電車性活 (最終回)


                                         KE爺 さん

(15) 予期せぬ出来事



 今年の2月に、とうとう古希を迎えた私です。10年前に定年を迎え、

そのまま契約職員として仕事を続けていましたが、3月いっぱいでリタイ

アいたしました。

大学を出てから48年間、ずっと休み無く働いてきましたので、今は何の

悔いもなく、ほっとした感情にひたっています。

 そして、長く続いた「電車性活」も、とうとう終わったわけです。こち

らも、長い間ずっと楽しい思いをさせてもらいましたので、やることはや

ったという達成感があり、さびしさといったものは全然感じておりません。

 私の手のひらを通り過ぎて行ったたくさんの「ちんぽ達」、そして、そ

れを握らせてくれたたくさんのお仲間達に感謝の気持ちでいっぱいです。

 こうして静かに過去を振り返ると、なつかしいお仲間達の顔が、走馬燈

のように脳裏を駆け巡って行きます。

比較的新しいお仲間達を挙げれば、もう一度会いたい「課長」、協力的

だった「部長」、めずらしかった「越中褌爺」、真珠8個の「玉爺」、あ

っけらかんとした「ノーパン爺」、男マッサージ師の「だるま爺」など、

今でもすぐになつかしい顔が浮かんできます。

そして古くは「クリーム爺」、「リボンパンティ爺」、「バックOK爺」、

「ツッパリ強引爺」と、なつかしい顔が浮かんできます。

さて最後に登場するのは、この一年で最も強烈な出会いであった「S爺

さん」が最もふさわしいと言えるでしょう。ここに登場していただくのも、

もちろん「S爺さん」のご了解を得てのことです。

「旧・老いのときめき」に掲載されていました「駒健問答」をご記憶の方

は、たくさんいらっしゃると思います。あの「虎さん」の駒健での体験に

対して、当意即妙・軽妙洒脱な回答でバッタバッタと切り裁いていく「S

爺さん」のことは、どなたも記憶に新しいことと思います。「S爺さん」

は、現在でも、この「新・老いのときめき」に、時々エッセイを寄せられ

ています。

 そのS爺さんから最初にメールをいただいたのは、昨年の7月のことで

した。あの高名なS爺さんからメールをいただき、びっくりしたのは言う

までもありません。S爺さんも私の「電車性活」を読んでくださっていた

のです。

それからずっとメール交換が続きました。

そして4ヶ月後の11月下旬のことでした。S爺さんが相方さんと二人

で、東京にやって来ることになったのです。二人は飛行機で上京し、その

まま富士五湖方面へ旅行されるとのことでした。

もちろんS爺さんも私も、東京でお会いする予定は全然ありません。

その日は、冷たい雨が降る寒い日でした。その朝、私はいつものように

駒込駅で電車を降り、「駒ケン」の前を通り、傘をさしながら職場へ向か

いました。

せっかくの富士五湖旅行なのに、ちょっと残念だなと、心のすみで、S爺

さん達のことを思い浮かべておりました。

 夕方、雨はまだ止んでいません。歩いて駒込駅へ向うのは、ちょっと億

劫な感じがしました。職場から3分で行ける地下鉄駅から電車に乗りまし

た。次は「巣鴨」で、山手線に接続しています。山手線は乗換えを考えて、

一番前の方の車輌に乗り込みました。車内はまだ空いていました。

次は駒込です。2分ぐらいで、すぐ駒込駅に到着しました。「染井ヨシ

ノ」の発祥地である当駅の発車メロディは『さくらさくら』です。ドアー

が開き、『さくらさくら』のメロディが、ややせわしなくホームに響き渡

りました。その時です、なぜか私は「スッ!」とホームに降り立ってしま

ったのです。

なぜだかよく分かりません。磁石に引っ張られるように、ドアの閉まる直

前にホームへ降り立ったのです。確かにS爺さん達のことを思い浮かべて

いたことは事実です。

『せっかく富士五湖まで行ったのに、雨では残念でしたね。』

心の中で、そう思っていたのです。

私はホームの一番前から、最後尾へ向ってゆっくり歩きました。砂鉄が磁

石に引き寄せられるように、ゆっくり歩き出しました。

『なぜだろう?』

心の中で自分の不可解な行動に対して、自問自答を繰り返しているのが分

かりました。

『もしかして‥、もしかして‥!?』

『そんなバカなッ‥!』

『S爺さんが来るわけがないじゃないかッ‥!』

『今頃、相方さんと二人で富士五湖のホテルにいるでしょう!』

そんな会話が頭の中で飛び交っていました。

長いホームを最後尾まで、ゆっくりと歩いて行きました。

S爺さんも私も、特に東京でお会いすることを望んでいた訳ではありませ

んし、これは無駄な行為であることに間違いありません。

単にあり得ない事実を、確認するためだったと言えましょう。

しかし‥‥、しかし‥ですッ!

