アナザーストーリー (ミラーバージョン)

                                         おだぞお さん 


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 部屋はすぐにわかった。

 ドアの前でノックをすると、ややあって、扉が開いた。

 ARAHIさんはすでに白いガウンにスリッパ。

 部屋は広く清潔で、明るい。ゆったり、落ち着いた気分だ。

ルームサービスでも取ったのか、テーブルには料理が並んでいる。フルボトルの白ワ

インは既に半分ほどになっている。

「先やっていたぞ」

ARAHIさんはゆったりとしたソファに深々と腰を下ろし、右手に持ったグラスの手を上

げて微笑んだ。


絵になっていると思った。もう、シャワーも浴びたのだろう。いつものきっちりした髪型

から洗いざらしのふんわりとした髪になっている。そのせいか、印象が全体にソフトで、

飲みに行ったときとも違うリラックスした様子が伝わってくる。いつもの会社の上司と

は別の人だ。


「飯食う暇がないと思ってな、勝手に頼んでおいた」

ARAHIさんのすることはいつも完璧だ。うまそうな料理が並んでいる。

「僕のですか?」

「今さら遠慮することもあるまい」

ARAHIさんはそういって僕にもワインを注いだ。確かに、僕はプライベートでお付き合

いをさせてもらう時は遠慮などしない。酒を飲みだすとほとんど肴を必要としない

ARAHIさんに比べると、僕は飲む前に食うタイプだ。

「餓鬼みたいによく食うな」

「そんな細いからだのどこに入るんだ」

と、言われることもあるが、僕は気にしない。黙々と平らげるだけだ。

 ARAHIさんは僕の食べる様子を笑いながら見守っている。むしろ、僕の食べる様子

を肴にしているみたいだ。

 僕は早速いただくことにする。

 
「俺は、今日は娼婦だからな」

食べている僕の手を、思わず止めさせるような刺激的な言葉を吐く。

思わず見上げるARAHIさんは笑顔を絶やさないが、その目は笑っていない。

「お前に買われた娼婦だ。全てはお前に任せる。俺の体を、お前の気が済むまで何

なりと、好きにするがいい」

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