町内日帰り温泉(2)


                                         立花吾朗さん 



日帰温泉で知り合った相方さんの名は稔さん。その方の告白。

『入社早々の若い時代に上司に強要されて、アナルを弄ばれた忌まわしい苦い経験

から既に半世紀も経っております。改めて思い返して見ると、その時の状景は忘れよ

うとすればするほど心の何処かにそれが甦ってくる。いつの間にかその行為の肯定と

否定の狭間で葛藤を繰り返す自分が存在しており、悶々として過ごす日々だった。相

手を探すことなど考えも出来ず、勿論そんな探す行動など思いも寄らないことでした。

せいぜい大衆浴場で同輩の裸を見ることで妄想をするのを、一時の楽しみにしていた

程度でした。そんな折、信頼に値する貴方の出現に夢ではないかと疑ったほどでした。

今まで待った甲斐がありました。私の方が若干高齢のようですが、そんな事は問題に

も何にもなりません。全てをお任せ致しますので何なりとお好きなように開発して導い

てくださいませんか』と。


そんな心境を吐露されて、その素直で従順な人柄に改めて敬服すると同時に、稔さ

んがこれから始まる新たな体験によって、その快楽の虜となりそれを強く求め続けて、

そんな世界へのめり込んでしまわないか、そんな予感さえしてしまいその責任の大き

さを改めて感じてしまうのだ。

そこは互いに分別ある老練同志、それはそれと割り切って稔さんには存分に快感を

享受してもらい、自分も堪能し充実した時間を共有することに意義を求めて行くことに

覚悟を決めたのだった。


いよいよ最初のデイトに先立ち、自分の行動の司令塔を司る「脳機能」は、否応なし

に次々と容赦なく指示命令を繰り出してくるのだ。


【お前がこれから稔さんと接するに当たり、留意すべきこと言うので心して厳守し、稔

さんの身体の開発に細心の注意を払って男色セックスを成功させなさいよ。最近お前

の一物はめっきり衰えが目立ち、いざという時役に起たないなんて不様は断じてあっ

てはあけない、従って事前にED錠など準備して、しっかり本来の形状を作りその役目

を全うするように。稔さんは経験が無いということなので、丁寧に優しく全身愛撫をくり

返し、反応を観察しながら開発して差し上げるように。この歳になってこんな理想のタ

イプの方は、二度と現れないと思われるので長くお付き合い出来るように励みなさい。

齢を重ねると性欲も徐々に下降線を辿り、往時の感覚とは明らかに変化してくるの

は、当然の理。何が何でもセックスを達成しようという強い意欲も徐々に萎えてきて、

相性の合う心底尊敬に値する人と打ち解けてする会話がこれからの人生、貴重な宝

になってくると思うよ。そんなお付き合いの延長にセックスがあるという位置付けで良

いと思う、頑張りなよ。健闘を祈る】


こんな叱咤激励を受け湧き上がる力を得て、勇んでその場に臨み所期の目標も初回

としてはしっかり繋がり見せて成功裡に終え、充実した時間を楽しんだのだった。

稔さんも目を潤ませて、暫し陶酔の縁を彷徨って安堵の色を浮かべていた。今後、逢

瀬を重ねる毎にその内容も双方にとって望んでいるものに近づけるようと思っているし、

老齢であれ恋愛は若さを保つことに繋ながると聞くので、生き甲斐にもなって行くこと

を励みにしたいと思っている。                                      
                             (終) 




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