白 い 褌

                                         松風 さん 



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吾朗との初めての出会いは、60才を過ぎて衰え始めた身体を少しでも鍛えるために

市のスポーツセンターへ通い始めてまもなくのことでした。

月々の高価な会費が必要な会員制のジムを利用するには経済的に無理でしたので、

使用料が安い市立の体育館に行くことにして、通い始めましたが、使用料が安いと

は言え、種々のマシンを揃えたトレーニングルームやランニングロード、小体育室、温

水プール、シャワー室など設備は一応整っていましたので、来館者も少ないウィーク

デーを利用して、のんびりとした雰囲気の中でトレーニングをしていました。

その日の私は25メートルプールで、柄にもなく競泳にチャレンジしていましたが、案の

定、一往復目の帰り途中のプールの中間点くらいの位置で息苦しくなり、立ち泳ぎを

しながら呼吸を整えていますと、私の背後から、激しく水をたたいて泳いで来る人が

いましたので、その方を振り向いた途端、その人の手のひらが私の顔面を思い切り

叩いたので、目から火花が出て、身体が水中に沈み、もがくようにして水面に浮き上

がりますと、そこに私の顔を手のひらで叩いた男がいて心配顔をして「大丈夫ですか。

すみません」と、水泳用の帽子と水泳メガネをかけた男が立ち泳ぎをしながら私を見

ていましたが、私は頬の痛みと、沈んだ時にプールの水を多分に飲んだ腹立しさに、

返事をする気にもなれず、男を無視して、プールを横断して、プールサイドに上がりま

した。

プールから上がり、少し落ち着きを取り戻した私は、コースの途中で止まっていたこと

は、明らかに私のルール違反であり、相手には非はなかったのだと気付いたのです。

泳ぐのを諦め、頬を押さえながらロッカー室に戻った私は帰り支度を始めようと、ロッカ

ーから越中褌とズボン下を取り出し、シャワー室に向おうとしていた時、背後に人の

気配を感じたので、振り向くとそこには身長が180センチもありそうな大柄な男が立っ

ていましたが、その男がキャブとメガネを外したので、良く見るとその男は50才前後

の男で、秀でた額、太い眉の下には大きな黒目の瞳の精悍な容貌をしていて、熟年

らしからぬ体型は他にもスポーツをしているのか、肩幅が広く、胸は厚く盛り上がって

いました。

そして胸にわ漆黒の豊かな体毛が覆っていて、それにつながるようにして生えている

体毛はふくよかな腹へと繋がっていました。

穿いている競泳用パンツは生地が薄く、その上に水に濡れていたので、肌にピッタリ

と密着しているので、股間の膨らみはその太さと大きさをはっきりと示していました。

男は「大丈夫ですか。頬が赤くなっていますが」と心配そうに、その大きな手の平を私

の頬に触れようとするのを、無げに避けて頭を除けた私でしたが、反面身近で見るそ

の男の匂うような身体付きに私の下腹部には異変が起きてきました。

慌てて私は手に持っていた下着でさりげなく、自分の下腹部を覆い隠して、「大丈夫

です〜もういいですから、構わないで下さい〜」と、心の中を見透かされないよう、わ

ざとぶっきらぼうに、突き放すように答えたのでした。

その男は私の身体に興味があるのか、まるで品定めをするようにじっと見ていました


が「そうですか〜どうもすみませんでした〜」と、私に丁寧に謝り

ロッカー室のドアに向かって去っていきまし。

瞬間「しまった〜あの男は私の本理想の男ではないか〜なんとかきっかけだけでも

つけて置けば良かった〜」と、口惜しい気持ちで、尻にパンツが喰い込んでいる男の

豊満な後ろ姿を見送っていました。

家に帰るとその男の事が頭に浮かんで、老人の意地っ張りの性質を悔やみましたが、

後の祭りでした。

それでも同じ水曜日に行けばひょっとしたら会えるのではないかと、毎水曜日に体育

館に通いましたが会うことが出来ませんでした。

半ば諦めかけていましたが、ひと月たった時の事でした・・・


                                                続 く 


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