倉爺さんの体験談 61            .




生い立ちの記




第六章 独身(東京)(2)



東京での始めての夜の出来事は予想を遥かに超えて驚愕の至りです。

西も東も解らぬ東京でこんな目に合うとは、お釈迦様でも解るまい倉爺は

この様な星の下で生まれたんでしょう。

 

夕飯前に義兄が友達と連れ立って帰って来ました。  質問されても確た

る信念も明日がどうなるかも知れない 倉爺は答えようも無く唯 ハイ 

イイエ と二言しきゃ言いようの無い状態でした。

肩身の狭い思いが一層狭く、穴が有ったら入りたい位でした。

 

居候置いて合わず 居て合わず  居候とはこんな惨めな事かと身に沁み

て思いました。  八王子に来てみたが 職が有って来た訳でも無くと言

って、義兄にもあてがあるわけでも無く、  何時就職にありつけるか、

全然あての無い日が続と思うと、一層肩身が狭くな成りました。

 

砂を噛むような食事も終わり、布団に入ると、義兄と一緒にきた客人が倉

爺の布団に入って来ました。   男二人で寝れば遣る事は誰でも同じで

す。  気も落ち着き性行為もいいところにきたとき、姉さんが産気ずき、

姑さんも大慌て、産婆さんを呼ぶやら お湯を沸かすやら義兄も始めてな

ので、右往左往 でしたが一緒に寝ている客人と倉爺は寝てました。  

起きても邪魔になるだけですから、でも マラ を扱くのは止めませんで

した。互いに射精だけは出しませんでした。

お産は凄く軽くお産婆さんも驚く程で、襖ごしにも苦しむ声が聞こえない

位でした。  男の子でした。  明日からは倉爺よりも赤子の方へ目が

行くので助かると思ったのが裏目に出て、赤子の他に倉爺の世話までと姉

に小言言われましたが、倉爺には手も足も出ません。 かと言って今更田

舎へも帰れず、辛さに耐えかねて外へは出たものを、今度は迷子に成らぬ

よう細心の用心をしました。

姑さんは気の強い人でしたから、小言言われぬよう体を小さく畏まってい

ました。  何時までこんな状態が続くやら、行き先真っ暗闇の中辛抱 

辛抱 これしきゃありません。  何度言い聞かせた言葉か。

 

学生時代に学校帰りに川遊びの時に 人様の畑で 西瓜とかトマトその他

盗んで食べた。罰が当たったんだ。  

 

倉爺の苦労がまだまだ続きます。  苦労が続くと苦にもならず馴れっこ

に成ります。



                                        ( 続 く )








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