山野いでゆさんの体験談 №7                    .




私の男遍歴



(7) 発展車両の男




 東京郊外にある公営アパ-トに転居し、通勤時間が随分と長く成っ

たが、それは新たな喜びを見出した。小説で読んだ事のある発展車両

での通勤である。当時、私は小田急線から中央線、京浜東北線か山手

線を利用していた。男達が好んで集まる場所は直ぐ分かった。これは

ゲイの持つ一種、特殊な嗅覚、才能なのかもしれない。小田急、中央

線(新宿/御茶ノ水間)、京浜東北線はゲイのパラダイスみたいだっ

たし、山手線も池袋から渋谷まではそこそこにゲイの出会、通勤時間

の楽しみの場として重宝されていた。

 特に小田急線の電車、30年位前の話しではあるが、混雑が上下とも

激しく、急行電車では駅間距離が長いし、連結部は車掌に監視される

事もなく、混雑を上手く利用するとやりたい放題、淫乱痴漢電車に様

変わりしていた。時にはズボンを大腿まで下し、男と勃起したお互い

の物を押し付け合ったりしていたし、何度かはしゃがみ込み勃起した

モノを口にした事もある。多くはその時限りの関係であるが、何人か

とは電車外で会った事もある。

 浜松町に勤務していたある男は小太り中年で、如何にも私はホモで

すと言うような雰囲気が横溢していた。黒皮ジャケットの下は白いシ

ャツで、しかも上二つのボタンをしていないので、胸が一部覗いて見

える。餅肌に黒い剛毛が生えているが、見苦しくない程度の濃さが色

気を更に発散していた。私は惹かれる様に彼の傍に行き、彼の顔や胸

にチラチラと視線を走らせた。彼がちょっと身体を私の方に向けたの

で、私の手の甲に柔らかく温かい感触が生まれた。私が手を軽く動か

すと、それが段々硬く、熱く成るのが分かった。それからは毎日、彼

に会えるのを楽しみに通勤し、何時しか私達は身体をピッタリ寄せ合

い、時には混雑に紛れてキスを交わし、長めのジャケットで身体を隠

し、陰部を露出し、社内で抱き合い、時には私が何かを拾う振りして

身体を沈め、彼の性器に舌で愛撫した。

 彼との車内逢瀬を楽しんで周りに注意が行ってなく、途中駅で乗車

して来た会社同僚に声を掛けられた時は私の秘密も完全に露わになっ

てしまったと覚悟した。それでも私は発展車両から離れられなかった。

彼とは何度か帰りの電車も一緒になり、私達は途中下車し、寂れた喫

茶店の2階席で慌ただしく彼の性器を咥え、精液を飲み干した事もあ

った。又、後楽園で野球観戦もしたが、私が余り興味なさそうなので、

途中回で球場を後にした事もある。私は良く分からないゲ-ムより早

く彼の身体に抱き付きたかったし、性器を舐めたくて時間が惜しく思

えた。彼は丸顔で、しかも毛がかなり抜け始めていたので、顔が亀頭

に見えて仕方なかた。

 だが、彼の勤務先が変わり、通勤時間が長くなったのか、何時の頃

か電車で見掛けなくなった。偶々彼に聞いた家の前を通ったが、彼の

表札が無くなっていたので、通勤に便利な場所に引越したのかもしれ

ない。

 又、或る男は50代のやや細めの男に車内で出会った。彼の性器は標

準以上で、しかも硬さも充分であった。彼が或る日、電車を降りた時、

今晩、新宿で会えるかと言うので了解して別れた。夕方、彼に会うと

直ぐ
2丁目のラブホテルに行き、私達は全裸で抱き合った。

 『挿れるから、入れて』と言われ、『挿れたら入れる』と答え乍ら

私は両脚を上げ、アナルを彼に曝け出し、彼に差し出した。軟膏をア

ナルに塗られ、彼がぷっくりした亀頭をあてがい、少しずつ私の身体

