美篶さんの体験談 2                .




盆 栽





2.夫婦五葉松                           .

花見酒の勢いで飲みすぎ、深夜、玄関前でよろめいて取りすがったのが画

像の夫婦松でした。鉢は棚からこぼれ落ちて割れ、枝を3本も折ってしま

いました。

 

翌朝、割れた鉢から飛び出したようになり、折れた枝をぶら下げて、朝日

を浴びている惨めな姿を見て、二日酔いもどこかへすっ飛んでしまいまし

た。

こんなことが、鉢の植え替え作業開始の動機になったなんて不純ですが、

こうして今年の植木の手入れが始まったのです。

 

 

鉢は元々凍み割れて、ヒビが入っていましたから、植え替える時期が来て

いたのですが、折ってしまった松の枝は元には戻りません。

体裁をつくろうために、ほかに寄せ植えにしてあった7本の松と一緒にし

ようと考えました。

 

しかし、大鉢になりすぎて80爺さんでは持ち上げることができないと判

断し、鉢の形状と色を変えることによって画像のような植木にすることが

できました。

角鉢に植わってどっしりしていた夫婦松が、画像では色がはっきりしませ

んが、群青色の丸鉢に寄り添うように収まった、趣のある鉢になりました。

 

 

盆栽を勉強しようとして、手始めにいじりだしたのは、近くの盆栽店から

買ってきた北アルプスの五葉松でした。

庭園の隅に放置してあった20本ほどの五葉松を見ていたら、店の親父さ

んが

「そんなものに興味があるならタダ同然で売ってやるよ」

ということで、ひと鉢300円で買ってきたのです。

 

当時、五葉松のブームが去ってしまったので、実生で育て、駄鉢で40セ

ンチほどの丈に育った松は、水も十分に与えられず、根詰まり状態で株は

盛り上がり、哀れな管理状態でした。

枯れて、もともとという状態でしたから「寄せ植え」「斜幹」「文人木」

など、色々な樹形に仕立ててみました。

 

その中の一つがこの「双幹仕立て」でした。

ですから、この夫婦五葉松は盆栽を作り始めた頃の作品です。

先週掲載した「イブキの根連なり」は「取り木」をするため、私の生家の

裏庭でまだ土をかぶっていました。

 

 

この双幹の夫婦松は、出向する2年前に、職場旅行で四國高松の栗林公園

で買い求めた五葉松(写真右側)を妻役にし、買ってきた北アルプス五葉

松(写真左側)を夫役にして、根元をしっかり結わえて仕立てたものです。

 

当時は、まだまだ性欲旺盛の頃の単身赴任でしたから、空閨の空しさの思

いを込めながら、殊更に力いっぱい合体させるように、根元を結わえ付け

たような気がします。

ろくな管理をしないものですから生育状態はよくありません。

しかし、私としては往時を忍ばせる懐かしい作品です。

(続く)










トップ アイコン目次へもどる      「体験」へもどる
inserted by FC2 system