『うんッ!?』

ホームの一番後ろの柱の前に、ベージュのコートを着た一人の爺様が、ポ

ツンとたたずんでいるではありませんか。しかも、大きなマスクをつけて

います。胸がドキンッと鳴りました。

20m、10mとだんだん近づいて行きました。ちょうど、轟音とともに

電車がホームにすべり込んで来ました。電車が止り、最後尾のドアーがち

ょうど真ん前で開きました。

私は爺様の顔を凝視しながら、ドアーに近づきました。「さくらさくら」

の発車メロディが鳴り響きました。

長身ですらっとしたスマートな姿は、いかにも颯爽としていて、とても若

々しく見えました。

S爺さんの顔は、メールの写真を見て分かっていました。しかし、あの大

きなマスクのため、判断ができません。

顔を後方にねじりながら、車内に乗り込みました。

『S爺さんなの‥?』

私は心の中で、叫びました!爺様も私をジッと見つめています。S爺さん

なら、私の顔を知っているはずです。

発車メロディが止み、ドアーが閉まる寸前でした。

爺様はスッと、いかにも身軽に車内にすべり込みました。目が笑っている

ように見えました。

「あ、あの、S爺さんでしょうか‥?」

爺様がマスクをはずすと、笑顔が現れました。

「はいッ、S爺です!」

「KEです。え、えーッ!?ま、また、どうしてッ!?」

私の頭の中は、驚きと戸惑いで一気にパニック状態になってしまいました。

それでも、やっと握手を交わしたのでした。

「今日は富士五湖ではなかったのですか?」

「今日は浅草に一泊し、明日、車で富士五湖へ向かいます。」

「えーッ!それで、またどうしてここに?」

私の声は、ハイトーンの上ずった声になっていました。

「あなたのゴールド・フィンガーで握って欲しかったのですよ。」

「え、えーッ!?」

私はパニクッている頭の中で、やっとS爺さんの目的を理解したのです。

確かにここは車輌の最後尾、車掌室の前です。S爺さんは私がいつも書い

ていた乗車位置をちゃんと覚えていたのです。でも、私が書いているのは、

帰宅途中で最後に乗る私鉄電車内での出来事です。夕方6時前の山手線は

空いていました。何が何でも、そのようなニギニギは出来ません。

やがて、地下鉄への乗換え駅が近づきました。

「あ、あの‥、私の乗換駅に来てしまいました‥!」

「せっかく、お会いしたのに残念です!」

S爺さんは、残念そうに、やさしい目つきで私を見つめました。

「あ、あッ、そうですね!でも、あの、せっかくですから、次の駅までご

一緒しましょう。次の駅からでもJR線に乗り換えできますから!」

こうして、次の駅まで一緒に行くことにしました。

「ところで、お連れさんはどうしたのですか?」

「少し自由時間を取って、別々に行動しているのですよ。ホテルで夕方7

時に落ち合う約束です。」

「そ、そうですか。軽く一杯やりたいところですが、ちょっと時間がたり

ませんね。」

「ニギニギしてもらいたいが、これではちょっと無理ですね。」

「あれは、もっと先の私鉄に乗らないと無理です。そこまで行って戻って

くるには時間的に余裕がありません。」

とうとうJR線への乗換え駅が来てしまいました。

「お泊りは浅草でしたね?」

「田原町駅の近くです。」

「そうですか。それじゃあ、上野駅で地下鉄銀座線に乗換えですね。私は

浅草で乗換えても帰れますから、田原町までご一緒しましょう。」

こうして、とうとう地下鉄銀座線に乗り込んだのでした。

そして、田原町駅が近づきました。

「せっかくですから、ホテルに寄っていきませんか?」

