アナザーストーリー (ミラーバージョン)

                                         おだぞお さん 


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のどの渇きで目が覚めた。

ここがどこで自分が何をしていたのか、一瞬、思い出すことができなかった。薄明かり

の部屋はそのままだが、僕の腹の上に男の手が乗っている。振り向くとARAHIさんが

安らかに眠っている。やさしい顔をしている。改めて、美しい人だと思った。

ARAHIさんを起こさないように、そっとベッドをすり抜けた。自分が全裸であることに、

初めて気づいた。音を立てないように冷蔵庫のミネラルウォーターを取り出す。冷蔵

庫のあかりが僕の裸体を照らす。あかりが眩しい。

テーブルの上は酒盛りの名残だ。

僕はキャップを空けるとそのまま口を付けてペットボトルの水をあおった。ゴクゴクとの

どが鳴って、水が全身に行き渡るのが分かった。

「俺にも水をくれ」

暗闇の向こうからARAHIさんの声だ。

「起こしてしまいましたか」

暗闇に向かって答える。

「いや、いいんだ。お前がうまそうに飲む音が聞こえたから」

僕はミネラルウォーターをもう1本取り出して、ARAHIさんに手渡した。

「どうだ、気分は」

「ご心配かけました。大丈夫です」

「頭は痛くないか」

「はい」

ARAHIさんものどを鳴らして水を飲んだ。

僕はボトルを受け取り、サイドテーブルに置いてから、ベッドの中に入った。

上半身を起こしたARAHIさんは僕を傍らに招き入れて、僕の体に上掛けを巻きつけた。

「水を飲んだので、冷えたかな」

裸のARAHIさんのぬくもりが僕の背中に伝わってくる。


背後からキスをしてきた。僕も振り向くようにしてARAHIさんの唇を求める。下唇が僕

の口の中に入った。やがて、それは舌に変わり、上唇へと移った。僕のものが

ARAHIさんのものになり、ARAHIさんのものが僕のものだった。

ただ、ただ、熱い思いが行為を駆り立てていた。

冷たい耳がいとおしかった。髪の毛の感触がいじらしかった。息を呑む、のどの音さ

え切なかった。

今のこの肌の触れ合いが、もう2度と来ないことを知っていた。来てはいけないことも

知っていた。

耳に触れる熱い吐息が身体の芯まで届く。身を焦がすような快感が襲う。頭のてっぺ

んにしびれるような感覚が伝わってくる。


ARAHIさんに促されて、僕はベッドの上に立つ。

ARAHIさんは僕のペニスを含むと、前後に頭を動かした。

熱い・・・。

思わずARAHIさんの頭にしがみつく。

「腰を動かせ」

下から檄が飛ぶ。

僕は指示通りに、腰を前後に動かす。こわばってきたペニスをARAHIさんの喉の奥に

突き刺す。

どうやら、自分が主体的に動いていると、行きそうな気持ちが失せて、行為自体が目

的化するようだ。

いつになく硬直したペニスがARAHIさんの口を出たり入ったりしている。ARAHIさんは

そつなく受け入れたり、わざとはずして竿からボールにかけて唇を這わせたりする。

唾液にまみれた、怒張したペニスが薄明かりの中で輝いている。身体が火照ってい

る。尻の周りに汗をかきはじめた。

僕は何度も突き刺す。口の中へ、喉をめがけて。大きく、硬く、少し弓なりに反り返っ

て、ARAHIさんに。

                                                続 く 


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