美篶(ミスズ)さんの体験談 8                .




映画鑑賞



久しぶりに映画を見ました。

孫と一緒に観に行った「ハリー・ポッター」以来です。

友人に「映画を観に行こうと思っている」と言う話をしたら、

「俺はもう何年も行っていないし、最近はすぐレンタルDVDが出るので、

家の大型テレビでゆっくり観るほうが好きだ」と言っていました。

 

しかし、行きたいと思い出したら一途なもので、

(そんなこと言ったってあの臨場感はDVDとは違うよ)

とばかりに観に行ったのです。

 

 

わたしをそんな衝動に駆り立てたのは、今年のNHKの大河ドラマ「真田

丸」でした。

地元を舞台にして繰り広げられる壮大なスペクタクルに引きずり込まれて、

テレビにかじりついていたら、孫が「真田十勇士」っていう映画をやって

いるよというのです。

 

とたんに、私が子供のころ愛読していた真田幸村と十勇士が懐かしく思い

出されて

「よし、連れてってやる。一緒に観に行こう」

「お爺ちゃん、わたし達時代劇なんかには興味ないの、『君の名は』だっ

たら行くけど……」

 

「えっ?真知子と春樹の『君の名は』が、また映画化されたの?」

「それって何?わたし達そんなの知らないよ」

「お父さん、古いふるい。『君の名は』っていうアニメはねえ……」

と娘に説明されてやっと納得、じゃ、お前たちは「君の名は」を、ぼくは

「真田十勇士」ということになって、孫達の休日にあわせて連れ立って行

くことにしたのです。

 

行く前にネットで調べて「幸村という武将は平凡な武将で、佐助や才蔵の

知略によって名将になっていくのである」、この映画のテーマは「嘘もつ

き通せば真実となる」といった予備知識は持って行きました。

そして、松平健の家康や佐藤二郎の後藤又兵衛といった、ちょっと太目の

熟年武将が演じてくれる、わたし好みの艶かしい殿御ぶりを期待しながら

観たのです。

 

武将会議での又兵衛役の佐藤二郎にはいささか場違いな違和感を感じまし

たが、討死のシーンはさすがと思わさせられましたし、それにも増して松

平健の家康には魅せられてしまいました。

 

あのスマートだった松平健が、短躯で重厚な敵将としての家康役を見事に

演じおおせていたのです。

あの巨体から、家康らしい地味な艶福家らしさが滲み出ているように感じ

て、わたしの感性をくすぐられ、堪能して帰って来ました。

 

 

映画鑑賞はやはりテレビで見るのとは違って迫力があって心が満たされま

す。

薄暗い劇場のスクリーンいっぱいに繰り拡げられる合戦場。

館内を震わせ響き渡る、蛮声を張り上げて渡り合う激闘シーン。

そんな男と男の迫真の絡み合いは、わたしのような受身で依頼心の強い者

には、羨望のときめきを抱かせました。

 

予備知識で得ていた、ストーリーが現代風にアレンジされていて、意外性

もあれば、自分のイメージと違っていたりして戸惑うところもありました

が、それはそれなりに面白かったです。

 

ただ、齢を取って理解スピードが衰えてきているので、少しでも解釈を早

めたいと思って、パンフレットを買ったのですが、これは大失敗でした。

文字の大きさが小さすぎて (8フォントくらい) 読むことができなかったか

らです。

 

 

入館料は1,800円ということでしたが、年齢割引とか、身障者割引とかで、

1,100
円まで下がり、ほくそ笑みましたが、720円だったパンフレットの購

入代を相殺すると、行って来いになってしまいました。

些細なことですが、ちょっとばかり割り切れないものを感じています。

 

とはいえ、ゆったりと椅子に身体を預けて観劇した2時間余りは、俗世間

を離れて男の世界に想いを馳せ、夢心地の内に終ったのです。

 

 

――おしまい――











トップ アイコン目次へもどる      「体験談一覧」へもどる
inserted by FC2 system