美篶(ミスズ)さんの体験談 11                .




遭 難

(2)



計画の問題点を分かりやすく説明するために箇条書きにする。


@ 一日の走行距離の算定に無理があった。

  この日程は夏山登山に慣れた人でもちょっと首を傾げるほどのハードな

  スケジュールだった。

  ぼくのように地下足袋を履き、単なる山歩き程度の計画ならいざ知らず、

  全てをキャンプでという重装備では負荷がかかりすぎる企画だった。

  山の天気は変わりやすいから15時ころまでには宿泊場所に着かなけれ

  ばいけないということは充分承知していた。

  たとえば、初日の蝶ヶ岳までの計画は、昨今の登山書などを読んでみ

  と健脚者の時間設定であった。つまり、到着するのに17時ころまで掛

  かる計画だった。おまけに一日の大半が登りのコースだ。


A 全てを慣れないキャンプに頼ろうとした。

  素人の集まりなのに、学生の乏しい資金不足を補うために、やったこと

  もない難しいキャンプ生活を取り入れて実行しようとした。

  おまけにテントの持ち合わせもなく、軍隊から払下げられた1坪台の重

  いシートを2枚待っただけだった。当然のことだがシュラフ(寝袋)な

  ぞ誰も持っていなかった。

  ラジュウスのようなものはなく飯ごう炊さんを基本に考え、米などの食

  料を持参したから荷物が重く、またかさばった。


B 装備はすこぶる貧弱だった。

  登山靴を履いて行ったのはA君と人から借りたといったC君だけ。その

  C君も途中から、案の定まめが出来たからと言って予備の運動靴に履き

  替えてしまった。ぼく以外の残りの3人は運動靴、そしてぼくは履きな

  れた地下足袋と「はばき」というすそ周りの乱れを防ぐ布を巻き付けて

  いた。

  雪渓を歩かなければいけないからと言ってピッケルを持参したのはA君

  だけ、不安定な大きなリュックサックに思い思いの雨具や暖房具を詰め

  込んだだけだった。


C 刻々変化する天気情報をつかむ手段は何もなかった。

  そのため、おりしも本土に吹き荒れた、梅雨明け間際に来る台風情報

  知ることが出来なかった。

 

 

こんな書き方ではつまらないだろうけれど、そのときの状況を忠実に述べる

ために経時的に書くことにする。

続く

 











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