アナザーストーリー (ミラーバージョン)

                                         おだぞお さん 


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「・・・泣くな・・・」

 ARAHIさんは僕を抱きしめると、ベッドの上で反転し、上になった。

「お前は、・・・本当に世話のかかる奴だ」

 ARAHIさんは両手で僕の顔を挟み、僕がまぶたにキスしたように、今度は瞼や頬や

鼻や口や、もう涙か汗か鼻水か唾液かわからない顔中を舐め始めた。

 僕の下腹のこわばりを感知したARAHIさんは、

「まだ、行ってないんだろう」といって、体をそのままずらし、コンドームをはずして、僕

の股間に顔をうずめた。

 ARAHIさんの口の中の暖かいぬくもりが収まりのつかない僕のペニスを包んだ。

 ARAHIさんの技術は巧みだ。

 どこをどう扱っているのか、寝たままでは解らないが、たちまち射精の感覚がよみが

えってくる。

「・・・イク、行きますよ・・・」

 僕はARAHIさんの頭をつかんで体を離そうとする。

 ARAHIさんは持ち前の力でびくともしない。

 僕はまたしてもARAHIさんの口中に爆発した。

 ARAHIさんはそのまま飲み干し、清めるように亀頭を舐めた。やがて、最後の一滴

まで搾り出すように竿をしごき、鈴口に舌を這わせた。

 僕は頭を起こし、ARAHIさんの行為を見ようとすると、ARAHIさんの上目使いの目が

合った。

 穏やかなやさしい目だった。

 僕は再び安心して、目を閉じた。

 もう総てを放出してしまったような気がした。精も根も尽きてしまった。なんだか、もう

手を上げる気力もない。

 僕はARAHIさんの前に全裸の体を投げ出した。

 まるで生贄のヤギだ。

 今、何時だろう。もうすぐ夜が明けるころだろうか。

 これで、僕の欲望が総てかなったのだろうか。

 なんだろう、肉欲の果ての、この虚無感は・・・。

 この浮揚感は・・・。

 天井のダウンライトが急速に、小さく、暗くなっていく。天空の星のようだ。広い宇宙

の闇の中。

 僕は今幸せなのだろうか。

 僕は何を望んでいたというのだろう・・・。

 取り留めない、断片的な思考が、脳裏を駆け巡り、やがて、僕は意識を失い、暗闇

と一つになった。

                                            


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