昼顔さんの体験談 №2                 .




縄に酔う男



クラブ



並行して、恋い焦がれていた同性たる男性の身体に対する想いは抑え難く

嵩じるばかり。 大学二年の二十歳の時、秋波を送られ身を委ねました。

(プロローグに記しています通り) 一方的に愛撫され弄られると云う初

体験は、一方では私の性的被虐の性(さが)を擽りました。

 

 やがて、表の、即ち日常の世界に於ける処の、社会通念上の普遍的な環

境へ私は身を投じ、家庭を持ちました。バイセクシャルの私は、何等気を

奮い立たせる事無く、異性の身体を抱く事が出来ました。子をもうけ、普

遍的な家庭を築きましたが、矢張り倦怠感は私にも訪れました。

 

 敢えて封印していた訳ではありませんでしたが、それまで抑えていた衆

道への想いが沸々と再燃し始めました。会社帰りに立ち寄る場末の書店で

立ち読むゲイ雑誌、就中、「さぶ」誌の其の巻末の広告に
SMクラブが載

っているのは識ってはいましたが、思い立った私は表記された電話番号を

暗唱し、書店を出るとメモに認めました。(購って持ち帰る事等出来ませ

んから)

 

 行って見ようか、如何な世界が待っているのか、憶えた電話番号にダイ

ヤルして場所の仔細を問いました。教示されたマンションの前に着いた私

は、矢張り逡巡してしまいました。表の、日常の世界を払拭出来ませんで

した。社会的な事、家庭の事、家族の事、其れ等が脳裏を過って離れませ

んでした。そんな心理状態で踵を返す事数回を経て、期待と不安が交差す

る中で、蛇(じゃ)が出るか鬼が出るか、エイ!ヤア~とでも謂わんばか

りに、震える手でインターフォンのボタンを押しました。

 

 迎えてくれたマスター氏は蛇(ジャ)でも鬼でもありませんでした。和

やかな好々爺、微笑み乍ら迎え入れてくれました。システムの説明を受け

て入会手の続きをし、仮名を以て
M会員として登録されました。 入会金

は極々僅かで子供のお小遣いにも満たない額で、会費は都度、これも極め

て小額。推察していた通りの、営利を目的としたものではありませんでし

た。

 

 システムは、シャワーで身を清めての後は、室内で赦されるのは締め込

み(所謂六尺)一本のみ。嗜好は締め込みの色分けで示され、
Sは白、M

は赤、何れも可能ならば豆絞り柄でした。締め込み一本の姿になり、談話

室で其の日に居合わせる方々の中から波長が合いそうな方と、互いに同意

の上でプレイに至ると云うもので、一見して意に介せぬ方に対しては拒否

も構わないと云うものでした。 プレイに至ったとしても、進行する中で

NGプレイは訴えれば止してくれるとも。

 

 シャワーで身を清め、マスター氏から六尺の締め方を教わり、其の時に

は既に私の一物は屹立していました。誰が居るのか、縛って苛まして戴け

S氏は果たしていらっしゃるのかと、私は期待に胸を膨らませ、然れど

も一方では些かの恐れに戦き(おののき)乍ら談話室のドアを開けました。

 

 既に入室していた方々の視線が一斉に浴びせ掛けられました。皆さんが

部屋中央の座卓を囲んで座る中の、空いていたスペースに小さく会釈して

腰をおろしました。改めて参集の方を見ると、壮年の、いや、熟年の域に

入った品性怪しからぬ穏やかな面持ちの
S氏一人と、そして三十前後と思

しき若い
M氏が二人でした。

 

 若しかしたら、おどろおどろしい方ばかりなのではと、警戒心をも抱い

ていた私は、締め込み一本の異様とも云える姿を除けば、何処にでも居る

普通の男性であり、異端の面持ち、強面の顔付、雰囲気を感じられる方は

居なかった其の談話室に、些かの安堵感を覚えたものでした。

 

 談話室の隣が、奥がプレイ室でした。談話室とは黒いレースのカーテン

で仕切られただけのプレイ室に蠢く人影がレースを透かし、そして漏れ聞

こえる呻きや喘ぎの声でプレイ中である事が窺い知れました。

 

 私の隣のS氏が、「初めてなのでしょう・・」「見学為さっては如何・

・?」「此処は見学可能ですから」と、胡座座りの私の腿に手を触れてヒ

ソヒソと囁き掛けてきました。視たい気は、垣間見たい気は勿論ありまし

たが、なにせ初めての事、私は逡巡し躊躇していました。

 

 「ああ~・・恥ずかしい・・」と、黒いレースのカーテンの向こうから

甘く切なそうな喘ぎの声が聞こえて来ました。気付いた時には、私は其の


S
氏に腰を押されてカーテンの端を潜っていました。

 

