北南さんの体験談 2                 .




起承転結


(二)



(転)

今度の小説は、男女の絡みをホモの世界に置き換えようとしているので、

だいぶ無理はありますが、双方が心身ともに求め合い、結ばれることへの

喜びを追求するのは同じことだ、と割り切って書くことにしています。

そして、この小説のなかで、師の教えが忠実に守られているのは、昔、身

についた「起承転結」だけかもしれません。このことは、ほかの教えを守

ることができなくても、曲りなりにも各節の中には反映させようと努力し

ています。

 

「起承転結」を文章の構成に使うにあたっては、漢詩のつくり方を教わっ

たときに例題として教わった「頼山陽」の

  京都三条の糸屋の娘、 姉は十八妹は十六、

  諸国大名は弓矢で殺す、 糸屋の娘は目で殺す。

ということばを鮮明に思い出しました。

この教えにはいろいろ意見があるようですし、論文を書くのには「転句」

の部分は不要だとかいわれているようですが、プロでない私には何らかの

拠り所が欲しく、あたらずとも遠からずのこの方式を採用することにした

のです。

 

このことについては、師からも具体的な指導を受けました。

当時、師と再会した感激をエッセイにまとめて送ったところ、論旨がぼや

けているから次のように「起承転結」に分けて書き直したら……。

と言って、

 

起 再会した喜びを確認しあう

   この日までのメール交換経過、と感情の推移

   心象

承 ホテルでの出来事。

   ホテル内の主たる行動、と加齢現象の再認識

   心象

転 夕食を食べながら互いを再認識する。

   先刻までの余韻と語らい、と彼のリーダーシップぶりに感じ入る

   心象

結 明日の約束を確認してホテルに帰り、今日の想い出にふける。

   今日を振り返り、彼の存在感を再認識し、明日を期待する  

   心象

 

という教えが届きました。

それ以後わたしの書くものは、心象などの内容は伴わなくても、形の上で

はその形態を踏むようにしたのです。

 

今度の小説も堅苦しいかも知れないですがこの考えを踏襲しています。

そして、そんな中には書送っていただいた文言や文節が随所に出てきて、

それだけを見れば、おやっと感じることがあるかもしれません。

しかし、前後を繋ぐ拙い文章が、せっかく頂いたものをぼやかしてしまっ

ているのです。

 

小説を書きながら、師の教えを少しでも多く守れたらと思い、ポイントを

抜書きして、しばしば読み返すようにしているのですが、加齢現象でしょ

うか、読むそばから忘れてしまうのが恨めしいです。

 

(結)

下書きした文章は、彼に送ってチェックしてもらっています。

せっかくネタを提供してくれた彼の意にそぐわないようなことを書いてし

まってはならないと思っているからです。

 

先方も、私の拙文に朱筆を加えながら、楽しんでくれているようです。

「起承転結」についてもこんなことを書いてくれました。

 

  貴方に起こして頂いて、喜びを承け賜りました。

  不意に離別して、今、私は何処を彷徨う……と結んで覚える。

 

ともすると、彼にもそんな性癖があったのではないでしょうか。そうです、

きっとそれに違いないです。

今では、私以上の強烈な性癖の持ち主だと思うようになってしまいました。

世の中、隠れキリシタンではないけれど、隠れたホモ崇拝者が大勢いるん

でしょうね。

 

もっと早くから、彼がお仲間だったってことが分かっていれば……。

私の人生は、もっと違った夢多い人生だったかもしれません。

 

もう、そろそろ人生の終焉を迎えるようなこの年になって、「起承転結」

という四文字熟語の構成に従って、一日一日を楽しむことが出来るなんて、

そしてこのことがきっかけで、また新たなお仲間を知ることが出来たなん

て、幸福者だなあ!なんて思う今日このごろです。

                             おしまい










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