メタボ爺さんの体験 №3                  .




天然温泉『すかっとランド』にて



(3) じいちゃんの誘い



間違いなく、じいちゃんはこの道の人だと私は感じていた。お仲間に違い

ない。確信もあった。なのに、私は臆病だった。

 

じいちゃんは、脱衣所の入口から見えにくいところに、そろそろと移動し

た。私を誘っているに違いなかった。それが分かっているのに、私は固ま

っていた。一歩も動けなかった。

 

かわいい素敵な、本理想のじいちゃんに出会えたというのに、何も出来な

かった。

 

勃起してきたちんちんを隠すようにステテコをはいて、シャツを着た。

じいちゃんは、何か言いたそうだったがじっと私を見ていた。じいちゃん

にしてみたら、どんなにか歯痒かったに違いない。

 

このとき、どちらかが何かを言えば道は開けたはずなのに・・・。じいち

ゃんも臆病だったのだろうか。いくら越中ふんどしを締めていたとはいえ、

見ず知らずの男に声をかけるのは憚られたのだろうか。じいちゃんは、そ

れでも態度で私を誘ってくれた。モーションを掛けてくれたのだ。それな

のに私は・・・。

 

着替えの終わった私が先に脱衣所を出た。じいちゃんがあとに続いた。私

は立ち止った。じいちゃんも歩を止めたが、少しして。また歩き出した。

私は固まったまま、動けなかった。何も言えなかった。心臓が喘いでいた。

 

千歳一隅のチャンスは敢え無く潰えた。一期一会。

 

じいちゃんは私を好ましいやつだと認めてくれた。なのに、私は応えられ

なかった。なんということだ。

じいちゃんは何とも奥ゆかしい、素敵な紳士だった。私が夢にまで見た本

理想のじいちゃんだった・・・・。

 

(続く)










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