「え、えーッ?だって相方さんがお待ちでしょうに?」

「部屋は別々ですから、大丈夫です。」

「時間はもう30分しかありませんよ。まあここからでしたら、浅草まで

歩いていけまから、ホテルまでお送りしましょう。」

ホテルは、田原町からすぐの所にありました。

「ちょっと部屋に寄っていきませんか?」

「だって時間もありませんし、フロントの前を通るのはいやですね。」

「大丈夫!フロントの前は通らなくてもOKです!」

このようなホテルに来たことのない私ですが、ちょっと興味が湧いてきま

した。S爺さんがフロントにキーを取りに行っている間に、だんだんその

気になってきたのです。

しかし、相方さんが戻ってきたらどうしましょう。どんな修羅場が展開さ

れるか、それは目に見えています。つい、足がすくんでしまいました。し

かし、部屋は別々とのこと、大丈夫だろうか?決して、S爺さんとの愛欲

に負けたのではありません。その証拠に、我がちんぽは、縮み上がったま

まです。

「お待たせしました。」

こうして二人はエレベーターに乗り込んだのでした。

時間は30分、たいしたことは期待していません。お話だけで、何も起こ

らないかもしれません。

やがてエレベーターは止まり、薄暗い廊下を部屋へと向かいました。

「カチャリッ!」

ドアーを開けて中に入りました。

ドアーが閉まると同時に、二人はかたく抱き合い、キスを交わしたのです。

さすがに「夜の帝王」の名にふさわしいS爺さん、やさしく激しく、これ

ぞ大人のキスと思われるような、すばらしく情熱的なキスをしてくれまし

た。

そして、予期せぬことに、二人とも、あれよあれよという間に着ているも

のを脱ぎ捨てたのです。S爺さんは、真っ白い越中です。そして、そのま

まベッドの上に仰向けに寝そべりました。陸上競技で国体選手にまでなっ

たS爺さんの身体は、まことに若々しく、いかにもしなやかなすばらしい

肉体でした。私は夢中でその身体に覆いかぶさりました。

唇、胸とキスをしながら、もどかしげにS爺さんのちんぽにむしゃぶりつ

きました。

「ウングッ、ウングッ、ウングッ‥‥!」

無我夢中でS爺さんのちんぽを吸い上げました。

するとどうでしょう!S爺さんのちんぽは、グングンとふくらみ、硬度を

もってたくましくりっぱに屹立したのです。喜寿を迎えるS爺さんの、こ

の偉大なちんぽには、ただただ驚くばかりでした。

短時間でのこの反応に驚きつつも、相方さんのことが頭にチラつきます。

いつ、コツコツとドアーがノックされるかも知れません。私は不安におび

え、快感どころではありません。S爺さんに握られた私のちんぽは、哀れ

なまでに縮んでいます。「小の小」といった、最低ラインに留まっていた

のです。

「S爺さん、もう時間ですよ!7時が近づいてきました!終わりにしまし

ょう!」

二人は急いで服を身に着けました。これでちょっと安堵しました。素っ裸

では弁解の余地がありません。

急いで部屋を抜け出しました。相方さんが隣の部屋に戻っているのかどう

かは分かりません。エレベーターや玄関でバッタリと鉢合わせる不安もあ

りました。でも、運良くホテルの外に出ることが出来ました。雨は止んだ

ようです。S爺さんは近くの地下鉄入り口まで送ってくれました。さよな

らと手を振ると、足早に青信号を渡って、ホテルに向って歩いて行きまし

た。(おわり)








トップ アイコン目次へもどる      「男大好き・体験」へもどる
inserted by FC2 system