部には全く布地が使っていないと分かった時には、

これがこの世の物なのか、この、お兄ちゃんも尻丸出しで皆の前で踊っ

ていたかと思うと、私の鼓動と陰茎の動脈が締結されたのだった。その

後の高度成長期に伴い、日本の風景も急速に変化し始めました。このシ

リーズ本も色褪せたので、我が家の物置に暫くお蔵入りする。

暫く年月が経ち、勉強嫌いの私でさえ何かに興味を持つ年頃になってき

ました。その頃、京都の高台にあるホテルの新館がオープンして、祖父

が半ば社交で行く事になったので私も御供をする事になりました。既存

のガーデンプールも再開される事になっていたので水着持参です。そこ

に一泊した後はプライベートの時間になり、楽しみの歴史の時間探索の

始まりです。京都を南下して色々な仏閣を見て周り、次の宿の道中で一

休みする事に・・・・舗装もしていない道路の脇に車を止めて、絵のよ

うな川の風景に見入っていると、私と同年ぐらいの少年達が河原で準備

体操をしていました。何と全員、あの写真で見たとおりの黒い水褌だっ

たのです!!。私は驚いて祖父の顔を見ると、「この辺りでは未だ褌の

ようだね・・・」と、あっさりと言っていたが、私は居ても立っても居

られない。祖父の許可も得ずに車から出ました。人見知りする自分には

あまりない事なのだが、迷わずに其のグループへと近づいて行きました。

なんという素朴で美しい自然児たちなのだろうか。はっきりと分かる。

川の水玉が豊かで滑らかな尻に流れ、銀色に光っているのを・・・。更

に至近距離になる。嗚呼!、丸出しの尻、尻、尻群!そして前袋は水で

ベチャリと張り付き、男の形をくっきりとさらしている。艶やかな陰毛

もはみ出していて・・・

彼らは私を幼馴染に様な笑顔で迎えてくれた。「君、どこから来たんや?

お寺さんの親戚はんか?」と、人懐っこい言葉で語りかける。私は相手

が、ほぼ全裸体のまま屈託なく接してくるのに、どう対応したらよいの

か分からず、どぎまぎしていると、祖父が紙袋を提げて来た。祖父は

外出時に誰に会っても良い様に、挨拶代わりのタオルと乾菓子を車のト

ランクに入れているのだが、自然児らになかなか溶け込めない私を思っ

て配慮してくれたのだった。祖父は上からの目線ではなく、すぐに大所

帯の主のように皆を引き付けていった。「こんな上等な物、貰ってええ

んか!」と、皆、包みを開けて小躍りしている。そして、「大仏さんも

面白いやろけど、ここの川も冷たくて気持ちええで!」と、盛んに勧め

てくれる。私は車に戻って、昨日、ホテルで購入したばかりの海水パン

ツに着替えに行く。私も準備万端。「へ~!まるで王子様みたいやなぁ

・・・!」と、言われるが、確か、其のパンツはマグレガーという名の

ブランド品だったと記憶していますが、水浴び後、

“アキオ”という少年が、「これ、ええなあ・・・」と、盛んに欲しが

っているようだった。私も彼の水褌が欲しい・・・すぐに物々交換だ。

「アキオは金持ちだから、水褌を二枚持っててえかったなあ・・」と、

仲間達もの喜んでくれているようだった。

それから更に10年後、想い出の水褌探しに出かけた私。

清らかな流れの川は変わってはいなかった。道路が舗装されたぐらいか。

ちょうど通りがかった小母さんに訊く。「ああ・・・アキオ君?明夫君

でしょう・・・○○寺の前で民宿をやってはるわぁ。」

巻き戻った時間が、そこにあった。











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