電車性活


                                         KE爺 さん

(7) 拝啓 愛しき庵主様



 今日は少し残業をしてきましたので、帰りの電車もいつもより遅くなり

ました。電車は空いていて、知った顔は誰もいません。 今日は「電車性

活」ではなく、「電車清潔」です。

 走り出した電車の最後尾から、どんどん遠ざかる赤と青の信号の光を眺

めていると、庵主様のことが思い浮かばれてきました。

 今日は10月10日、庵主様の77歳の誕生日です。お元気でこの世に

おいでなら、「喜寿」のお祝いとなり、今頃は誕生パーティーでさぞにぎ

わっていることでしょう。

 あれから1ヶ月以上が経ち、庵主様があの世に旅立たれたという事実が、

ようやく現実のこととして強く感じられるようになって来ました。

 走る電車から、夕闇に沈んだ街並みをぼんやりと眺めていると、胸がキ

ュンとなり涙が知らずにじわっと湧いてくるのです。

『庵主様は、もう本当に居ないのですね!』

こんな思いがスッと頭の中を横切りました。

あんなに毎日メール交換で話をしていた庵主様とも、パタッとお会いでき

なくなり、その寂しさが今頃になってぐんぐんと心の中で大きくなってき

たのです。

 越刎さんの「この道の 人導きて 秋日落つ」のとおり、庵主様は私にい

ろいろのことを教えてくれました。そして生きる喜び、生きる楽しさを教

えてくれました。悲しみに沈んだときには、力強くなぐさめてくださり、

進むべき方向を示してくれました。

 そんな庵主様は、今頃どうしているのでしょうか。得意のお遍路姿で、

極楽浄土を目指してゆっくりと歩いているのでしょうか。

間もなく四十九日も近づいてまいりました。そろそろ極楽浄土も見えてく

るころでしょう。

庵主様、そちらに着かれましたら、今度はそちらで『極楽浄土のときめ

き』を開設してください。そちらにもお仲間さんは、たくさんいるはずで

すから、きっとみなさん喜びますよ。ついでですが、また『KE爺の覗き

見』というコーナーを作っていただければ、私もセッセと体験談を書きま

すからね。でも、そちらに満員電車というものがありますかね。

最近、昭和レトロ親父さんが歌う「骨まで愛して」を聴きました。なか

なか良かったですよ。庵主様も、時にはこんな歌を口ずさみながら歩いて

いるのでしょうか。一度一緒に歌ってみたかったですね。

それから、それにも増して四国路をご一緒に歩きたかったですね。「先

達」にまでなられた庵主様に迷惑をかけないように、私も常々ウォーキン

グ大会に参加して、脚を鍛えていたのです。でも、今はそれも叶わないこ

ととなりました。いつか好きな人と一緒に四国路一周を果たしてみたいと

思っています。

庵主様、最後にお礼を申し上げたいことは、庵主様に「爺様愛の美学」

というものを教わったことです。爺様は美しい、爺様はすばらしい、爺様

はたまらなく愛しいものだと、心から思っております。

そちらに着いたら、たまにはメールをくださいね。(おわり)





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