アナザーストーリー (ミラーバージョン)

                                         おだぞお さん 


- 2 -


「お前なぁ・・・」

こんどはあきれた顔の上目遣いで僕を見る。

「ったく、困ったもんだ」

ARAHIさんは再び煙草に火をつけ、ゆっくりと紫煙を遠くまではいた。そして、カウンタ

の遠くを見ながらつぶやいた。

「だから、素人は困るんだ」

なるほど、僕は素人。素人は後を引くとでも言いたいのだろう。

金で解決できる玄人さんとは違い、利害がないだけに情を引きずってしまうというのだ

ろう。

 ARAHIさんは続けて2回煙草を吸った。想定外の僕の告白はARAHIさんを混乱に陥

れているのだろう。まるで、僕が彼からの告白を受けたときのように。

吐き出した煙がスポットライトの光の中で踊っている。今、このBARで動いているのは

煙だけだ。

 しばしの沈黙。

 やにわに煙草をもみ消すと、仕事の顔で、僕に向かってこういった。

「お前がしたいのなら、俺はいつでも引き受ける。元はといえば俺がまいた種だ」

「だが、俺はお前に幸せになってもらいたいと思っている。結婚するのが全ての人に

幸せをもたらすとは思わないが、平凡な結婚生活も経験してほしい」

 ARAHIさんの厳しい顔が父親のように思えた。

 そして、また沈黙。

 ARAHIさんはグラスに残ったマッカランを一気にあおると、

「よし、ゲイバーへ行くぞ」と、言って立ち上がった。

                                                続 く 


トップ アイコン目次へもどる    「男大好き・小説」へもどる
inserted by FC2 system