を割き出した。久し振りの肛門性交で、痛かったが、大きい亀頭が直

腸まで達すると、それからは楽になって、私は彼の性器が私の身体の

中で蠢く感覚を楽しんだ。彼が身を引く時は肛門を締めて、迎える時

は力を抜き、寧ろ尻を突き出す様に、私達は身体のリズムを一致させ、

愛のハ-モニ-を奏でて、それは射精で幕を閉じた。それから彼は私

2丁目の外れにあるホモバ-に誘った。彼は選挙運動の一環なのか、

私に色々と進めるが私は壁にゴキブリの走る店に食欲を失くしていた。

整理整頓が嫌いな店主らしい。数日後、電車内で彼に応援していた人

が市議に当選出来たとお礼を言われた。私はその政党が嫌いなので、

口約束を守らなかった。

 夜7時頃に度々一緒になる男はちょっと変わった趣味があり、私の性

器をズボンから取り出し、扱き、ビンビンに勃起させるのが会った時

の儀式だったが、困った事に、彼は近くの人に『この人のチンポは大

きいよ、触って見てよ』などと言う。相手がお仲間だろうが、ノンケ

だろうが構わない。馬鹿にしたような顔で『オカマかよ!』と言われ

た事がある。度々なので、私からこの男を避けた事がある。又、或る

時は車内痴漢を楽しんだあと、最寄駅で下車したらその相手の男も降

り、私の後を尾行するので怖くなり、敢て、反対方向に歩き、しかも、

坂道を登ったり、下りたり、右に、左にと目まぐるしく角を曲がり、

何とかその男を振り切る事が出来た。

一番激しかったのは2335発の最終小田原行急行で、特に金曜夜など

朝のラッシュ時を越える混雑だった。その発展車両に乗り込むと往時

の上野地下鉄映画館を彷彿とさせる状態で、全く身動き出来なくて、

新宿を発車する前に私のズボンは下されており、太ももにベルトが巻

き付いていて、チンポもお尻も丸出し、幾人かの男の手に弄られてい

た。

 勿論、発展車両は小田急だけではなく、中央線でも何人かの馴染み

が出来た。ある熟年など、私の性器を盛んに扱き、コンド-ムを被せ、

自分のアナルで射精させようとしたので突き放し、それからは彼が近

づくと逃げていた。別の男とは年末、乗客が少なくなり、痴漢ごっこ

が出来ない状態で、それが言葉を交わす切欠となった。その彼とは良

い旅友となって、暇があれば一緒に旅行していた。

山手線は滅多に乗らなかったが、池袋から乗る福岡生まれだと言う越

中男は巨根自慢で、私に握らせると少し体を離したがった。彼は勃起

した自慢の竿を誰かに見て貰いたい男だった。又、ゲイの挿絵画家


Pontaro
が描く草臥れ中年サラリ-マンそっくりの男が何処か哀愁と共

にその冴えない風貌に共通点を見出し、親近感を抱き、何度か電車内

で抱き合い、キスしていた。

 京浜東北線では度々、歌舞伎役者にしたいような濃い顔の美形中年

に扱かれていた。彼は私の精液をハンカチで受けるのが大好きだった。

たっぷりと精液で濡れたハンカチを持ち帰り、洗濯をどうするのだろ

うか心配になった。奥さんに見つからぬよう、こっそり水洗いし、そ

れを洗濯籠に入れていたのだろうか?それとも他人の精液でゴワゴワ

したハンカチに好きなのだろうか?ある男は私のズボンや下着を下げ

させ、自分の勃起したものを私の大腿の間に挟ませ、腰を使うのが好

きだったし、別の男とは新橋で途中下車し、ビルのトイレで尺八をさ

せられた事も度々だった。

今思うと、良くも公安に捕まらず、掏摸やタカリに合わなかったもの

だ。タカリには中央線で二人組に言い寄られたが何とか逃げ切った。











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