火の宮さんの体験談 №1            .




同郷の兄さん


(1) 出逢い



はじめまして、老いのときめきの皆様。

火の宮と申します。

皆様の体験談やエッセイを拝見させて頂いて、拙いながらも、私自身の初

体験を綴らせてもらおうと投稿致しました。

 

  三十年近くになる… 当時私は九州を離れ名古屋近郊で働いていました。

バブルの弾ける直前で、フリーターだった私は給与のいい自動車関連でお

金を貯めようと思っていたんです。

 

しかし、いざ働いてみると大変で実家でぬくぬくと甘えて育った私には辛

く、半年も持つことなく辞めてしまいました。

直ぐに実家に帰ることも考えましたが、二十歳の自分にはまだまだ「家の

外が見たい」という思いが強く、他の仕事を探そうと息巻いて
N県へ行く

ことにしました。

N県は名古屋に行くちょっと前にある事で滞在したことがあり、腰を据え

て仕事を探すことが出来たからです。

 

話しは変わりますが、私自身幼い時より男性に興味があった記憶がありま

す。

当時は容易に男性の裸体を観ることなど出来なかったのですが、小学生の

頃夏休みの子供会のお泊まりで父親以外の男性の剥けた性器を観た衝撃は

未だ脳裏に残っていますし、街の書店で見かけた「お父さんたちの夜」の

写真集にときめきを感じたことは忘れずにはいません。

 

そんな私でしたが、何分にも田舎住まいであり、大人の男性、ましてやこ

ちらの世界の方々と出会う機会などありません。

ホモ雑誌を買うくらいで燻っておりました。

 

  二十歳の頃の私はそういうこともあって、地元を離れ色々体験したかっ

たんだと思います。

 

   N県で見つけた仕事はホテルのアルバイトでした。

主に修学旅行を相手にしたホテルで、早朝から遅くまで裏方の仕事を担当

していました。

仕事は楽しく、休みの日には大阪まで遊びに行っていましたが、ゲイショ

ップに行くくらいで発展場や飲み屋には行くことはありませんでした
(

れは自分でも何故行かなかったのか不思議でなりません
)

 

ある休みの日私はホモ雑誌で、自分の勤める場所の近くに発展公園がある

ことを知りました。

 

そういう場所があることは知っていましたが、地元では車も無かったし、

夜の公園かぁと少し敬遠していたんです。

でも、今は地元ではないし、行っても誰も居なければ何もないよな と軽

い気持ちで行ってみることにしました。

 

  T市にある公園はJRと私鉄の駅の裏にある小さな公園でした。

夜の9時過ぎくらいの公園は当然人なんて殆どおらず、カップルが一組ベ

ンチに居たくらい。

拍子抜けした私は煙草を燻らせながら、ぶらぶら歩き「今日はビジネス旅

館でも泊まろうか」と沈んだ気持ちでした。

そんなとき、ふと目の前を見ると公衆トイレがある。小用を済まそうと入

ると一人の男が入ってきた。

様子がおかしい…もしかして…

初めてこちらの人だ!と感じた人。

でも…残念ながらタイプではありません。

申し訳ないけれど、私から見て少し気持ち悪い人。

素早く済ませ、トイレを離れましたが、なんとその男が後をつけてきます。

嫌だな… と思い公園を離れようと出口へ向かって行くとすれ違い様に

「話しでもしませんか?」と関西訛りで声をかけられました。

それが『同郷の兄さん』だった。

返事をどう返したかは覚えていませんが、気付いたときには兄さんの車の

助手席に座っていて、兄さんの『暗いとこあらへんかな…』と呟くような

声を聞いたことだけが記憶に残っていた。

 

(続く)

 









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