 菱縛りに縄掛けされ、縄尻は股間を潜る股間縛り、そして両腕は後ろ手

に縛られた中年男性が、私と同年齢と思しき方が、これも歳が近いと思し

S 氏から、今正に腰の赤い締め込みを解かれ、縄目の下から引き抜かれ

ているところでした。

 

 予告無しの闖入者は珍しくない様で、それでもM氏は私を一瞥し、同類

である事を知った其の
M氏は、私に対して勝ち誇ったかの様な表情を瞬時

浮かべ、少なくとも私にはそう思え、其れから「ああ・・恥ずかしい・・」

「視られてる・・・」と甘い声で身を捩りました。

 

 「御開張、だね」と囁いたS氏が赤い締め込みを、最早一片の長い布と

化した其れを縄目の下から引き抜くと、隆と聳り立つ漲りが私の前に晒し

出されました。ピクピクと脈打ち、亀頭の鈴口からはカウパー氏腺液が、

所謂先走り液が滲み、糸を引いて流れ落ちていました。睾丸は怒張の陰茎

に寄り添う様に張り付く様にあがっていたのが解りました。

 

 「ああ・・視られてるうー」「視ないでえー」「・・・恥ずかしい・・

・」と後ろ手の
M氏は身を捩り前屈みになりました。

 

 私は入室見学を促した熟年のS氏を一瞥し、照れ笑いを投げ掛けた様に

思いますが、それから縄掛け姿態の
M氏をもう一度凝視して、そしてプレ

イ室を出て談話室に戻りました。何故なのか・・?? 居たたまれなくな

ったなったから・・? いえ、そうではなかった様ですが、上手く説明出

来ません。

 

 居合わす二人のM氏はレースのカーテンに顔を寄せ、透けるプレイ室の

様子を窺っていました。顔を会わせ目を会わせると、「勝負はあった・・」

と云わんばかりの面持ちでした。談話室に唯一残る
S氏から見学を誘われ

促されたのは私でしたので、やがては声が掛かりプレイに至るのは私。所

謂お茶を引いたとでも云う様な面持ち、目の色の様に私は思えました。

(自惚れかもしれません。いえ、きっとそうでしょう。
Mは大凡がナルシ

ストと謂いますから)

 

 私に見学を誘いそして促したS氏も直ぐに戻り、私の隣に腰をおろして

微笑み掛けました。「如何でしたか・・??」と、丁寧な物言いで囁かれ、

私は俯いて照れた笑みを浮かべるのみでした。ですが勃起の漲りは隠し様

も無く前褌を突き上げ、見学時の立位から談話室に戻っての座位へと締め

込みの抑えが変わったせいか、窮屈感を通り越して痛さを覚えていた私は、

前褌の端から手を差入れて収まり具合を直しました。前褌には、とっくに

滲み出ていたカウパー氏腺液が染みを作っていました。
S氏の手は私の太

腿に置かれ、掌をそっと、微かにそっと蠢かせていました。

 

 ギギッと縄が鳴る音が聞こえて来ました。カーテンのレース越しに窺う

と、両手首を括り合わされた
M氏が天井からの縄で身体を引き上げられ、

爪先立ちの半吊りにされていました。鞭を手にした
S氏もレース越しに窺

い知れ、そしてパシーッでしたか、ピシーッでしたか、鞭が打ち当てられ

る音が談話室中にも響き渡りました。「ウグッ・・ウグ~」と呻く声が続

きました。よくよく視ると、
M氏には猿轡が施されていました。鞭は臀部

のみに振り下ろされていました。

 

 私は身体を固くしていた様です。「心配・・? 怖い・・? ですか・

・?」と隣の
S氏が私の耳朶に口を寄せて囁きました。私は小さく、ほん

の小さく頷いて答えていた様に思います。 「所詮は、と言ってしまえば

実も蓋もありませんが・・・」「プレイ用の鞭、音の割には其れ程の苦痛

は無い様に工夫されたプレイ用の鞭です・・」と囁き教えてくれました。

 

 「ウグッ ウグ~」の呻きの中で、鞭打ちの間の中で、M氏が何かを訴

える様なくぐもった声が聞こえて来ました。「もうなのかな・・?」「ま

だ何もしてないけど・・」と言いながらのお相手の
S氏が猿轡を外してい

るのが視えました。

 

 「逝く・・逝くうう~」「・・逝かせてえー」「逝きます、ああ・・逝

くう~」「逝かせてえー」「もうダメー」と、叫び訴える
M氏の聳り立つ

怒張はお相手の
S氏の手指で扱かれ、いえ、扱く間も無く、「あああ~ 

逝くう~」と長い喘ぎの声をあげ、半吊りの四肢を、身体を突っ張らせた


M
氏は、大きく仰け反って精を放ちました。

 

 私は思わず、「フーッ」と大きな息を吐いていた様に思います。身体も

弛緩させていた様です。


                                         つづく 








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